孤独死と臭気

突然ですが、2019年朝日新聞のデータによる都道府県別死亡解剖率、広島県は1%全国ワーストワン、岐阜県2%大分県で3%、全国34府県で10%以下の数値を知りました。
改めて広島県の1%にはエリアをカバーしている弊社としては驚愕してしまいました。
ただ、特殊清掃・遺品整理の見積時に遺族の方から警察から「死後〇日~△日と連絡がありました。」と伺う事が多くございますが、私の感覚的(いいかげんな物かも分かりません)に死亡推定日に違和感が多くありました。上記の数値を勘案すると残念な想像が過ってしまいました。
想像しては、ならない事では有りますが広島県において、死亡解剖率1%と言う事は、腐乱状態であれば99%の孤独死が「死因不詳の死」と位置付けられ「孤独死」で無い場合も有るのかも?と考えると複雑な心境です。
ただ、遺族感情を考えると「不詳の死」「病死」が一番、穏やかに過ごせるのかも分かりません。
背景には様々な事情が有る物と推察しています。監察医やスタッフ不足、監察医の待遇や
設備、監察医は医師免許が必要な業種です。遺体解剖には死体検案認定医や日本法医学会法医認定医の資格取得も必要となります。また、医師として患者の治療を目指されて医学を学ぶ多くの学生さんも、「目指したい所」「目指したい」職位、収入や生活においても大きな壁があるのではと想像しております。

「多死社会」と叫ばれている現代において広島県内の司法解剖を行っている方々には、休む暇も無い程、多忙な毎日を過ごされていると想像し感謝を申し上げたいと共に行政はもう少しスポットを当てて頂ければとも願っております。
神奈川県では死因究明の為の解剖率は40%と全国1位のデータとなっています。

このデータを高いと感じるか低いと感じるかは皆様の感性による物と考えますが私も基準の判断が付かない事も有り疑問しか残らない数値でした。
ただ、特殊清掃・遺品整理を主業としている我々からみると死後〇〇日との情報を頂き参考にはさせて頂いていますが、実際には室内の状況や生活環境、故人様の体格や体重によって施工方法、施工範囲が大きく異なって参ります。
また警察官の方々が臨場の際、「ガラスを割って」「ドアを工具で切って」入室される為(どうしようも無い事です。)、室内に外気が入り室外に臭気が溢れ、漏れてトラブルになられるケースも散見されます。
もし、皆様の周りでこの様な状況に遭遇した場合は養生テープ等を使ってドアのフチを貼り付け工具で切り取られたドアも養生テープで塞いでしまえば近隣トラブルのリスクも軽減できる事をお伝え頂ければと思います。

注意すべき点は、スチール製のドアの切断面や窓ガラスを割られた後は指や手首を傷つけるケガの元になりますので慎重な対応が必要です。
また、室内の換気をされる方も多くいらっしゃいますが、あまり効果の無い対応です。これは逆に臭気を外に出す事なので結果として近隣住民からの苦情を誘発させる行為になります。特殊清掃を行う上においても換気扇やダクトの中まで臭いが付着しますそれがトイレや浴室であればなおさら、工期が長くなり施工費用も増えてきます。
多くの特殊清掃業者はユニットバスの消臭を行う事ができません。ユニットバスはFRP(硬化プラスティック)で作られています。FRPも新しいうちはコーティングがしっかりされているので臭気も除去できますが、劣化したFRPは一般の消臭業者のスキルでは対応できない事が多いのが現実です。実際、広島の同業他社から「教えてほしい」と依頼が来る事もあります。

また、以前にも記載させて頂きましたが浴室にはカビが繁殖して
います。そこに換気扇を稼働させると揮発した体液が集中的に引き寄せられす。
トイレで換気扇が稼働している場合においても同様です。狭い空間の壁面の多くは石膏ボードで囲まれています。石膏ボードは臭気を吸い込みやすく除去しにくくなります。
もし、皆様が、そういった状況に遭遇した時はタオルやタオルケットで体液浸潤箇所を覆いかぶせ、少しでも体液揮発を抑える初期対応をとって頂ければ良いのではと思います。
その際、皆様が気をつけないとならないのが感染症です。ウィルスで例えればコロナや肝炎などのウィルスです。ウィルスは一般的に2週間で死滅すると言われていますが、「不詳の死」の場合は消毒も必要となります。
その次に怖いのがやはりカビです。特殊清掃現場の多くではカビが多いのも特徴ですがカビが怖いのは胞子が空間に浮遊する事です。カビが人体へ及ぼす影響は皆様が周知されている通りです。

参考までに、お伝えすると死後1年以上の現場で特殊清掃を行う場合、臭いはそれほど強いものでは有りません。乾燥してミイラ化すると体液も粉状になっています。ただ、揮発した体液は石膏ボードの奥深くまで乾燥した状態で留まっている為、消臭には工期がかなり長くなります。
臭気は湿度、温度が高ければ「活発」になり低ければ「おとなしく」なる様に変化してゆきます。
例えば、冬と夏では腐敗の進行状況が大きく異なるは勿論ですが、冬でも暖房が十分にされている室内では腐敗進行は早くなり臭気は活発になります。また、夏でも冷房が十分に行き届いている室内では腐敗進行は遅くなり、臭いは比較的におとなしくなります。
孤独死で特殊清掃を行う場合の一番良い方法はやはり習熟度の高い特殊清掃、遺品整理の専門業者に依頼する事がベターな選択とも思います。初期対応の施工方法によって近隣への臭気拡散も抑える事ができます。最近はリサイクル業者や不用品回収業者、ハウスクリーニング業者、解体業者など兼業で特殊清掃を掲げている方達も散見する事が多くなってきましたが必要な機材、薬品も持ち合わせない方々が多いのも残念ながら現実です。
ただ、業者選定には皆様の多くは「皆目見当が付かない」と言う声を耳にするのも実情です。

そんな方々は是非、弊社にお問い合わせ下さい。北海道でも沖縄の方でも構いません。弊社に依頼を頂かなくても構いませんので御一報ください。適格な助言はさせて頂けるとは思っておりますし、こういった活動が特殊清掃・遺品整理業界の発展に繋がると私は信じています。

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