遺品整理や特殊清掃の搬出において養生や業者の損害賠償責任保険は必ず必要ですか?といった質問をお客様から頂き、今回はそれらについて分かりやすく解説させていただきます。
1 共同住宅の場合の共有部
共同住宅の場合、他の居住者も廊下、通路などのエレベターを使用されています。遺品整理を施工する際、どんなに几帳面な方の部屋でも箪笥裏、冷蔵庫下や裏などに日頃、手入れが出来ない埃が堆積しています。これは目視できる物も有ればそうで無い物も多くございます。
また、冷蔵庫の冷凍室に霜が付いている場合等は、搬出中に霜が溶け共有部で有る通路に溶け落ちてしまう事も有ります。こんな場合、すぐに気付き拭き取り等の対応を行えば良いのですが、搬出中は共有部、通路の壁やエレベター内に傷を与えない様にスタッフ全員が「そちら」に気を付けて作業をしている事も有り、見落とす事も正直、有ります。水分等が床に落ちるだけで有れば拭き取る作業だ
けの対応で済むのですが、「それを」靴で踏みつけると浸透圧の影響で靴の足跡を残してします。これもすぐの対応で有れば簡単に拭き取れるのですが、浸透圧によって付いた靴跡は中々、除去するのは容易な事では無い場合も有ります。また、万一弊社の施工原因による汚損原因で弊社にクレームが来るのであれば、まだ良いのですが、実際には遺族にクレームが行く事も有るようです。遺品整理業者としては恥じるべき事故と考えています。
弊社において遺品整理による清掃は故人様に対しての最後の清掃です。よって「引っ越し」同様もしくは、それ以上の水準の施工を考えている為、共有部の養生は必須と考えています。
2 室内養生
家財搬出時には必ずと言って良い程、効率的な屋内ルートを作ります。簡単に申し上げれば最短ルート、弊社も他社も生産性を上げる為に、どの業者も「このルート」を選択すると考えます。ただ、最短ルートには縁側やフローリング製の玄関等、傷に弱い材質を使用した物が多く有ります。縁側で有れば「ガラスサッシ」「フローリング」等がございます。特に縁側は日当たりの良い場所に有る物でフローリング等は、直射日光による紫外線で劣化が激し傷や損壊しやすい状態になっている物も多く有ります。極端な例を申し上げますと「養生テープ」の脱着だけでフローリングに表面が剥げる事も有ります。この様に養生作業の一つを取ってみても不要、必要では無く必須になると考えています。
3 搬出場所の養生
一般廃棄物業者のコンテナへ処分する家財を入れる時は必ずと言って良い程、その回りに埃等や小さな家財が落ちてしまう事もあります。また、雨の際にはコンテナから雨水が出る事や、コンテナの鉄製の車輪の跡が残る場合も有ります。これを防ぐ為にコンテナの車輪部分にコンパネ(厚さ14mmの板)を敷きモルタルやアスファルトを保護する養生の必要性も出てきます。
4 雨天時
雨や雪の日の養生シートは非常に滑りやすく危険な物に変わります。養生シートは分かりやすく申し上げれば撥水性の高いビニールです。ビニールが水に濡れると水分による膜が養生シートに出来る事により靴やスリッパでの歩行は大変に危険な物へと変わります。
弊社においては雨天時にはコンテナから屋内や共有部に繋がる場所では屋外で雨に濡れている養生シートは撤去(雨が降り出した時)もしくは養生シートの取り付けは行いません。雨天時の場合は雨にさらされている場所から養生シートを取り付けている場所への境目にはタオルを何重にも敷き外部から入室される方の濡れた靴の水分を除去し安全対策を行っています。
5 以上の様に養生は様々な場面で必要となってきます。
特に共同住宅においては様々の方々がお住みになっている事も有り遺品整理や生前整理等の作業によりエレベーター使用に「ご不便」をかける事は間違い有りません。また分譲住宅においても、共有部は特に「我が家」の廊下です。共有部の清掃には管理費から賄われています。その様に大切に使用されている共有部に搬出によるゴミや染み、傷が付いていたらどうでし
ょう?
入居者の管理費から対応を行うか?エレベーター内や共有部の損傷もクライアントにクレームや修繕費用の請求が行く事になります。本来、その様な損傷を起こした業者の責任には間違い有りませんが業者に責任能力(修繕費)が無い場合には施工を依頼したクライアントの「使用者責任」が問われる事にもなる事と思っています。中には損傷を与えて未報告のまま立ち去る業者もいる様です。以上の様に「養生」は建屋の
資産価値を保つ事、衛生的な搬出を行う事を最大の目的としていますが、遺品整理や生前整理等の家財搬出後の清掃(共有部)を行う上でも、効率的に清掃が行える為、弊社では必要と考え常に養生は行っています。ただ、悩みの種は養生シート等の部材の高騰です。ちなみに一昨年の価格の1.7倍になっています。ただ、施工料金には反映させていません。
6 損害賠償保険の加入