まず、孤独死と遺品整理について御説明させて頂きます。ただ、その背景や環境等により大きな違いが有る事を、お伝えさせて頂きます。
1 孤独死とは
孤独死も事件現場も状態によれば、どちらも凄惨な現場に変わりは有りません。いわゆる自然死とは正確には病気等により、治癒する見込みの無い方への緩和医療や突然死、老衰等を指す言葉ですが、WHOの定義では「瞬間死、発病後24時間以内の内因死」とされています。不動産業界においては国土交通省のガイドラインでは、自然死の場合「告知義務」は発生しないとなっていますが、この場合は事件性の無い物と対象になっています。
自殺を含めた事件現場では告知義務を求められます。例えば、他
の場所で亡くなったとしても、その部屋で起きた事による性質の物で有れば告知義務は発生します。告知義務期間は3年間だったと記憶しています。また、特殊清掃を要する現場も同様に告知義務が発生する事となります。我々、特殊専門業者が施工を行ってしまえば、法的な告知義務が発生します。ただ、特殊清掃は床板を剥ぎ、特別な消臭剤や、臭気源の洗浄やコーティング施工を行い「臭気除去」と認識しています。
そうなる前に臭い上がる前の予防清掃は特殊清掃では無い事と申し上げさせて頂きます。ただ、これは死後数日間、しかも冬場を限定した(死後1日~3日以内)内容を御案内させて頂きます。
2、クッションフロアの場合
CF(クッションフロア)の上でお亡くなりになっていた場合冬場で気温が10℃以下で尚且つ死後1日~3日間で有れば特殊清掃は必要無い場合が多いと記憶しています。これは簡単に例えれば冷蔵庫の中にいる状態と考えて頂ければと思います。低温で有れば腐敗進行は遅くなり体液の腐敗による溶解も発生致しにくくなります。多少の排泄物や嘔吐による一部汚損が見受けられるだけの場合が多く見
受けられます。また、特に床面の素材に影響される事が多く、その御遺体場所がCF(クッションフロア)の上で有れば「きっちりした清掃」が出来る遺品整理業者で有れば除去できる水準と思います。
ただ、CFの継ぎ目(CFは貼り合わせて有ります)やピンホール(傷による穴)の上で有れば継ぎ目から排泄物が浸潤する為、そこを見逃す業者で有れば「梅雨時期」から「夏」にかけて「臭い」が出てくる「可能性」は出てきます。
もし皆さんが、その様なシーンに直面した時は特殊清掃が出来る専門業者を
呼ぶか、汚損部分の拭き取りを行ってください。臭いが上がって無い雑菌やカビ等が繁殖していない状態では有効ですので皆様でも対応は行えます。ただ、注意しないといけないのが洗剤の使用方法です。たんぱく質等の油脂にはアルカリ性が有効ですが。アンモニアには塩素系が有効です。この二つが混ざると御承知の通り有毒ガスが発生します。次の注意点としては、汚損部の外側から内側へと拭き取って下さい。「臭気源の元と成る部分を広げない」様に拭き取る事です。また一方向(例えば左から右、右から左)を「拭き戻し(前後左右に)」をしない事がコツです。医療従事者であれば御存知と思いますが「コロナ渦」での除菌での拭き方と同じです。詳しい事が身近におられる医療従事者に確認を取って頂ければと思います。
3、フローリングの場合
基本的にはCFと同様です。ただ、臭気源(体液)の染みが付いている場合はフローリング自体に臭気源が浸潤している為、特殊清掃専門業者に相談を行った方が良いと考えます。特殊清掃業者で有れば木製の資材から体液等を抜き取る薬品も用いていると思います。
4、ヒートショックによる浴槽内
まず浴槽内でお亡くなりになられた場合で追い炊き機能が稼働していない状態で、尚且つ水が抜かれていない状態で有れば遺品整理清掃で済む場合も多くあります。ユニットバス内に有る浴槽に排泄物が有り尚且つ水が残っている場合には、浴槽の下に有る水漏れ防止の為の「浴槽パン」の間に臭気源が残ると場合によっては浴槽を取り外しての、洗浄が必要になる場合が有ります。これは全ての浴槽では有りませんが、浴槽の排水の仕組みが、それぞれ異なる事が有りますので注意する点です。また、特殊清掃の経験の浅い業者では少し困難案件にもなると思います。
5、まとめ
この様に、すべての孤独死現場において「特殊清掃」が必要では無い事。不要な施工が有る事や手法を知らない遺品整理業者や特殊清掃業者の中には緊急性を要するクライアントに「危機感」を迫る業者もいる様です。また、一つ付け加えさせて頂ければ「特殊清掃」を完全に行える業者で無ければ、この「見極め」は難しいとも考えます。
遺品整理業者も特殊清掃業者も手法は、それぞれ異なります。当然、求めている施工水準も異なる事からも「スキル」はバラバラです。先日も広島県東部地区で、他業者との同時刻の「相見積もり」と言うケースに遭遇しました。同業他社の私が居る事も有り、言葉を選んで喋っていたのかも分かりませんが、物量の見落としや、施工案内等が、まったく無い状態で、その業者は帰社されました。まず、遺品整理業者で有れば、見積り時の物量の見落としは後々のトラブルに成る事、クライアントの施工目的等、その要望に沿った施工を行う事が遺品整理業者とも私は考えています。売却や賃貸返却で有ればポリッシャー等を用いて清掃も行います。これは故人様への弊社が行える最期の供養と考えている方針によるものです。よって弊社では、弊社の水準の「清掃施工」を行えるまでは「見積り」にスタッフを同行させません。それは「遺品整理」と「特殊清掃」の施工に対する見極めが行えない事、家屋の劣化状態や使用する薬剤の見極めが必要となる為です。見積りも施工も新人トレーニングでは無い事、弊社スタッフ含め皆さんにも知って頂ければと思います。