空き家問題について

現在、少高齢化による人口の減少や自宅所有の高齢者が介護施設や老人施設などに入所するなどさまざまな理由から空き家は増加傾向にあるのですが、空き家を放置することによるトラブルも増加し社会問題になっています。

空き家問題は過疎化の進んだ地方だけの問題と思う方もいらっしゃるかもしれません。確かに地方に比べれば都市部の空き家率は低いのですが、実は都市部も空き家の数自体は多いのです。尚且つ、地方に比べて都市部は住宅が密集していることもあり、空き家が周囲に与える悪影響の度合いは、地方より都市部の方が高くなることもあるので地方だけの問題ではなくなってきているのです。

今回は、空き家問題と特別指定空き家についていろいろお話させていただきます。

まず空き家とは、基本的に1年以上人が住んでいない場合やその他の目的で使われていない状態の建築物のことで人の出入りや、電気・ガス・水道などの使用状況、物件の管理状況、所有者の住所が異なる場所にある、所有者の利用実績などの判断基準をもとに判断されます。空き家でもきちんと管理されていてきれいな状態に保たれている場合は問題ありませんが、中には手入れなどされずに放置されていて傷みが進み倒壊などの恐れがある空き家もあり、このような空き家はトラブルを引き起こす可能性があるのです。

よくある空き家のトラブルについてご紹介していきます。

 

・火災になる可能性がある

空き家は自然発火だけでなく放火魔にも狙われやすくなり、一度火がつくと住人がいないため発見が遅れることが多く隣家などを巻き込む大火災になる可能性があります。

・倒壊する恐れがある

空き家は換気や掃除されていないため建物が劣化し老朽化が進んでいるので倒壊するリスクが高く、倒壊した場合は隣家にダメージを与えてしまったり、通行人に危害をおよぼしてしまう可能性があります。

・庭の草木が伸び放題になり倒木の恐れがある

庭の管理がされていないので樹木が伸び放題になり伸びた枝が隣家の敷地に侵入したり、木や枝が折れ隣家や車を破損させたり、通行人に怪我をさせてしまう可能性が高くなります。

・治安の悪化につながる

放置された空き家は、不法侵入や不法投棄などの犯罪に利用され治安を悪化させる可能性があります。また一度不法投棄された空き家は、ポイ捨てやゴミの不法投棄場所と知られゴミ屋敷化につながりかねません。

中でも下記のような特に状態のひどい家は、管理が不十分な空き家として特定空き家に認定されます。特定空き家に認定された場合、所有者にメリットはなくそれどころか市区町村からの状況の改善に応じないとどんどんデメリットが大きくなってしまいます。

倒壊などが著しく保安上危険となる恐れのある状態(例:建物の基礎や柱などが大きく傾いている、構造上重要な部分が大きく破損や変形している、家に穴が開いている、屋根が破損や変形していたり傾き・ゆがみ等がある、屋外の階段やバルコニーが腐食しているなど将来的に倒壊するなどの危険が予測される)

衛生上有害となる恐れのある状態(例:家の設備が壊れて排水や汚水が流出して悪臭がでている、放置されたごみなどにより蚊やハエなどの害虫が集まっているなど放置すると衛生上の問題から周囲の住民に悪影響を及ぼす可能性がある)

適切な管理が行われていないことにより景観を損なっている状態(例:建物に落書きをされていたり、汚れたまま放置されている、窓ガラスが割れたままになっている、不法投棄されているなど地域の景観ルールが守られていなかったり、周囲の景観と著しく合っておらず汚れが目立ち見栄えが悪い)

その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することができない状態(例:庭の木などから枝が伸び道路へはみ出て通行を妨げていたり倒木等が放置されている、シロアリが大量に発生している、動物が住みついて悪臭がする、施錠されていないため誰でも簡単に侵入できるなど放置すると周囲の住民に迷惑をかけたり安全上問題がある)

令和5年(2023年)に空き家法が改正されたのですが、それ以前は対象となる空き家が特定空き家に認定される前の段階では、市区町村は指導や勧告といった措置をとることができませんでした。しかし、空き家法が改正されたことにより、特定空き家に認定される前の段階から空き家の適切な管理が図られるように放置すれば特定空き家になるおそれのある空き家を管理不全空き家に認定し市区町村が所有者へ指導ができるようになりました。指導しても状態が改善しない場合は勧告を行い、勧告を受けた管理不全空き家は特定空き家と同じく敷地にかかる固定資産税などの特別措置が受けられなくなります。

不動産を所有していると毎年かかってくるのが固定資産税でさらに市街化区域にある土地については都市計画税もかかってくるのですが、住宅など居住用の建物が建っている土地には特別措置があります。この特別措置は、200㎡までの部分は小規模住宅用地として固定資産税の課税標準額が6分の1、都市計画税の課税標準額が3分の1に軽減されることになっています。200㎡を超える部分の場合についても一般住宅用地として固定資産税および都市計画税の課税標準額が軽減されます。つまり、何もない更地の状態より居住用の建物が建っている方が固定資産税額や都市計画税が低くなるということです。この特別措置があるため、固定資産税や都市計画税を抑える目的で空き家をそのまま残すケースは多くあります。しかし、管理不全空き家や特定空き家に認定されて市区町村からの指導に応じず勧告を受けた場合は、翌年からこの軽減措置がとられなくなり、非住宅用地として課税され固定資産税が約4倍、都市計画税も約2倍と大幅に増額されてしまいます。

ちなみに特定空き家に認定された後の流れは、まず市区町村から空き家の所有者に改善を促すよう助言が行われます。助言に従わない場合や直ちに改善が必要な場合は、助言よりも強く適正管理を促す指導が行われます。それでも状況が改善されない場合は勧告が行われ、勧告が行われると上記でも述べたように住宅用地の特別措置が適用されなくなるため、固定資産税や都市計画税の優遇から除外され、更地並みに課税されてしまいます。勧告を受けても所有者が対応しない場合は、行政からの最も厳しい通告である改善の命令が出され、一刻も早く対応をしなければなりません。命令は非常に重い措置のため市区町村が命令を行う場合は、所有者に対して意見を述べる機会を設ける必要があり、命令に従わななければ場合によっては最大50万円以下の過料が課される可能性があります。命令を受けても尚改善されない場合は、空き家の所有者に代わって行政が強制的に解体など必要な対策を行いその費用を所有者に請求する行政代執行が行われます。例えば、倒壊の恐れがある建物を放置していたり、庭の木が伸び放題のまま放置されていた場合は、行政が建物の解体や樹木の伐採作業を行います。その際にかかった費用を支払わなければ資産が差し押さえられてしまいます。しかし、行政代執行され所有者から費用を全額回収できるケースは少なく、所有者から費用を回収できないとなると結果的には税負担となり私たちにも少なからず影響が出てくることになるのです。

特定空き家の認定は、指摘される要因となった部分を改善することで解除してもらえることが可能となります。市区町村からの状況の改善に応じす、放置すればするほどデメリットが大きくなるので、すぐに改善されたほうが良いでしょう。

まとめ

今回は空き家問題と特定空き家についてお話させていただきました。

特定空き家に認定されないためには、定期的に換気や掃除をして庭の手入れなども行いきちんと管理することが大切です。

空き家の場合の多くはカビや床板の腐食、水道管の損傷、雨漏りが散見される。激しい水漏れや雨漏りの場合は家屋全体の腐食が始まっており手が付けられない状態になります。
弊社搬出作業においても危険を伴う現場も多いく、これを防いでおけば、売買や賃貸など有効活用が行う事ができます。

ご自身で管理できる方は管理をされ、もしそれが難しい場合は管理会社に依頼される方法もあります。建物がきれいな状態であれば賃貸に出したり、将来的に使用する予定がなければ、不動産は所有しているだけで固定資産税などの税金や維持管理費が必要となるので手放すことも検討されてみてください。

特定空き家だけでなく、放置された空き家は周囲の住民に迷惑をかける可能性があることを念頭に入れていただき、少しでも空き家によるトラブルが減少していけばなと思います。

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