ゴミ屋敷によるダメージと危険性

ゴミ屋敷による家屋へのダメージと危険性

1 ゴミ屋敷の背景

ゴミ屋敷が発覚するタイミングとして体の不調により第3者が入院の為、訪れた際や連絡が取れなくなって「家に行ってみると」ごみ屋敷になっていた。住人はセルフネグレクトにより他人を室内に「入れなかった」他人には見られたく無い趣味の「物」が大量に有る事や、当事者の多くは、離婚されている方、死別された方、子供、親戚、親族と疎遠になられている方に多く見られる現象では無いかと推察しています。

また、若年層では引きこもりに陥った方等もお見受けする事が多く有ります。高齢者の場合は経歴、学歴ともプライドを高く保たれた方も多いのが特徴として私は受け止めています。ただ、これはゴミ屋敷の現象例で有り原因は私にも分かりません。ただ、入院後に「ゴミ屋敷が発覚した」は最悪の状態では無い事を皆様方には御理解いただければと思います。最悪は「孤独死」になる事です。ゴミ屋敷の対応も入院中の「生前整理」や病院でお亡くなりに成られた方の遺品整理、誰にも気付かれずにお亡くなりになられた孤独死による特殊清掃も必要になる事もございます。

2 湿気による床板の汚損や腐食

最初に申し上げますが、これは程度とゴミによる堆積期間により大きく異なります。これは比較的に短い期間のゴミ屋敷では床板の腐食までする事は有りませんので誤解の無い様に御案内させて頂きます。短期間のゴミ屋敷では床面の素材がCF(クッションカーペット)で有れば、ある程度の清掃で対応が可能な場合も有りますが、CFでも長期間の場合はCFを貼り付ける際の継ぎ目から食品等の腐食物が液状化しCFを貼り付けている、接着剤まで浸潤している事が有ります。この状況の場合はCFの変色も起きますが、その「臭い」は特殊清掃を必要とするケースも有ります。フローリングでは素材が「木」と言う事も有り直接、汚染液を吸い込んでゆきます。これも、はっきりとした変色が起きている物は雑菌の繁殖に伴い臭いや腐食が始まっています。特にゴミが堆積していた場合は腐敗した食品が液状化し下へ下へと流れ落ちていきます。堆積したゴミの中では揮発する前に床板まで落ちてゆきます。

分かりやすく御説明をさせて頂ければ床上に汚染水が溜まりゴミによる堆積物が上に有ります。そのゴミの堆積物の上を歩く事により、圧力が係り、ある意味「浸透圧」によって腐敗液は「下へ下へ」と押し込まれてゆき結果、フローリング等の床板自体の腐食に繋がる結果となります。これは、和室における畳でも同様です。畳も腐食し床板までカビが繁殖しています。

3 ゴミ屋敷の特徴は室内全体がカビに覆われている事です。

黒カビ、白カビ、黄色カビ、青カビなどが多く散見されます。赤カビを見受ける場合はゴミ屋敷化の初期段階と弊社では判断しています。また床板の下はゴミで全てを密閉されている為、湿気により床下までカビが繁殖している事が多いのも特徴です。この状態に陥ると床板やそれを支えている根太や大引きなども腐食し床板が抜け落ちている事も珍しく有りません。
また、トイレ自体もゴミで覆われている現場等では、どこで排泄をしていたのか?と考えてしまう事も多々あります。勿論アンモニア臭は充満しており、消臭には、まず室内全体の消毒、消臭洗浄、カビを除去する為の湿気を取りゴールドモアの薬品を使用したカビ取り施工、そして消臭剤噴霧を繰り返し行う特殊清掃迄に及ぶ事も珍しく有りません。この様な重度のゴミ屋敷の場合の最悪のケースは孤独死です。ゴミ屋敷の施工では弊社スタッフには防塵マスクの着用を義務つけています。これは、ゴミ屋敷特有の異常な埃の量とカビからの健康被害からスタッフの健康を守る為の物です。この様な環境では健康な人間でも病気になるのではとも想像していますし、ゴミ屋敷のセルフネグレクトの方は何らかの事情により「精神的なダメージを、お受けになられた」事により「無気力・無意欲」になられた結果ではとも思っています。
ゴミ屋敷は、その方の現象で有り、原因の対策となる「寄り添う」気持ちを業者としては忘れては成らない必要要素と考えています。

勿論、迷惑を被っている近隣住民への配慮も必須です。ただ、少しだけ近隣住民の方にもゴミ屋敷の住民へ気にかけて頂ければ、大事に至らないケースも増えてくるのではと希望を持って願っています。

4 害獣・害虫被害

一般的な害獣はクマや鹿、イノシシ等を想像されている方も多いと思いますが、ゴミ屋敷の場合は「ネズミ」です。飲みかけたペットボトルや調味料等をネズミが「かじり」ます。穴が開いたペットボトルは堆積したゴミの間に零れ落ちてゆきます。零れ落ちた飲料水も床板の腐敗を招く一因となります。ネズミが一旦、入り込む事と繁殖能力が非常に高い為、知らず知らずの内に近隣にも迷惑をかけている事にも繋がると同時に家屋内は、ネズミの糞により臭気も上がってきます。ネズミの糞も、こびり付くと清掃を行う業者目線で見た場合は非常に困難案件となります。

また、ネズミの死骸を見かける事も少なく有りません。また、ゴキブリや、その卵は無数に有ります。当然、その死骸や糞により床板の汚損状態は更に悪くなって行きます。

余談ではございますが、この様な害獣、害虫が進入しにくいマンション等の高層階においては飲み残しのペットボトルも堆積したゴミによる圧力とプラスティック自体の劣化により裂けている物や、その上を歩く事によりプラスティック自体が擦り切れ中の液体が零れ落ちている現場も多くございます。

そんな状態での生活に気付いて片付けをされている形跡を見かける事も有りますが、弊社へ依頼が来る時は「個人」で対応できるレベルの状態では無くなっている事が現実です。

5 火災の危険性

ゴミ屋敷では、通電中の扇風機、冷蔵庫、TV等、様々な家電製品が通電中の状態で堆積物の下から発見される事は珍しい事では有りません。また火災の原因でスマフォや工具等のバッテリー充電中に発火すると言うニュースも耳にする事が有りますが、ゴミ屋敷等の堆積物の中から充電中の携帯電話から発火の形跡の跡を見受ける事も多々、有ります。恐らく充電中のまま放置された携帯電話の上に弁当カラやペットボトル、衣服や紙等に覆われて紛失された物と想定しています。トラッキング現象が原因では無いかと考えていますが、他に「たばこ」の吸い殻も散乱している事も普通に見受けられます。ゴミ屋敷と言われる現場の多くでは、先ほど、お伝えさせて頂いた様な「可燃物」つまり燃えやすい物ばかりです。一旦、出火すると、またたくまに炎は広がり御本人ばかりでは無く近隣住民にも甚大な被害を与えてしまう、大変危険性の高い事象と考えています。隣人としての、その賠償は火災保険の約款に定義されている内容も異なる為、断言を行う事は控えさせて頂きますが、ゴミ屋敷、当事者の「故意もしくは重度の過失」を保険会社に、どう認定してもらえるかが課題になるものと想像しています。日本国憲法では「失火責任法」と言う法律が存在しています。重大な過失が認められない限り賠償責任を免れる法律です。「故意もしくは重大な過失」の場合にはゴミ屋敷当事者が火災保険に加入していたとしても保険の適用が出来ない場合が有る事、また隣家への火災も「重大な過失」が認められなければ賠償責任を免れる事ができる法律です。重大な過失とは「防止もしくは、そのリスクを予想できる状態に有り、尚且つ、その防止する行為を怠る」との事のようです。ゴミ屋敷が全焼した場合、これが実証できるか?これは、かなり困難と想像しています。ゴミ屋敷化すると住人は人を寄せ付けませんし、部屋内を見られまいと日々、過ごされています。少し理不尽な法律ではないかとの意見も有りますが、これは、明治32年に制定された法律で有り、当時の木造住宅を前提に検討された法律で、これは、これで当時には適したものだったと考えます。当時は、やはり地域コミュニティー文化が充実しており現代で言われる「孤独死」や「ゴミ屋敷」は皆無だったのではと想像しています。そろそろ、この「法律」も見直す時代になったのでは?と思っています。ただ、被害を被った方は、自身で契約されている火災保険を適用する事が一番、てっとり早いのではとも思いますし、ゴミ屋敷での悪臭やゴキブリ等の害虫などでお困りの方は、当該市町村への相談もしくは、賃貸物件で有れば不動産管理会社、分譲の共同住宅で有れば管理組合等へ積極的に御相談をして頂ければと思います。皆さんの、その「行動」により皆さん自身の財産保全とゴミ屋敷となった住人の健康被害や孤独死で失われる「命」を守る結果となる事と考えています。

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