作業時の補償について

遺品整理等での施工中の事故は、弊社においては修繕費用の弁済などを行います。ただ、家屋の状態により「見積り時」に細かい説明はさせて頂いています。

1 家屋の経年劣化による破損

空家整理等で数多く見受けられるのが「床板」ならびに、それを支えている根太や大引きの腐食です。空家整理の場合、長期間、室内換気を行われていない場合や、空家になった事により家屋の手入れが滞り家屋周りの排水溝に落ち葉や土砂が堆積する事によって、排水溝の「あるべき機能」が失われ、雨や雪解け水によって床下に浸水する事が大きな原因となっています。浸水する事により密閉された屋内の湿度は上がり、雑菌(カビ)の繁殖やシロアリにとって住みやすい環境となってしまいます。このような環境になると比較的に早いスピードで床材の腐食が進んでまいります。腐食が進む事により床板の本来の機能はなくなり重度の場合は見積時に畳が床下に落下している事も多く見かけます。

また、その過程中の場合は歩行を行うだけで床が沈んでいきます。そう言った環境の見積りではクライアントに必ずアナウンスするのが「補償」は出来ない事を伝えさせて頂いています。このような床板状況の多くの場合、コンパネ(厚めの板)を準備し養生を行ってから作業を行いますが、それでも冷蔵庫や思い家具の搬出時に床板が抜け落ちる事も有ります。

また、床下の腐食箇所の撤去(畳や、大引き根太)安全の為に撤去の依頼を受ける事もございます。多くのクライアントの皆様(弊社においては全ての方々)には理解を頂き「ケガが無いように」と配慮まで頂いておりクライアントには恵まれていると、いつも感謝しています。

ただ、実際の施工では床が抜けおちる事もしばしばです。この様な状態の場合には補償は行っていません。

2 特殊清掃時においての臭気拡散

死亡現場やゴミ屋敷現場では気化したガスや臭気源が室内に充満しています。特殊清掃を行う上において臭気源の撤去や消臭の為、入室する際のドアの開閉は避けられない行動です。その臭気は一般の方々にとっては「経験した事の無い」強烈なものです。換気扇が稼働されていたケースなどは、見積り時に訪問した際、エレベーターをでた途端に30m先の臭気源の有る部屋からの臭いが漂っている事も有りました。孤独死をされた特殊清掃が必要な現場の場合、御本人(故人様)が一番、不幸である事は間違い有りませんが近隣住民にとっても同様です。「洗濯物に臭気が付着した」季節による「風向き」によって隣人宅内に臭気が入り込む等のトラブルも発生致します。そのような状況の場合、度合いの大小はございますが「心理的臭気」「記憶臭」等を感じられる方も、いらっしゃいます。多くの場合は「その臭い」に敏感に反応される事も多く、家財の搬出時や臭気源の撤去作業時の近隣住民からのクレームは誠意を持って対応や説明を行いますが補償も出来ない事は最初にお伝えさせて頂いています。

3 清掃におけるアクシデント

弊社において「清掃」は最も注力している施工の一つです。弊社は床面と水回りは遺品整理、生前整理、空家整理においてオプションでも何でも無く標準施工として行っています。清掃において使用する機材は「ポリッシャー(特殊清掃用と一般遺品整理用もそれぞれ使い分けしています。)や、ハンドポリッシャー、業務用高圧洗浄機、洗剤」においては家庭用から業務用まで数えると今では30種類以上の薬品やゴールドモアジャパンのう薬品まで使用しています。比較的に家庭用洗剤は扱いやすいのですが効果が薄い物が多いのも現実です。

逆に業務用洗剤の効果は大変に優れた物が多数ございます。ただ、非常に扱いにくいリスクの有る物も多くございます。アルカリ性の洗剤を一つ取ってみても使用方法や洗浄部分の状態によっては危険な物となります。例を申し上げるとキッチンに有る「換気扇フード」です。長年に渡り使用され続けると油分が凝固しています。換気扇はアルミで作られている事も多く換気扇フードは塗装されている物がほとんどです。油分にはアルカリ性洗剤が最も効果出す薬品と考えていますがアルカリ性洗剤はアルミに変色を起こします。また、劣化した塗装も一緒に剥いでしまう事も有ります。ただ、予測できる範囲ですのでクライアントへは、リスクと効果を明確にお伝えし使用する薬剤の効果とリスクを選択して頂いています。クライントの選択に沿って施工を行います。こう言った事前説明外のアクシデントが起きた場合は当然、弊社で損害賠償を行いますが、それに該当しない事案に付きましてはクライアントから損害賠償やクレームを頂いた事が無いのが弊社の誇りとなっています。

4 事故報告

例外として敢えてお伝えすれば損害保険にて事故対応する場合には必ず「事故報告」が必要となります。弊社も1億円までの賠償責任保険に加入しています。ただ、損害保険会社によって異なるかも分かりませんが事故に対しての報告期間と「通知義務」が発生します。これは、いつ?どこで?誰が?何をした?損害額は?等です。これは、交通事故でも一緒だと思います。以前、あるクライアントからの見積り時に「御社は半年後、1年後でも家屋内損傷が有った場合も補償してくれるのでしょうか?」との質問を頂いた事がございました。弊社の回答は「保険会社が対応してくれるまで」とだけお伝えし施工はお断りさせて頂きました。例えば半年前や1年前に起こしたクロスの傷やフローリングの傷は月日が経つと共に劣化して行き「いつのものか?」判断が付かなくなります。当然、損害保険会社も対応を取り合ってもらえない案件になる事も確信できるからです。

5 弊社での補償

弊社では過去の2度程、損害保険を利用した賠償を行っています。1度は大きなブラウン管をスタッフが誤ってフローリングに落とした事故です。2度目は養生テープを剥す際にフローリングの表面(劣化)部分が一緒の取れた事案です。両案件ともクライアントにお詫びを申し上げ現状復帰工事まで責任を持って対応させて頂いています。弊社の損害保険の限度額は1億円にしています。一般家庭での対応では十分な金額と考えていますが共同住宅(タワーマンション)のエレベーター補償には必要な金額とも考えています。

6 遺品整理、特殊清掃業者「補償」の見分け方

弊社においても今後は準備しなくてはならないと考えているのが賠償責任保険の保険証書です。ただ、これを持ち歩く業者はまず、いないと想像しています。ただ、自動車の任意保険にも加入していない業者もいるとも聞いた事がございます。以前、広島県東部地区で弊社が手配した一般廃棄物業者が家屋に車両をぶつけ損傷を起こした事故が有りました。仮に事故を起こした一般廃棄物業者が任意保険に加入していなければ弊社が「使用者責任」を問われ弁済補償義務が発生する事になりかねます。保険の加入は必須条件ですが、事故率が高い法人もしくは個人は損害保険会社から加入を断れるケースも有ると聞いています。これを見抜くのは、これだけ情報保護がされている現代社会において個人事業主の税務署への事業者登録や、法人の詳細情報を短時間で解決するのは困難とも思っています。

まずは、インターネットで住所検索を行ってみて下さい。同じ住所で屋号を変えた同一の事業主や姓や屋号を変えた事業主等のヒットが有った場合は慎重に考えた方が良いと思っています。個人事業主が「屋号」「姓」を変える事は大変に珍しい現象です。屋号や姓は商いにおいて、言わば「看板」です。慎重に考えて見てください。また、法人でも同様のものと考えていますが、法人で有れば、まず「法人NO」あるのが必須です。インターネットで社名、法人NOと入力し検索されなければ「架空会社」の可能性もあります。当然、実態の無い会社と損害保険契約を行う会社ありません。以前、弊社でも実態の無い休眠中の会社からの請求書が送付された事がありました。弊社の場合は各分野の「仕業」に就かれている方々の御支援にも恵まれ災いを防ぐ事ができました。これは、遺品整理・特殊清掃などに限ったお話では御座いません。皆さんの身近な生活空間でも起きうるリスクと考えています。どうか、今後の参考にして頂ければと思います。

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