孤独死とは、誰にも看取られることなく亡くなることをいいます。
その多くは一人暮らしの高齢者が中心と思われがちですが、最近は決して高齢者だけの問題ではなくなりつつあります。
核家族化が進み、生涯未婚率(50歳時に未婚である人の割合)は男性23.3%、女性14.0%となっています。(2015年国勢調査)
つまり男性は4人に1人が50歳の時点で未婚なのです。
『平成27年度:厚生労働白書』では、2035年には男性29.0%、女性19.2%になるという予測が出ています。
孤独死の背景
これらが独居になる主な理由です。
借金があったり不安定な雇用のため、結婚できないまま単身者になるケースが多く、まさに「孤独死の予備軍」ともいえる状況におかれている人たちが増えつつあるのです。
孤独死に直面したら
通常、孤独死の場合は【変死】扱いとなるため、ご遺体は警察が運び出すことになります。事件性の有無や死因を特定する必要があるからです。
まずは葬儀社に連絡しましょう。
そして警察からご遺体を搬送し、安置します。そして問題はここからです。
葬儀を終えると、亡くなった現場である住居の後処理をしなくてはいけません。
孤独死や自殺の場合、すでにご遺体の腐敗が進んでいることが多く、血液や体液、臭いを除去する必要があります。特に腐敗臭は目に見えないので、臭いの発生元を特定し消臭しなくてはいけません。
こういったことは賃貸物件に限りません。自己所有の物件においても同じです。孤独死や自殺した場所をそのままにしておくことはできません。すでに近隣住民の方々が臭いや害虫の発生に悩まされているケースも多いからです。一刻も早く処理を開始しないと大家さんや近隣住民の方々にご迷惑がかかります。
しかし実際は、血液や体液が床下や階下の部屋にまで染み出しているケースもあります。こうなるとリフォームが必要となりプロに依頼するのが賢明です。
いわゆる【特殊清掃業者】に依頼することになるでしょう。通常のハウスクリーニングでは体液や血液、臭いの除去は困難だからです。
オーナー側の問題
特殊清掃業者に後処理を依頼するのは、ご遺族ばかりではありません。
ご遺族や保証人と連絡がとれない場合や、そもそもご遺族がいないケースもあります。なかには、
「疎遠だったから関係ない!」
と言って後処理を断固拒否されてしまうこともあり、最終的には大家さんが依頼することが多いのです。
特殊清掃代金の支払いばかりではありません。特殊清掃が完璧に終わっても家賃を大幅に安くしなければ借り手がつかず、その後の賃貸経営にも影響が出る深刻な問題に発展します。
最近はこういった原状回復費用や家賃の損失を補償するための保険も増えてきました。
孤独死を防ぐには
やはりコミュニケーションがカギになります。
高齢や病気などを理由に引きこもりがちになると、周囲から孤立していきます。
町内会などのコミュニティからも外れてしまうと、孤立(独居)状態であることですら周囲は把握しにくくります。
ご自身が積極的にコミュニケーションをとることが大切なのは言うまでもありません。しかし地域の人たちも、挨拶などの話しかけや訪問を意識することも重要でしょう。
「決して一人ではない」ことを実感できれば、孤独死や自殺を減らしていくことができるのではないでしょうか。
まとめ
身寄りのない高齢者、働き盛り世代の単身化。少子化問題に揺れる日本ではいずれも深刻な社会問題となっています。
孤独死や自殺で亡くなってしまう人を減らすための動きは広まりつつあります。それでも減らすことができていないのが現状なのです。
地域で孤立している人はいませんか?
最近見かけなくなった人はいませんか?
連絡のつかないご家族はいませんか?