遺品整理の事業について

まず、遺品整理、生前整理を行う業者はコロナ渦から急増しています。以前は不用品回収業者やリサイクル販売業者、解体業者が副業として参入してきていましたが、「コロナ」がこの業界にも大きな影響を与えてきました。成りゆかなくなった飲食業者や生活が困難となった家族を救うつもりで司法書士が家族に遺品整理を行わせ集客しているケース、繁華街の華やかなホストも起業していました。以上の様に、多種多様の業種から参入してきています。

1 遺品整理・生前整理での事業継続率

遺品整理や生前整理業は、これだけ情報過多の時代においては、ある程度の準備や知識を持つ事は可能です。また、私自身もそうでしたが初期投資が必要無いとも誤解をしてしまいがちです。開業をされる多くの皆さんは「知り合い」や「親戚」を頼りに「たら・れば」で起業される方を多く耳にします。飲食店で有れば「馴染みの客」を当てにするなど、理想の「こうなったら」「こうしてくれば」と、事業として成功すると短絡的な発想が多いと、感じています。「たら・れば」は他力本願的な発想です。リスクヘッジをされていない方が多いと思っています。「たら・れば」を使う思考で有れば「リスク」に対してです。本当に助けになってくれる知人や友人が何人いますか?2022年に亡くなられた方の人数を御存知でしょうか?約157万人です。日本の総人口は総務省の統計によると1億2497万7千人です。亡くなっているのは、総人口の1.25%です。仮定において広島県で言えば約35000人が亡くなっていると言う理論計算の場合、全ての死に対し遺品整理が必要かと言えば、そうでは在りません。遺品整理士は全国で約40000人となっています。広島県では、約900名の遺品整理士が存在しています。そこに一般廃棄物収集業者数、約450社やリサイクル業者、解体業者、不用品回収業者(業者数は推定不能)が存在します。その競争の激しい業界の中で、どのくらいの業者が恒久的な継続事業をされていると思われますか?このプランが上手く「いかなかったら」や手法を具体的に「換えれば」のプランに対するリスクヘッジが必要と思います。5年以上の事業継続をされている業者は僅かです。私の勝手な認識ですが半年で10社(者)が開業し半年後に継続できているのは1社のみとなっています。その繰り返しが現在の遺品整理業界です。5年以上の事業継続を行っている業者は既存客(賃貸物件管理会社や葬儀社)が有る事で事業継続を行えています。ただ、社会や経済の変化に対応できていない業者は、元々あった企業体力も徐々に削ぎ取られて「風前の灯」となっている会社も多く見受けられます。それが顕著になっているのが「特殊清掃」です。

10年前の施工方法と現代の施工方法では極端に申し上げれば、まったく異質の方法に変化しています。変化に順応できない業者や技術進歩を取り要られない業者は衰退してゆき固定客も離れてゆく一方とも考えています。私自身1年間での休日は5日~7日です。他は現場や見積り、空いた時間は学ぶ事に時間を費やしています。

皆さん安易な発想で遺品整理や特殊清掃と言う重責を担う仕事を行おうと考えているので有れば、今一度、皆様それぞれの「覚悟」の御確認を頂ければと思います。

2 正しい倫理観・何の為(事業目的)に遺品整理事業を行うのか?

まず、最初に出て来る言葉は「生活の為」「稼いで次の事業の資本金」「事業主をやってみたかった」等が多くの方の声として耳にします。最初に私が行う皆さんへの質問の回答です。私は今まで行っていた仕事でも取り組み方によっては成功したのでは無いかと思っています。「どうしようもなく継続できなかった理由」を述べる方が殆どです。他責を述べる方が多すぎる様に感じています。事業も商品も先に展開した方に優位性が高いと言われているのが「事業」や「商売」です。会社員においてもそうだと思っています。社歴が長ければ、それだけ各々の企業文化やノウハウが有る事を学んでいけます。物事に対しての価値観も企業毎に異なります。そこに対して「他責」は「振り返り」が無い事により課題を明確に具現化出来なかった事が一因と感じています。これに対して順応できていない事が安易に遺品整理業界での起業を目指す方々の特徴とも思えます。遺品整理や特殊清掃等ではクライアントの立ち合いが無い「無人状態」での施工も多くあります。当然、多くの現金や貴金属などが発見されます。正し倫理観が求められるのが遺品整理や特殊清掃です。

3 遺品整理を始めるに当たり、どのくらいの費用が必要でしょうか?

まず、最低限必要なのがトラックです。トラックも平ボディーと箱車(パネルバン)が有りますが箱車(故人様のプライバシー保護の為)をお勧めさせて頂きます。念の為、トラックは一般廃棄物を運ぶ目的では無く一般廃棄物業者の収集用コンテナが設置できない場合に仮置きする為に必要となります。次に必要なのが集客の為のホームページです。これも金額はボリュームによって異なりますが40万円~100万円は必要です。ただ、あくまでホームページは昔に例えれば「看板」みたいな物です。これを世の中に周知して貰う為の宣伝も必要となります。いわゆる「SEO対策」ホームページで上位にアップさせる為の外注作業です。実は、これが結構な金額となります。SEO対策を行っている企業によって価格は様々ですが、スタッフ一人分の費用が発生すると考えていた方が良いかと思います。余談ではございますが、基本的にどこのSEO対策会社でも「保証」は有りません。また、長期契約を結びたがる会社も多く有り効果が出ない会社も多く存在しています。ちなみに弊社では外部委託による「SEO」対策は行っておりません。別の集客の方法としてもチラシも有りますが、集客率は0.02%有れば良い方です。また、遺品整理士認定協会に加盟し、年会費を払えば案件の紹介はしてくれると思います。ただ、加盟業者も多い事から、それだけで事業運営を行う事は困難です。

遺品整理を始める上で、最も多くの費用が発生するのが人件費です。上記の必要経費を賄う為には多くの人材確保が必要です。特に室内作業に従事させるスタッフには、モラルと教育が必要となります。逆に運び出し作業はアルバイトでも構いません。今の社会で人材確保を行うには「社会保険」は入場券の様な物で「賞与」「休日」等を含めた「高待遇」を求められます。また、その社員や社員の家族を守って行く事も経営者の最大の責任です。経営する側と雇用される側の隔たりは大きくなっていく一方ですが、その隔たりを少なくし溝を埋めて行く活動も現代社会の流れとも言えます。

4 起業や独立を目指す方へ

皆さん遺品整理や特殊清掃等を安易な気持ちで始めると「取返しが付かない事」を承知して臨んで下さい。また、多角経営の事業としてのお考えの方も2~3年間の利益確保は難しい事を認識してください。

その上で、遺品整理を行いたい!と望まれる方はお気軽に御連絡ください。また、特殊清掃に付きましては難易度の高い性質の施工が求められます。まずは、水準の高い遺品整理の施工方法を身に着ける事に特化して頂ければとも思います。

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