遺品は亡くなった人が人生を生き抜いた証です。なかなか捨てられない反面、いつまでもそのままにしておくわけにはいきません。残された周囲の人が遺品を整理する必要があります。精神的なショックはあると思いますが、遺品整理は心の整理にもなります。
今回は初めての遺品整理の前に、自分で遺品整理を行う手順や業者に依頼するときの注意点、遺品の保管方法などについて詳しくご紹介していきます。
なぜ遺品整理が必要
気持ちの整理
親しい方が亡くなったときのショックはとても大きく、悲しいものです。故人の形見である遺品を見ると思い出に浸ったり、辛い気持ちになったりすることも多いでしょう。ただ遺品を処分するのは勇気がいることで、すぐには手放せない場合も多いと思います。亡くなった人が大切にしていたものを、勝手な判断で捨ててしまって良いものかと、抵抗を感じる人は多いでしょう。
しかしいつまでも遺品を眺めていても、故人にとっても自分たちにとっても健やかな生活を送ることはできません。遺品整理も故人の供養の1つです。気持ちに区切りを付けるためにも、遺品整理は欠かせません。
住居の賃貸契約解除とごみ屋敷防止
賃貸マンションやアパートにお住まいの方が亡くなるとは、契約を解除する期限がのためにも一刻も早く部屋をきれいにしなければなりません。また賃貸物件の借主が亡くなった場合も、明け渡し期限を考慮しなければいけないケースもあります。持ち家の方も、そのまま放置するとごみ屋敷になって近隣の方に迷惑をかけてしまう可能性もあります。各種トラブルを防ぐためにも、なるべく早く家をきれいにしましょう。
相続手続きの必要性
ご家族が亡くなられた場合、仏事以外にもやらなければならないことが出てきます。1番大きくのしかかるのは、相続の問題です。亡くなられた方が資産を所有していた場合、法的な手続きも必要です。特に宝石などの貴金属類はコレクターの方が亡くなられた場合、届出や相続手続き、相続税に関する手続きの必要があります。中には届出期限が定められているものもあります。なるべく早めに遺品整理に取り掛からないと、損をすることもあるのでスピーディーな対応が求められます。
遺品整理の方法
遺品整理には、大きく分けて2つの方法があります。「自分で行う方法」と「業者に頼む方法」です。まず双方のメリット、デメリット、注意点などを紹介していきます。
自分で行う
遺品整理を自分で行う最大のメリットは、遺品の整理を行ううちに自分の心に整理がつくということです。必要なもの、不要なもの。一緒に過ごした家族だからこその目線で分類することができるため、故人の大切なものや資産を見つけやすいからです。心をこめて丁寧に整理することは、故人の供養にもなります。また費用を安く抑えられるのも自分たちで行うメリットです。
しかし遺品整理を自分で行う場合、気持ちの整理がつかないと辛いというデメリットがあります。遺品をひたすら整理していく作業というのは、精神的に負担がかかるものです。1つ1つ手に取っていると故人との思い出に浸り、時間もかかってしまいます。余裕がある場合は構わないのですが、賃貸契約の期限が迫っているときなどは、作業をスピーディに終わらせなければなりません。時間と手間を考えて、業者に依頼する人が多いのも事実です。
業者に頼む
故人が遠方に住んでいた場合でも、遺品整理のために現地へ出向くことなくスムーズに終えられます。また遺品整理は体力的にもかなりの負担がかかります。ベッドやタンスなどの大きなものはなかなか運び出せません。加えて遺品への思い入れが強い場合は、気持ちの強さから作業をなかなか進められないこともあるでしょう。そのような状態で無理に遺品整理をしようとすると、今度は精神的な負担も大きくなってしまいます。遺品整理業者に依頼すると、重い家財をスムーズに運んでもらえるうえ、作業も捗り、体力的・精神的な負担の軽減が可能になります。
しかし、遺品整理のための費用が発生することには気をつけなければなりません。個人で行えばゴミ袋代や粗大ゴミ所分料くらいしかかからないところ、業者に依頼すると高ければ数十万円単位で費用が発生してしまいます。また遺品が雑に扱われてしまう可能性も否めません。遺品整理業者のサイトなどでは、「真心こめて整理します」「誠実に取り組みます」といった言葉が目につきますが、実際そのように作業してくれているかどうかは、業者や作業員次第です。中には悪質な業者もあり、遺品を雑に整理したり見積もりの何倍もの料金を請求してきたり、トラブルも目立っています。業者選びは慎重に行なう必要があります。
自分で遺品整理するときに気をつけること
事前に準備するもの
・軍手、マスク
・ごみ袋(自治体指定のものがあればそれを使用)
・ダンボール
・ガムテープ、ひも
・ほうき、ぞうきん、バケツ
・サインペン
・カメラ(整理前と整理後を撮影)
遺品整理の流れ
自分で遺品整理を行う際のおおまかな流れは、「選別→分類→売却・処分・保管」です。
まずは故人の持ち物を把握し、貴重品や形見になるものは保管していきます。保管の方法については後述しますが、「保管するもの」「不要なもの」と分けていきます。
処分するもののうち、買い取りしてもらえるものは売却し、リサイクルできるものは分別・処分していきます。大きな家財などは運べる程度に分解し、不用品は粗大ゴミとして処分しましょう。その際、粗大ゴミ回収日の確認を忘れないようにしましょう。
作業は、2人1組で行うとスムーズに進みます。1人が収納からものを出し、もう1人が袋に詰める、という風に分担すれば効率的です。
保管・保存方法
保管するケース
親族で形見分けをして、それでも残ったものは保管する必要があります。写真や手紙など「自分が持っていて良いのかわからないけれど捨てられない」ものや、「大きな家財で今は使わないけど将来的に使いたい」といったものなどは、処分の対象外です。{保管する」という道を選びましょう。
保管の流れ
小さいサイズのものは、ダンボールに入れて保管しましょう。その際、防腐剤や防カビ剤を入れるのを忘れないようにしましょう。
家財や大きいものは、物置や納戸に片付けましょう。ホコリが付かないように、カバーをかけたりビニールでくるんだりするのを忘れないようにしましょう。ただ大きいものは場所をとる上、保管が難しいのも事実です。いつか使うかもしれない遺品だけれど今は捨てられない。そういったものを保管するのにぴったりなのが、トランクルームです。
トランクルームを使用
遺品整理に向いているトランクルーム
トランクルームとは、レンタルできる貸スペースのことです。個人で借りることができ、利用料を支払うことで使用できます。セキュリティレベルが高く、安心度が高いことで近年利用率が高まっています。
遺品整理に向いているトランクルートとして、屋内にあって湿気や天候・気候の影響を受けにくいと、故人の持ち物をより当時のままで保管することができます。また遺品を管理する親族全員の中間地点にあると、いざというときに便利です。公平に順番でメンテナンスをすることも可能です。
事前にやっておくこと
トランクルームに荷物を収納するにあたり、最低限メンテナンスをしておきましょう。汚れをふき取ったりホコリを取り除くことで、長くきれいに保管できます。有価証券や生もの、危険物がないことを確認したうえで、段ボールに詰めていってください。写真などの小物は袋に入れてまとめると、取り出すときに便利です。段ボールに詰め終わったら遺品の重さを量ってください。トランクルームを借りる際に、それに合った広さのものを探すことができます。
トランクルームの利用方法
トランクルームは、インターネットで検索することで見つかります。グーグルで検索をすると全国各地のトランクルームを紹介しています。条件を設定して検索すれば、立地・料金・スペースの広さなどが分かり、自分に最適なトランクルームが見つかります。そのままクリックするだけで利用できます。ただしトランクルームは、基本的に月単位・年単位での契約です。日にち単位で預けることはできないため、注意が必要です。