空き家の固定資産税について

現在、過疎化により空家問題が、話題になっています。更に高齢化社会に突入した今、これからも空家が確実に増加していきます。これに「歯止め」をかける目的の一部が空家に対する固定資産税の改定に繋がっていると考えています。ですので全ての空家に適用される性質のもでは無いと私は受け取っています。

空家対策の法律は正式に「空家対策特別措置法」の一部改正が令和5年12月13日より施工されました。

特定空家指定条件は

ア)倒壊の危険性

イ)著しく衛生上有害となる恐れ

ウ)管理不足により著しく景観が損なわれる

エ)周辺の生活環境の保全を図るために放置する事が不適切な状態

との事です。

特定空家指定は協議会により、検討・協議がされる事になっています。協議会は市町村長・住民・地方議員・法務・不動産・建築・福祉・文化等の識者等を持って構成され、空家の所有者(不明の場合)を把握する為の立ち入り調査が行えるようになっています。

特定空家指定等に関する措置について

1) 助言・指導
2) 相当の猶予を持って必要な措置を取る事を勧告する事ができる
3) 措置を交付された物は交付の日より5日以内に市町村長に対し意見書を提出し公開による意見書の聴取の請求が行う事ができる
4) 改善命令
5) 罰則・命令に違反者は50万円以下の過料、虚偽の報告もしくは立ち入り調査を拒む・忌避した者へ20万円以下の過料に処すとなっています。

また、基本は行政指導の後、何らかの施策を行なかった場合は、特定空家指定とされ住宅用地例(1/6)が適用されなくなり固定資産税が6倍になる恐れが有ると言う物です。

まず、街中に有る空家と過疎地に有る空家について弊社の空家整理を行った経験上の私見を御説明させて頂きます。

1 過疎地にある空家

過疎地の空家の多くは高齢者が長年、住み続けられて事も有り相当な年月を経過しています。遺族・親族とも過疎地はアクセスの悪い場所に有る事も多く家屋の換気等も行われていない事も有り、室内は湿気やクラックも多く床板の腐食も多く見られます。また、敷地内は雑草や庭木が生え、その多くは「雨とい」に枯葉や枝が詰まり本来の機能が果たせていません。その為、軒から雨水が浸潤し更に家屋の損傷を加速させて行く結果と

なります。また、過疎地の家屋内は一般的なマンションでは比較にならない程、部屋数や部屋も広く、長年住まわれた方の「想い出(物品)」に溢れています。空家整理を行う上において物量は途方に暮れる家屋も多くございます。

2 市街地に有る、空家

市街地に有る空家は4DK~5LDKが多く数十年も空家になっている家屋を目にする事は稀です。市街地で空家となった家屋は比較的に早い段階で「空家」の運用方法が決まるからです。

主要都市の特に中心部に有ればある程、アクセスも良い事も有り需要は高く売却しやすい事やコイン駐車場への資産運用等、選択肢が多い事が大きな要因と考えています。

3 過疎地の空家の資産運用

過疎地で遺品整理や空家整理を行う際、クライアントが一番、苦慮されるのが運用方法です。過疎地では、空家も多く有ります。そのほとんどが空家バンクに登録されていますが、「借りて」や「買い手」も付かず放置された状態で需要と供給バランスが取れていません。

また、遺品整理・空家整理費用においても「遠隔地」にある事、絶対的な「物量」も多い事もあり一般的な作業よりも割高になります。主要都市中心地のマンションに納屋は有りませんが歴史の有る家屋の遺品整理や空家整理の場合は離れや納屋が存在し納屋だけで3LDK分の物品が収められている事も多くあります。部屋数も10部屋以上の家屋も多く高額な施工料金となります。勿論、弊社も企業内努力は行っていますが広島県東部の一般廃棄物業者は移動時間の人件費や運搬料も発生してしまいます。家屋や土地に資産価値が少ない物件では遺品整理や、空家整理費用、解体費用で資産を上回る事も多く見て参りました。また、リフォームを検討されている方もいらっしゃいますが

床板の腐食や家屋自体が傾斜している物件などの修繕は途方も無い予算も必要となります。

4 「相続放棄」と「管理義務」

強硬に執行されるものでは無いと予想していますが「悪意の有る空家」に対してはそうでも無いとも思っていますし「相続問題」が絡み合っているケースも散見されます。

また、解体し更地にした場合では、固定資産税の特別措置が受けられなくなります。空家問題は「空家放置」では無く、そうせざる得ない社会環境が一番の原因では無いかと考えています。相続放棄を行った場合はどうでしょうか?当事者や相続者に経済力が無い場合、どうでしょうか?現専有地に限り家屋や田畑などの「管理義務」が発生するとの事です。これは例え相続放棄を行ったとしても家屋倒壊等の危険性が発生する恐れが有る場合等は、この「管理義務」が付いてまわります。詳しい事はそれぞれ事案が異なる性質になるとも想像していますので仕業の先生方への相談をして頂ければと思います。

5 特定空家指定について弊社の思い

特定空家指定協議会は色々なエキスパートにより構成された方々ですので誤りは無いとは思っていますが、行政により災害危険地域に指定された地域に家屋を所有されている方等はどうなのでしょうか?指定された事により土地の売却は更にハードルが上がるものと考えます。

行政も資産価値の有る土地については「無償贈与」を引き受けてくれますが、そのでない場合は「拒否」されるようです。

本当に空家対策を実現する上において避けて通れない課題と感じています。このような課題に政治家の先生方にスポットを当てて頂ければと願うばかりです。

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