セルフネグレクトについて

セルフネグレクトとは
「成人が通常の生活を維持するために必要な行為を行う意欲・能力を喪失し、自己の健康・安全を損なうこと。」

 

成人した人が通常の生活を維持するにあたっては、必要最低限の衣・食・住を整える必要があります。
しかし、セルフネグレクト状態になると、どんなに服が汚れていて、たとえ異臭を放っていたとしても同じものを着続ける。食事をほとんど取らない。家がゴミ屋敷状態になる、といった、生活する上で行うべきことを行わず、放棄してしまいます。
子どもの育児や親の介護を放棄する「ネグレクト」という言葉がありますが、セルフネグレクトは、まさに「自らを放棄してしまっている状態」であるといえます。
セルフネグレクトはこれまで高齢者が多いとされていましたが、30代から40代といった若い世代であっても、セルフネグレクト状態から孤独死に至ってしまったケースが報告されるなど、成人した方ならば、どの年代であってもリスクがあることがわかっています。
まさにセルフネグレクトは成人した方なら誰もが陥る可能性がある、社会的な問題であるといえるのです。

 

判断能力低下タイプ

主にうつ病や認知症などを患っているために、自己判断能力が低下していて、自分がセルフネグレクト状態だと気づいていないタイプになります。

このタイプは、重度のうつ病や認知症などの疾病が主な原因でセルフネグレクト状態になっているので、早急な治療が必要とされています。

本人意思タイプ

身内との死別や失業などのショックによって、生きる気力を無くしまたは軽いうつ状態になり、自らの意思で健全な生活を拒んでいるタイプになります。

このタイプは、いわゆる心の病気が原因でセルフネグレクト状態になっているので、周囲や自治体などからのフォローで改善できる可能性が高いといえます。

 

セルフネグレクトの具体的な症状事例5つ

この項目では、顕著にみられるセルフネグレクトの具体的な症状事例5つをお伝えしています。

症状① 健康的な食事を摂らない

前向きに生きる気力がないまたは生きている感覚さえも感じる力がないので、当然、調理することもなく、簡単にできるカップ麺などの加工食品ばかりを摂るようになり、次第に不健康な身体になっていきます。

症状② 金銭管理ができなくなる

判断能力が著しく欠けているので、お金の使い方の優先度もわからなくなり、金銭管理ができなくなります。

その結果、部屋には買い物で荷物がいっぱいになってしまうケースがあります。

症状③ 身なりが著しくだらしなくなる

自分自身に興味がなく無視しているので、入浴もほとんどせず、髪やひげが伸び放題になり、衣服も何日も着続けて極端に汚れていて、身体や着衣から悪臭がするなど不衛生な身体になります。

症状④ 部屋が極度に不衛生になる

部屋が散らかっていても整理整頓しようとする考えに至らなくなるので、部屋は全く掃除されずに、ゴキブリやハエ、カビが湧いて、いわゆるゴミ屋敷状態になることもあります。

症状⑤ 周囲との関わりを拒絶する

上記のような自堕落な生活ぶりを知られたくないため、周りの人々との接触を拒絶する傾向が強くなります。するとその孤独感からさらにセルフネグレクトは加速度的に進んでしまいます。

 

高齢者に多い原因

  • 認知症
  • 配偶者との死別
  • 近隣付き合いの希薄
  • 家族とのトラブルによる疎遠
  • 震災や災害

【予防対策】コミュニケーションを取る

セルフネグレクトに陥る多くの人は、孤独で悲壮感を待つ一方で、気遣いを嫌い、他人を遠ざける傾向があります。

その傾向が、周囲に気付かれず自分一人で悩みなどを抱え込み、セルフネグレクトに陥るきっかけになっています。

心理的な孤独をさせないことが重要

そのため、セルフネグレクトの予防には、まずはコミュニケーションを取ることが大切です。つまり「孤独状態を作らないこと」です。

無論、顔を合わせてのコミュニケーションが一番良いですが、何も難しく考える必要はありません。

ただ単に「何しているの?」などの定期的な電話コミュニケーションだけでも、十分にセルフネグレクトを予防する効果はあります。

【対策】もしも家族にセルフネグレクトがいる場合

とにかくコミュニケーションを定期的に取ることが肝心です。具体的には下記のような方法がいいでしょう。

  • 仕事帰りや休日に立ち寄る
  • 電話で近況などの世間話をする
  • たまには食事や買い物に一緒に出掛ける

【治し方】支援センターやサポート医師に相談する

しかし、多くの場合は、セルフネグレクトがかなり進行してから、周囲が気付くことになることがほとんどといわれています。

部屋から悪臭が漏れ出し、親族や自治体に苦情が入り、訪問をしてみたら部屋がゴミ屋敷になっていたなどが、かなりセルフネグレクトが進んだケースに当たります。

専門家を頼ったほうが治療効果は高い

このような場合は、素人である親族などだけで対応すると、反対に本人の感情を逆撫でして、より頑なに他人とのコミュニケーションを拒み、一向にセルフネグレクトを治すことはできないケースが多々あります。

そんな場合は、セルフネグレクトの支援センターやサポート医師に相談するに限ります。治療知識を持った専門家が対応してくれるので、その治療効果は非常に高いといわれています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です