特殊清掃と高齢化社会の現実

コロナ渦を脱して(現在も蔓延しているようにも思いますが)他業種から「遺品整理」「生前整理」「特殊清掃」事業への転向や多角経営の一環として多く方々が参入してきています。また多くの業者が撤退しています。今も長崎、山口から「特殊清掃を習いたい」との問い合わせを頂いておりますが中途半端なスキルで事業を始められると依頼者に迷惑をお掛けする事から、皆さんには「特殊清掃に臨む」覚悟と申しますか、本気度を伺っている所です。
業界の発展の為にも業者数が増える事は歓迎する所では有りますが、遺品整理も特殊清掃も片手間で出来る事業では有りません。

特殊清掃も大きく分けて3タイプの施工方法をしている業者のご案内させて頂きます。
マンションのワンルームで例えますと

1つ目は「リフォーム型事業者」です。

これは専有部分の内装、部材をすべて撤去する事業者です。

2つ目は「現象対応型事業者」です。

この手法が一番、厄介です。簡易清掃と消臭剤を噴霧してオゾン燻蒸1日当たりの施工料金を請求する業者です。これでは臭いが風化するまで数年かかります。逆に言えば依頼者が1週間もかかると料金が加算され続けられる事により途中で妥協される結果を待つ業者ですし確実に臭いが戻ってきます。また、畳1畳分の体液が浸潤しているフローリングを10cm×10cmの切り取りを行い他の施工は何もしていない業者もいました。今年も他社の手直し施工の依頼が3件有りました。
私の知る同業他社の中には「特殊清掃はリピーターの有る仕事では無いので」とか「最初に臭いは完全には取れません」と承諾いただいて施工をすれば「良いのでは?」と申される方々もいらっしゃいます。これでは特殊清掃する意味も無いと思います。

3つ目は「原因対策型事業者」です。

この手法が弊社のポリシーとしている手法です。
異臭の「残り臭」は大きく分けて2つあります。一つ目は「体液が浸潤している場所」これは切り取りもしくは撤去が必要です。この施工は「リフォーム型事業者」と同じです。

二つ目は壁紙の裏、つまり石膏ボードに吸い込まれている揮発した体液です。
この部分を「リフォーム型事業者」は撤去いたします。正確に申し上げれば全ての壁に臭いが染みついています。「原因対策事業者」は石膏ボードで有れば揮発し吸い込んだ体液に薬剤を使い引っ張りだし臭いを除去します。部材等により薬剤は使い分けますが当然、時間はかかります。
また、一般の特殊清掃業者が苦戦するのが1Rや1LDKのユニットバスです。1Rや1LDK等の多くはバルコニーが北方向に有る建物は少なく、多くは東向きから西向きです。孤独死の多い季節(5月~9月)は南から西の風(気圧)が入る事が多く風はバルコニーから居間、居間から玄関(北側)に流れていきます。当然、体液が揮発した風は玄関へと押し込んでいきますが、行き場が無くなると狭小部であるユニットバスに入りこんでいきます。
ユニットバスはFRP(強化プラスティック)で出来ています。新しいFRPは比較的に臭いの除去は簡単に行えるのですが劣化したFRPの表面上はツルツルに見えますが実際はデコボコのザラザラの状態です。これを洗浄し臭いを除去するのは平均的なスキルの特殊清掃業者では困難であり途中で挫折する業者が多いのが現状です。弊社も以前は色々な施工方法で、たくさんの時間をかけ臭いを除去してまいりましたが今は「レストレーション」という新たな消臭方法で短時間(オゾン燻蒸を行わず)消臭方法を身に着ける事ができました。
特殊清掃は日進月歩で進化し続けています。
あまり、お伝えしたく無い事案ですが他社の広告では「最新技術」と唱っている業者が散見されます。実際に何が「最新技術か?」ホームページを覗いてみると「床のモルタルを斫る(削る)」画像や「スタッフが臭いを嗅ぐ」画像など残念に感じる事が多いのが感想です。
実際に「モルタルを斫る」作業は10年以上前では主流でした。また、ご遺体があった場所には間違いなく臭いが有ります。今は「体液可視剤」を使用する事が主流です。
体液可視剤を使用し体液の浸潤範囲を確定し不要な切り取りは行わず、現状回復費用が安価に出来る施工するのが特殊清掃業者の真髄です。むやみやたらに解体は無駄な費用をと時間を費やすだけで今の時代「SDGs」には「そぐわない」ではと思っています。
世界では「SDGs」で取り組みはじめたばかりでは有りますが「地球温暖化」は加速している様に実感しています。石油産油国や発展途上国にとっては大きな経済危機に瀕する事と考えますし、水没してゆく国々でも避けられない危機的状況です。

また、ロシアによるウクライナ侵攻は未だ出口の見えない戦争で、ミサイル、戦闘機、戦車により「地球温暖化」を更に加速させています。
日本国内においても北海道では熱中症による救急搬送者数が全国1位となった週も有り熱中症による死亡者数も急増しています。様々な事象の積み重ねが「地球温暖化」と言う「現象」を起こしています。
弊社においても8月、9月は18件の孤独死現場の特殊清掃をおこないました。まだ、施工中のお客様が、おられます。私は医師では有りません特殊清掃業者として異常な高気温に、なんらかの因果関係が有るものと感じています。
現在、日本において10人に一人が70歳以上と言われています。また、最近「多死社会」と言う言葉を多く耳にするようになりました。
この事象から弊社が多くの現場へ出向いた経験値から物を申させて頂きます。
孤独死をされる多くの方々の室内の大きな特徴としては、「物やゴミが散乱している事」これはセルフネグレクトに起因する事や体調不良により体を動かす事が辛くなった事が要因の一つと考えています。
この様な方は、決して家に人をいれようと致しません。
また、多くのお宅で「カビ」が発生している事が特徴的です。「カビ」が死因として認定されたのは世界で1例だけですが、なんらかの関係が有る物とも考えています。
カビが発生する要因の一番は湿度です、一重にカビと言っても10000種類以上のカビ
が存在します。体に害のない物もあれば、体に有害な物もあります。孤独死による腐乱臭もカビと雑菌が原因です。
特に汚れや物が溜まった部屋は通気性も悪くなり必然的にカビが発生致します。ただ、賃貸住宅など構造上の問題も大きな影響があると推察しています。

少し話はそれますが、以前に特殊清掃を行ったマンションで排水管と汚水管が直結されていた物件が有りました。
死後3日と言う情報を元に施工を行いましたが当初から強烈な糞尿臭が有り「体液可視剤」を使用して浸潤範囲を確認した所、ありえない範囲で体液反応が有りました。再調査の結果、汚水管と排水管が直結されて有り汚水と排水を同時に使う事により、その両方がオーバーフローし床に拡散した事が原因でした。遺族の方は大家さんから多額の損害賠償を受ける事はありませんでした。
皆様どうか以上の事に気が付かれたら「人を家に入れない方」のお家を訪ねてください。
そして健康状態や室内の散乱状態を確認してください。
皆様方の一人一人が出来る「SDGs」と新しい高齢化社会への受け入れ方を共に考察頂ければ幸いです。

今回は「SDGs」と新しい高齢化社会について触れましたが株式会社あぐりでは遺品整理、特殊清掃はもちろんの事、現代の高齢化社会問題などについてセミナーなど行い活動しております。お見積もりや清掃依頼の他に、気になる事や疑問に思ったことなど些細な事でも構いません。まずはお気軽にお問合せ下さい。誠心誠意ご対応させていただきます。

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