特殊清掃についての基礎知識と料金相場について

特殊清掃という言葉、聞いたことありますか。清掃なので掃除をすることなのですが、扱う内容が特殊です。事件や事故、自殺、孤独死…。そういった何らかの理由で亡くなった方のご遺体、または痕跡のあるお部屋を原状回復することがメインとなるのです。

少し聞いただけでも、誰にでもできる簡単なお仕事ではないことがわかります。今回はそんな特殊清掃のお仕事内容と、特殊清掃隊の現状を含め、より理解を深めていきましょう。

 

特殊清掃って何…?

突然ですが、ご遺体を見たことありますか。ご家族を亡くしたかたもおられるかと思います。また病院勤務のかたですと、死に立ち会うこともあるかもしれません。ほとんどかたは綺麗な状態のご遺体しか見たことがないかもしれませんが、中には元の形が人であったかどうかもわからない状態のご遺体もあります。

 

発見が遅れ、腐乱してしまった場合がそのひとつです。また発見が早くても事件現場になるとおびただしい血が流れ、ひどい惨状となることもあります。そういった部屋の清掃となると、般の方には手がつけられません。そこで特殊清掃隊の出番になります。

 

・特殊清掃で行うこと

  • ① ウジムシやハエ、ゴキブリなどの害虫駆除
  • ② 血液、体液の染み込んだ家具や壁や床の処理
  • ③ 死臭の消臭
  • ④ 遺品整理
  • ⑤ 細部にわたる細かい清掃

①の害虫駆除というのは、死後発見が遅れるとウジムシ、ハエ、ゴキブリといった害虫が大量に発生します。死後2週間もあればウジムシは沸きます。こういった害虫を外に出すわけにいきません。部屋を閉め切り、徹底的に駆除をするのです。

 

②の家具や壁、床の処理も行います。遺体があった場所は痕跡が残っているものです。体液や血液が布団に染み込み、そのまた下の畳やフローリングの床にまで浸透しています。もっというとそのまた下の木材にまで到達していることもあります。壁も同様で、表面だけふき取ればよいというものではありません。壁もまたずいぶん奥まで染み込んでいることがあります。

 

③にある死臭、とくに腐乱臭はかなりきついにおいがします。お風呂に入っても爪の隙間からまだ臭う、と言われるほどです。この強烈なニオイを取るためすることは、強力な除菌と強力な消臭剤を使うことです。プロの清掃隊は死臭がほとんど残らないくらいに仕上げることができます。

 

④の遺品整理とは、残った家具を含め、タンスの中や机の引き出し、すべての物を整理します。遺族へお渡しすることもありますが、引き取りのないものはゴミとして処分します。家具にも死臭が染みついているのです。⑤の細かい清掃というのは、ホコリです。実はホコリにも死臭が染みついています。床や壁をどんなに綺麗にしても、こういった細かい掃除をしておかないと、死臭が改善されない場合もあります。

 

孤独死、自殺。この2つの死は年々増えています。孤独死は一人暮らしの老人というイメージがありますが、最近では若者も増えているようです。自殺者数も日本は世界的にみても常に上位にいます。「自殺大国ニッポン」と、不名誉なあだ名までつけられています。

 

こういったことから特殊清掃の依頼は、孤独死と自殺の現場がとくに多いのです。ここではこの2つの現場でのよくある事例をお話したいと思います。

 

ケース①孤独死

突然亡くなることが多いため、部屋には雑誌や飲み物など生活感のあふれる状態です。布団の上でそのまま…という場合もありますが、トイレという場所でも多いようです。気分が悪くなってトイレに行きその場で倒れる、また持病を持った方だと力をいれた瞬間に亡くなる方もいます。トイレは狭く、掃除がしにくいためトイレごと外すこともあるようです。床や壁の張り替えも必要となります。

事故物件の清掃の負担者について

事故物件となった部屋や共有スペース等の清掃費用はだれが清掃費用を負担する必要があるのでしょうか。孤独死を例にとって、負担する可能性が高い順にご説明します。

  • 連帯保証人:住人への訪問や管理などによって、孤独死を防げた可能性等が考慮され、支払い義務が発生する。
  • 法定相続人:連帯保証人に連絡が取れない・支払い能力がない・死去している場合などは、法定相続人が負担することとなります。法定相続人は、住人の財産が相続されますが、遺産・遺品など、プラスになる財産以外にも、借金や各種費用などマイナスの財産も受け継ぐ義務がある。
  • 貸し主:連帯保証人も法定相続人も支払いができない場合は、貸し主が清掃費用を負担する。厳密にいうと、清掃する義務はないが、清掃しなければ他の部屋の住人に迷惑がかかったり、次の借り主に貸すことができないため、清掃費用を払わざるを得ない。

料金の相場

特殊清掃の料金の内訳や、相場をご紹介します。

  • ワンルーム:3万~10万円
  • 1DK:3万~12万円
  • 1LDK・2DK:5万~25万
  • 2LDK・3DK:9万~42万
  • 3LDK・4DL:12万~68万

料金に開きがあるのは、汚れの具合や遺品整理の有無によるものです。正確な料金を知るには、清掃業者に見積もり依頼を行うのがよいでしょう。

作業の流れ

特殊清掃業者による清掃の流れは以下のとおりです。

  1. 感染症予防措置(薬剤の散布など)
  2. 汚染物の撤去・クリーニング(体液や血液で汚れたもの)
  3. 害虫駆除(ウジやハエなどの駆除・再発防止)
  4. 不用品処分(家庭ゴミや大型ゴミの持ち出し・処分)
  5. 遺品整理(保管する遺品の整理。遺族と共に行うこともある)

 

特殊清掃隊になるための資格は?

一般社団法人 事件現場特殊清掃センターが認定している民間資格で「事故現場特殊清掃士」というのがあります。上記でも解説しましたが、遺品整理も特殊清掃の大切なお仕事のひとつです。「遺品整理士」という資格もあります。このような資格を持っていることで、依頼者からの信用も高くなりやすいです。

 

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