遺品整理、特殊清掃の仕事について

今、求人を行っていますが求職者やクライアントから「辛くないですか?」の質問を多く頂く事が有りますので、今回は遺品整理・特殊清掃の「辛さ」について御案内させて頂きます。

遺品整理や特殊清掃の基本は「思いやり」と「気配り」それと「体力」が必要となります。ただ、女性に男性と同じ体力を持ち合わせえている方は皆無に近いと思っています。女性には女性の優位性が有ります。女性の視点での行動や判断は多くのクライアントから指示を受けています。

例えば「キッチン」です。キッチン棚の下の汚れの場合、男性は上から見下ろす事になり、棚の下の汚れに気が付かない事が多くございます。女性の視線で捉えると、はっきり汚れを目視する事ができます。ただ、弊社のキッチン担当は食品や調味料等の細かい分別を要求されます。男性スタッフも正直な所「辛い」と感じる事は多々ございます。「辛さ」は「肉体的」「精神的」の双方ございますし、捉え方によっても大きく異なるものと考えています。

1 肉体的

遺品整理や特殊清掃において1年間を通じ春は大変に施工しやすい気候ではございますが、弊社は少し手の込んだ施工を行う事も有り、季節毎に苦労が多くございます。

夏の遺品整理や空家整理の場合は「草刈り」や「伐採」も行う事も多く「ムカデ」「蜂」「マムシ」などを散見する事も少なくありません。ここ4~5年は猛暑のせいか「蚊」が少なくなっているのが唯一の救いです。草苅等の作業は日陰も無く毎回、熱中症による脱水の連続です。

特殊清掃においては、近隣対策の為、家財搬出以外は扉も窓も締め切った状態で施工する様にしています。当然、夏場は1時間毎に給水を行いますが、それでも私自身も「目まい」「痙攣」などに襲われる事も度々あります。また、搬出にネコ(一輪車)も使えないような急な坂道に階段のある現場などは上り下りだけでクタクタになってしまいます。

ただ、特殊清掃において消臭には「温度」が必要となってきますのでメリットもございます。秋の室内作業は比較的に快適に行えますが家屋の室外(庭周り)は落ち葉に覆われて非常に時間を要する事がしばしばです。冬は冬で室温や水道の温度が下がる事も有り、夏場では普通に除去できる「油汚れ」も手ごわい敵となってきます。弊社では水タンクを持参し「パイプヒーター」で水温を上げ、湯で洗剤を希釈するなどの対策を取っていますが、ある程度の湯音になるまで時間を要する事が課題です。

また、「塀・駐車場」の清掃の際に高圧洗浄機を使用いたしますが、あまりにも冷え込んだ時などは、高圧洗浄機内部が凍結し洗浄できない場合もあります。そんな時はエンジンだけオンにして、ひたすら氷が解ける迄、待つと言う事も有ります。特殊清掃においても、ある程度(25℃)以上の室温が必要となりますので、ファンヒーターを持参しながら「じっと待つ」事も多々ございます。

ただ、述べさせて頂いた事は職業としては「苦」と感じた事は有りません。

2 精神的

色々な遺品整理や特殊清掃がございます。どの職業も同じように「辛さ」がございます。私が個人的に「辛い」と感じる施工は「若い方」の施工です。「若い方」と申し上げてもクライアント・遺族の両方の場合がございます。双方とも私にとっては非常に「悲しく感じる」施工です。

若い方(20代~30代)がクライアントの場合は、どうしても私自身の子供の世代で有り我が子と被らせて見てしまう事も、多々あります。母子家庭で育ったクライアントの場合は「親子の絆」も強く感じる事も有ります。以前、広島県内の遺品整理で故人様の娘さんに当たる方から依頼を受け施工させて頂いたのですが、施工時にその方の幼稚園、年少・年中・年長組に始まり高校生になるまでの作文や絵等がその年代毎にダンボール箱に保管されていました。その想いでの品(ダンボール箱)をクライアントに確認して頂くと「一箱、一箱」を無言で確認されていましたが、その横顔から「涙が流れ落ちている」様子が今も忘れられない「辛い」時間でした。言葉や文章では伝えられない・・・と感じています。

また、若い子供さんを亡くされた御両親の場合も年齢が私とも同世代と言う事も有り、遺品整理士としては不適格かも分かりませんが感情移入してしまいます。先ほどまで、明るく会話をされていた方が突然、涙を流され下を向かれる姿を何度も何度も見て参りました。私には掛ける言葉も無く、黙々と施工を続けるしか有りませんが恐らく「自らの寿命と引き換えにしたかった」「なんで、もう少し前に気が付かなった?」などと自問自答されている様子を伺う事しか出来ない時が、とても私には「辛い」時間です。施工後も施工費用の支払い等に連絡を頂く事が多くございますが、やはり「未だに心の整理がつきません。」「どうしたら良いのでしょうか?」等の相談を頂く事も数多くございます。その方の人生や歴史、家族関係など、まったく知らない他人の私に軽々しく口にされるのはどうでしょうか?私だったら聞くのは聞いたものの軽々しく語られると決して良い感じがするものでは無いのではと想像しています。ただ、「聞く」事により少しでも親族の方の気持ちが落ち着くのであればと思い、お話を伺っていますが「無力さ」を痛感する事も多いのが正直な気持ちです。

ただ一つ、私が遺族の方にお伝えする事は「明日」「明後日」「これから」どんな「御供養を故人様にされますか?」です。もし、私が亡くなられた故人様の場合、「ご両親の下を向く姿は見たくない」できれば「健康で健やかに過ごしてもらいたい」と願うと思うのです。そんな事をお伝えする自分自身に「やり切れない」日々も多く、「辛い」と感じる時です。

皆さん、人それぞれ寿命も時間も限られています。1日を大切して下さい。そして一人一人が「誰かの為に出来る事」を考えて頂き、行動に移さなくても構いません。頭の片隅にでも入れて頂けたなら、今よりもっと幸せになれるのではと思います。

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