故人の財産にはプラスの財産とマイナスの財産があります。
相続の際、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も相続することになります。特にマイナスの財産には注意する必要があります。
マイナスの財産とは
- 借金
- クレジットカードの利用代金
- 住宅ローン
- 税金
これらが主なマイナスの財産です。もちろん借金は個人間のものも含まれます。
借金は隠されている
故人に借金があり長期入院していた場合などは、返済ができず滞納することになります。よって家族が借金の存在に気づくことができます。
しかし不慮の事故などで急死した場合は、借金が表面化するのが遅れることがあります。
また、プラスの財産はエンディングノート等に記入する人が多いですが、マイナスの財産については記入を躊躇するものです。
故人の借金を把握する方法
故人にマイナスの財産があると仮定するなら、正確に借金等の存在を把握する必要があります。
銀行やクレジットカード会社、消費者金融会社は債務者である故人のデータを信用情報機関に登録します。相続人はこのデータを【開示請求】して確認することが必要です。もちろん個人情報ですので、通常は本人のみ開示請求できます。しかし本人が亡くなった場合は、自分が相続人であることを証明してから開示請求することになります。
証明は信用情報機関に戸籍謄本を提出することになります。開示できたら
を早急に確認しましょう。
相続放棄
故人にマイナスの財産があった場合、何もしなければマイナスの財産も引き継ぐことになり、返済の義務が生じます。
マイナスの財産を相続したくないのなら、相続を放棄するしか解決方法はありません。これが
【相続放棄】です。
家庭裁判所に書類を提出することでマイナスの財産を相続せずに済むのです。まずは相続放棄のメリットとデメリットを知っておく必要があります。
メリット
これが最大のメリットです。
負債額の大小にかかわらず一切マイナスの財産に関与することはなくなります。
遺産相続のトラブルは家族関係を悪化させるので大きなストレスになります。
トラブルは長期化することも珍しくなく、心身ともに疲弊してしまいます。
しかし相続放棄をしてしまえば相続人でなくなりますから、こういったトラブルとは無縁になります。
デメリット
相続放棄するとプラスの財産も放棄することになります。
プラスの財産がある場合は、相殺してもなおマイナスの財産が残るようなら相続を放棄する方が良いでしょう。
マイナスの財産額が確認できたからといって、プラスの財産に目を向けないことがないように注意しましょう。
相続を放棄するということは新たに相続人が決まることを意味します。
きちんと相続放棄することを伝えないと家族関係が悪化するでしょう。突然、相続人になりマイナスの財産を引き継ぐリスクを負うことになるからです。親や兄弟には相続放棄することを必ず伝えましょう。
家庭裁判所が相続放棄を認めたら、撤回することはできません。
相続の放棄は、相続人になってから3ヶ月以内に申請する必要があります。放棄したものの、後から巨額のプラスの遺産が見つかったとしても都合よく相続はできません。
くれぐれも全財産の調査は慎重に行うようにしてください。
まとめ
相続放棄の手続きは思ったほど難しいものではありません。
「相続放棄申述書」を記入し、戸籍謄本などの必要書類と一緒に家庭裁判所へ提出するだけの手続きです。もちろん時間や手間を省きたい場合は、弁護士等に依頼するのが有効な方法です。