遺品整理と特殊清掃の違い

先日、電話問い合わせで「遺品整理と特殊清掃の違いって何ですか?」との質問を頂きました。色々な業者が定義を持っている為、それぞれ回答は有ると思いますが、弊社の定義を「遺品整理」「生前整理」「空家整理」も含め御案内させて頂ければと思います。

1 遺品整理

まず、遺品整理は文字通り「遺族・縁者等、相続者」からの施工依頼で有り、家財所有者が亡くなっている事を前提にしています。ただ、天涯孤独の方の場合には、不動産管理会社や大家さんからの依頼の場合には空家兼遺品整理の扱いとさせて頂いています。遺品整理を行う際の施工の仕上げ清掃は「故人様の最期の清掃」として取り組んでいます。長年住まれている家屋では室内をどんなに綺麗にされていても、箪笥の裏の「綿埃」やキッチンの「油汚れ」、トイレの「尿石」等は一般のハウスクリーニング業者での対応では困難な状態が散見されます。「故人様の最期の清掃」は弊社も「供養」の念を持って対応させて頂いています。

2 生前整理

生前整理は所有権を持たれている方、自らの家財等を整理する事を指しています。ただ、最近は老人ホーム等の費用も結構、高額に成る事から、入院された方の「回復見込み」が無い場合にも同様の依頼が有りますが「生前整理」と定義としています。私の個人的な思いでは「戻ってこられない」準備のようで、気が進まない事も有りますが、各ご家庭の経済事情や「老々介護」と言われる、この時代には依頼して頂く皆様の心情を察すると、止むを得ない「選択」とも考えるように成りました。また、最近の生前整理では傾向が少し変わりつつ有り、「ゴミ屋敷」「物屋敷」の要素が強い「生前整理」も増えて参りました。生前整理は以前、テレビ取材の時にも、申し上げましたが、依頼者の「想いで整理」です。「ゴミ」や「物」に埋もれていた物を発見されると「手放したく無い」と口にされるクライアントと、それを説得する御家族のジレンマの中での施工となり、弊社にとっては困難案件となるケースが多くございます。また、「物屋敷」は「引きこもり」の方にも多く見受けられ昔と違い現代はネット通販で全てが整う様な事も背景にあるとも想像しています。高齢者の、その場合は「同じ物を何個も何個も」購入され「物屋敷化」している光景も普通に見かける様になりました。

3 空家整理

「空家整理」はどうでしょうか?両方(遺品整理・生前整理)に当てはまらないケースや両方に該当する要素が多いのも実情です。

所有者が存命で遠方に住まれ家自体を処分(売却)したいとか、「祖父が亡くなって空家」になっているとか色々です。弊社の定義は「亡くなられた方の2周忌法要」までは「遺品整理」としており、それ以上は単純に文字通り空家整理と定義しています。空家整理の場合の多くは雑草や雨漏りによる腐食や「シロアリ」による床下の腐食も多くございます。害虫等も多く発生し畳も根太や大引きと一緒に抜けている場合もあります。この様な状態の場合は家屋解体を選択されるクライアントも多くございますが、売却を検討されているクライアントには敢えて提案を行わせて頂き、「求められている」施工を行っています。

4 特殊清掃

特殊清掃は、「遺品整理」で有れば「孤独死による「死臭の除去」、「ペット臭の除去」生前整理や、空家整理でもよく有るケースは「ゴミ屋敷」による「生ごみ臭」の除去や、「カビ臭の除去」「たばこ臭の除去」等、千差万別です。

特殊清掃と遺品整理を混同されている方も多くいらしゃいますし、遺品整理と同様の工程で施工されている業者がいる事も耳にする事が有ります。特殊清掃は遺品整理・生前整理・空家整理と、「どう違うか?」を御案内させて頂きます。

1 特殊清掃は遺品整理と異なり「緊急性」が求められます。「臭い」により近隣からの苦情なども多く、場合によっては警察に通報されたケースも有りました。特殊清掃では、まず「消毒」を行い「臭気拡散」しないように「応急処置」が必要になります。特に近隣からの苦情が有る場合は「臭いに敏感」になられている方々も多い事から養生テープ等でドア枠や窓枠を覆い臭いが漏れないような対応が必要となり、初期対応の一部として体液の簡易除去作業(体液の付着した布団や衣類の梱包や特殊洗剤を使用した簡易清掃を行い臭いの拡散防止から始まります。
2 遺品整理等は、クロックス等の上履きを準備し入室致しますが、特殊清掃は靴カバー(使い捨て)を使用します。これは汚染箇所(体液)を上履きや靴等で踏み歩く事により、臭気を拡散させない為です。
3 遺品整理等の場合はグローブのみ使用しますが、特殊清掃の場合はグローブの上から医療用のゴム手袋を2重に装着します。これは、汚染物(体液等)を掴んだ手で他の作業をする事により家屋の柱・壁等への汚染範囲の拡大を防ぐ為です。施工時は、その都度、ゴム手袋を交換(廃棄)する必要がある為です。
4 特殊清掃は遺品整理と大きく異なる点は物の搬出の仕方が異なります。遺品整理や空家整理の場合で有れば、貴重品の確認を行い「より効率的」な搬出方法を選択しますが、特殊清掃の場合は、汚染部(孤独死で有れば体液浸潤箇所・生ごみ臭で有れば腐敗した床板)などの周りから、整理を行います。
これを皆様に分かりやすくする為に「家屋まわりと、庭掃除を行う場合」を例に御説明させて頂きます。
家屋まわりと庭を掃除をする際「庭の真ん中に汚れた水溜り」が有るとします。この家屋周りと庭を掃き掃除する事になった場合は、どうでしょうか?皆さんは水溜りから、箒を使って掃除を行うでしょうか?水溜りを体液と例えるとどでしょうか?
水溜りで使用した箒で玄関を掃くと水溜りの泥水が玄関や家屋周りにまで広がり、掃除するどころか、逆に汚れを広げる結果を招きます。特殊清掃にいては「臭い」を広げない事を前提に施工しなくてはなりません。
5 特殊清掃には消臭の為、工具が必要となります。遺品整理では、使う事の無い丸鋸・セイバソー・グラインダー等、数えればきりがないくらいの道具が必要です。また、工具は「コードレス」を使用します。なぜならコードが汚染部に接触する可能性があるからです。
例えば「電動のこぎり」を使用し体液の付着した床板解体を行わなくてはならない場合等、コードが有れば床に着きます。床は体液を吸収した「埃」や「体液」が」有ります。これを防ぐ為にもコードレスの電動工具が必要となります。
6 最後に特殊清掃では、やはり「特殊な洗剤」「薬剤」化学の知識も必要とします。社内秘密の為、オフィシャルには申し上げられませんが「最新」の特殊清掃ではレストレーションを活用した物も多くなってきました。以前はオゾン燻蒸機を活用した消臭方法を行っていましたが今はオゾン燻蒸を行わない施工方法も採用しています。これもSDGs「環境に優しい」薬剤で消臭に取り組んでいます。
ちなみに、この施工で使用する薬剤は全て「植物性」で生成された物を使用しています。中国地方で、この施工方法での消臭を行え、確立出来ているのは、今の所、弊社だけの状況です。

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