遺品整理・生前整理と一般廃棄物収集業者の違い

分別

1 遺品整理・空家整理を行う専門業者と一般廃棄物収集業者では、分別をクライアントから依頼いただいた家屋内で行うのか?自社工場で行うか?の違いです。

簡単に申し上げれば遺品整理・空家整理専門業者は、箪笥の引き出し一つずつを「遺品か?否か?」を確認しながら分別を行ってゆきます。そもそも、ご依頼いただく家屋内の物全てが「遺品」です。その考え方が遺品整理を生業とする専門業者には必要です。その結果、多くの貴重品(登記簿や権利書)・現金・貴金属・想い出の品をクライアントの元にお戻しする事ができます。貴重品・現金・貴金属は勿論そうですが、想い出や拘りの有る品など依頼者によっては千差万別です。また故人様の残された御遺族に対しての「想い」をお伝えする事も大切な仕事です。逆に故人様が家族に見られたく無い様な物をクライアントには分からない様に処分するのもプロの仕事です。例えば亡くなられた故人様が父親や歳が離れた兄と仮定しクライアントが若い女性(娘もしくは妹)の場合、男性誌やアダルトビデオ等はクライアントの目に触れない様に処分する様にしています。これは、やはり故人様も「娘さんや妹さん」には見られたく無い物だと感じていますし、娘さんも目にしたく無い物と考えているからです。逆にクライアントすら記憶の無いクライントが「幼い頃に描いた絵」「作文」父の日、母の日に書いたと思われる「手紙」など「大切に、大切に」保管されている事も数多くございます。その品々は故人様が家族に対する想いの詰まった品々で有り弊社は要、不要を問わずクライアントへは目を通して頂く様にしています。故人様の想いを伝える事も遺品整理専門業者の務めとも考えているからです。ただ、全ての遺品整理業者がそれを実施しているかは不明です。

2 一般廃棄物収集業者の場合

まず初めに今から記事にさせて頂く事は「一般廃棄物収集業者」を否定するものでは無く、あくまで施工方法として御案内させて頂きます。

一般廃棄物収集業者は遺品整理、空家整理を「片付け」と呼ぶ業者が多いようです。一般的に「片付け」は効率性を求め合理的に行います。搬出物によってはパッカー車(行政から委託を受け生ごみ等の収集する際に使われる破砕機能付きの運搬車)を使用します。また、彼らは家財を搬出し廃棄する行為が「主業」で有り、その為、効率性を重視して搬出施工を行います。また、持ち帰った処分品は、各社それぞれの工場で分別専門スタッフが待機している為、施工現場で分別する事は有りません。そこでは他の現場からの処分品も有る為、遺品を戻そうにも「どこで出た物か?」特定できませんし、一般廃棄物業者が貴金属や現金を「お返しした」と聞いた事も有りません。また効率性を追求し過ぎるが為に、2階や3階から箪笥を投げ落とす行為も何度か見かけた事が有ります。ただ、遺品整理業者よりも圧倒的なスピードで家財を収集処分してゆく事は間違い無い事実です。

また、一般廃棄物業者の多くは生前整理を行いません。正確にお伝えすれば廃棄物の収集は行う事をする様ですが家屋内で細かい分別を行わない事が最も大きな理由です。多くの一般廃物収集業者による生前整理では、家の前に「処分する物を出しておく」処分する箪笥は「空に」とのリクエストが有るとの事です。そこが生前整理専門業者との大きな違いの一つです。

3 施工費用はどうでしょう?

正直に申し上げますと効率性重視の一般廃棄物業者の方が安価に済みます。一般廃棄物業者が半日で搬出する物量を遺品整理業者は1日必要となります。それは前項に記載させて頂いた「遺品としての分別」と「搬出の効率性」を追及した搬出方法が異なる為です。

4 追加料金やトラブルは、どうでしょうか?

一般廃棄物収集業者による不当な追加請求や不法投棄等は耳にした事は有りません。一般廃物収集運搬業者の免許(認可)は行政から発行されています。現在において一般廃棄物の免許を取得する事は、ほぼ不可能と言われています。その原因は業者の「飽和」によるものと聞いています。一度、失えば取返しが付かないのが一般廃棄物収集運搬許可です。行政からの委託を受け多くの事業者が存在しています。彼らは常に行政の指導下に有り、コンプライアンスを順守する事、せざる得ない環境下に有ります。「追加請求等」のトラブルが消費者庁のみならず管轄行政の耳にでも入れば大変な事になると言うのは彼らも十分、承知され、教育もされています。

その一方、遺品整理業者に歯止めをかける行政や仕組みも有りません。それぞれの価値観に基付き事業を展開しています。遺品整理士認定協会も常に啓蒙を鳴らしていますが、追加請求や不法投棄等のトラブルが多いのも遺品整理業者です。ただ、後ほど御案内させて頂きますが遺品整理業者と遺品整理専門業者では取り組みや施工方法は、まったく異なっています。

5 他に違いは有りますか?

弊社で申し上げれば工程の違いです。長年住まれた家屋や共同住宅の箪笥等は、いくら掃除を丁寧にされていても箪笥裏まで手は行き届きません。多くの場合は埃が堆積しています。遺品整理は故人様の引っ越しです。共同住宅で有れば共用部の養生、エレベーターが有ればプラダンを使用した養生を、水回り(キッチン・トイレ等)や床面はポリッシャーを使用した清掃を行います。また、搬出で使用した共有部や搬出の為に使用した搬出場所もオプションでも無く通常施工の工程として清掃を行っています。ただ、これは弊社の場合による勝手な価値観で行っている物で遺品整理を行う同業他社の、それぞれによる工程やクオリティーは求めている水準が異なっているとも感じています。基本的に遺品整理での清掃は特殊清掃に近い状態の家屋も稀に有ります。少し乱暴な申し上げ方に受け取られるかも分かりませんが、一般的なハウスクリーニング業者の標準的なスキルでは対応が困難な家屋も存在しています。清掃においても多くのハウスクリーニング業者では、そう言った施工現場を経験した事の無い方が多いとも感じます。また、使用している洗剤の数や、それを希釈する濃度が異なる事が一番の要因とも考えています。

また、一般廃棄物収集業者との大きな違いは金庫です。処分方法が一般廃棄物処分業者と遺品整理専門業者では異なります。一般廃棄物処分業者は、金庫も合理的に処分します。実際、金庫の多くは多額な現金や貴金属が入っている事は稀です。殆どは重要書類で有る権利書等の不動産書類や手紙が多くございます。また、金庫を開ける為に必要な番号の控えをお持ちになられて無い方、お困りの御遺族も多く拝見させて頂いています。時には金庫の存在すら御存知無い遺族もいらっしゃいます。弊社では金庫の処分が前提有れば無償で開錠いたします。正確には破壊行為になると思いますが、開錠は必ずクライアントの立ち合いの元、行うようにしています。数年前、他業者が金庫から数百万円の遺失物横領を行い逮捕されたと言うニュースを耳にした事が有ります。金庫の開錠は専門業者へ依頼をすれば2~3万円の施工費用と出張料が必要となり結果的に高額になる事も有り、「何も無いだろう!?」と言い聞かせ不安ながら未開錠のまま処分するクライアントもいますが、処分が前提で有れば、そんなに困難な物では有りません。(詳しい事は防犯上の観点から控えさせて頂きます。)弊社においては無償で対応しています。

弊社見解まとめ

合理的に短時間で廃棄施工をこなすか?遺品として時間をかけ施工するか?この違いが大きなポイントだと思っています。

一般廃棄物収集業者を御利用される際は皆さんでまず、貴重品や想い出の品を確認する作業から進められる事をお勧めいたします。

また、大切な想い出を確認したい!貴重品等の捜索物が有る!と言われる方はプロの遺品整理業者への選択をお勧めさせて頂ければと思います。

長文となりましたが遺品整理や生前整理・特殊清掃の専門業者はそう多くは存在していません。殆どの業者に主業が有り兼業で遺品整理等を行っています。これを否定するつもりは有りませんが、それぞれの経営状態や経営方針に基付くものとも考えています。ただ、両立させるのは中々、困難でも有ると考えています。

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