遺品整理を行うにあたって

遺品整理は親族以外でも行うことはできるのか?

あぐりへの質問で遺品整理は親族以外でも行うことは可能ですか?とお客様からお問い合わせをいただいたことがあります。

法律上では遺品整理を行う権利は基本的に相続人にあるので、誰が行ってもよいわけではなく、故人の配偶者または子や親族が行うことが多いです。

しかし、相続人以外が遺品整理を行うこと自体は法律で禁じられていないので、必ずしも相続人だけで行わなければいけないわけではありません。

例えば、親族の方が遠隔地に住んでいるご高齢者の方だったり、健康上の問題で移動や作業ができない方、故人との関係性により精神的に負担になる方などの場合です。

遺品整理は、故人との思い出をふり返りながらともいえる改めて人と向き合うとても大切な作業ですが、時間や労力を要する作業であるため相続人だけで行うのが難しいということは少なくありません。

このような場合は、すべての相続人から承諾を得れば相続人以外の人でも遺品整理を行うことが可能となるので、弁護士や遺産整理士などの専門家や遺品整理専門の業者などの第三者が介入することができます。

また、中には法的効力のある遺言書(代表的なものとして自筆証書遺言または公正証書遺言などが残されている場合があり、その中に相続人として家族や親族以外の人の名前が明記されていた場合などは遺言書の内容に従う必要があります。

(※自筆遺言書とは、パソコンや代筆を利用せず全文自筆で記入して自宅または法務局で保管する遺言書のことです。公正証書遺言とは、2人以上の証人の立ち会いのもとで公証役場の公証事務を行う法律の専門家である公証人が作成して公正証書という形で残す遺言書のことです。公証人のチェックが入るので、記載内容の不備などにより効力が無効となる可能性が低く、原本は公証役場で保管されます。)

では、上記のような相続人がいても遺品整理を行うことができない場合とは違い、すべての財産の相続を放棄した場合や、そもそも相続する人がいない場合などの遺品整理はどうなるのでしょうか?

現在は、少子高齢化や核家族化が進み以前より家族関係が希薄となったことなどが原因で一人暮らしの高齢者の方が増えているのが現状です。

身寄りのない高齢者の方が亡くなった場合の相続や遺品整理の問題などはこれからますます増えてくることと思います。

ここからは、すべての財産の相続を放棄した場合や、相続人がいない場合などの遺品整理についてお話しさせていただきます。

まず、相続人全員が相続放棄した場合も相続人不在となるため相続人がまったくいない場合に含まれることになります。

このように相続人がいない場合の故人の財産は、最終的には国庫に納められるのですが、自動的に国庫へ帰属するわけではありません。

故人のすべての財産の調査を行いまとめて管理して、相続人同様に遺品や資産の管理を行う相続財産管理人に財産管理および処分を任せることになるので、家庭裁判所へ相続財産管理人の申し立てを行う必要があります。

相続財産管理人の申し立ては、債権者や特別縁故者など遺産相続の利害関係者が行います。

(※特別縁故者とは、故人と生計を共にしていた内縁の妻や事実上の養子や養親、生前に身の回りの世話をしていた息子の妻など故人と生前特別な関係にあった人のことを指します。)

この相続財産管理人は一般的に弁護士が選任されることが多いので、財産管理に関する法律手続きも一緒に依頼することができます。

相続財産管理人が選任されると管報で公告され、その2か月以内に遺産の債権者や受贈者がいないか確認するために債権申立ての公告を行います。債権申立ての公告から2か月が経過しても相続人が現れない場合、本当に相続人がいないのか最終確認のための公告を6か月以上行います。相続人捜索の公告を行っても期間内に相続人が発見されなければ正式に相続人不存在が確定され、相続財産管理人が財産管理および処分を行うことになります。必要に応じて不動産や金融資産を現金化したり、債権者や特別縁故者へ権利に応じた遺産を渡して、最終的に残った遺産を国庫へ納めて手続きが終了となります。

また、故人の遺産から相続財産管理人の報酬は支払われるのですが、故人の遺産が少なかった場合は予納金として20~100万円ほど請求されることが多いです。

その予納金は申立人が支払うことになりますが、管理業務終了後の残金は返還されます。

生前に死後事務委任契約書(あらかじめ死亡後のさまざまな手続きを行ってくれる代理人を契約により決めておく生前契約のことで幅広い内容を依頼することができる)や法的効力のある遺言書を作成されることで少しでも周囲の負担を軽減することができるので、生前整理を行って残された人が手続きなどを済ませやすくなる環境を整えることも大切かもしれません。

 

話はすこし変わってくるのですが、上記の遺品整理および相続とは別にもし生活保護を受給していた方が亡くなった場合の相続はどうなるのか?というお問い合わせいただいたことがあるので、こちらでお話させていただこうと思います。

結論から申し上げますと、通常の相続手続きと内容は大きく変わりません。生活保護受給者の預貯金口座は相続財産となるので、一般的な相続手続きを行うこと相続人が受け継ぐことができます。

万が一、故人と相続人がどちらも生活保護を受けており、葬儀費用などを準備できない場合は葬祭扶助を受けられます。

大人の葬儀の場合は20万程度、子どもの葬儀の場合は16万5,000円程度ですが、金額は地域により異なり一般的に火葬による葬儀となりますが一度確認されたほうが良いでしょう。

ここで一つ注意していただきたいのは、生活保護費を過剰に受け取っていたり、故人の死亡後に生活保護費が支給された場合は、相続人に返還義務が生じるということです。故人が生活保護を申請された時には、困窮状態であってもその後に状況が変わり、資力があるのに生活保護費を受給し続けていれば、過剰な受給額を相続人が返還しなくてはなりません。いつまでさかのぼるのか、どのくらいの金額を返還するのかなどの問題が発生してくるので、もし過剰な受給状況が判明したらまず福祉事務所に相談されてください。

中には、バレなければ問題ないだろうと考えてしまう相続人がいるかもしれませんが、受給者の税務申告と福祉事務所への収入申告は年に1回照合されているため相続後しばらく経ってから返還請求の連絡が入ることもあります。そのため、故人の財産や受給状況は必ず調べておく必要があります。

 

今回は、遺品整理は親族以外でも行うことができるのかという話をはじめ、その他いろいろお話させていただきました。

現在の日本では少子高齢化や核家族化が進むことにより家族関係が以前より希薄になっているため、一人暮らしの高齢者の方が増加傾向にあります。

遺品整理のみならず、孤独死についてもこれからますます社会問題になってくると思います。

生前中に自分ができることを少しでも行うことで、自分の死後に周囲の人へかかる負担を少しでも減らすことにつながるのではないでしょうか。

もし遺品整理についてお悩みの方は、ぜひ一度弊社へご相談ください。弊社は、お客様のニーズを第一に考えて日々業務に取り組んでおります。

遺品整理だけでなく生前整理なども承っております。お客様に寄り添いご要望にお応えできるよう、誠心誠意対応させていただきます。

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