身寄りのない方が亡くなった場合

現在、少高齢化や核家族化が進むことにより家族関係が以前より希薄になっているため、一人暮らしの高齢者の方が増加傾向にあり、それに伴い身寄りのない高齢者の方の相続や遺品整理の問題などもこれからますます増えてくると懸念視されています。

遺品整理は法律で相続人が行うことになっているので、基本的には故人の配偶者またはや親族が行うことが多いです。

身寄りのない人の場合、相続人がいないので遺品や財産を処分しても困る人はいないから勝手に遺品や財産の処分をしても問題はないのか?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、相続人がいない場合でもその人の遺品や財産は勝手に処分してはいけません。

では、誰が遺品整理を行うのか?今回は、身寄りのない人が亡くなった際の遺品整理についてお話させていただきます。

 

結論から申し上げますと、相続人がいない場合の財産は最終的には国庫に納められます。しかし、すぐに国のものになるわけではなく、受遺者(遺言によって財産を受け取る相続人以外の人のこと)、債権者、(ローン会社、故人が賃貸に住んでいた場合の家主、役所など)特別縁故者(内縁のパートナーや事実上の養や養親、故人と同一生計にあった人(1つの家計で一緒に生活していた人)、身の回りの世話や介護・看病などに尽力した人など故人と生前特別な関係にあった人のこと)の順番に支払いをした上で財産が残れば国庫に納められます。

勘違いされることが多いのですが、相続人がいないので誰も手続きができない=自動的に財産がすべて国のものになるわけではありません。

 

上記の流れの手続きを行ってくれるのは、相続財産清算人と呼ばれる人で故人のすべての財産の調査を行いまとめて管理および処分を任せることになります。

相続財産清算人は、誰でもなれるわけではなく家庭裁判所へ申し立てをすることで選任されます。この家庭裁判所への申し立てをすることができるのは、特定受遺者(特定の財産を遺言書によって受け取ることができる人)、債権者、特別縁故者といった故人と関係があった人のみです。

相続財産清算人は財産の調査などを行うので法的知識が必要とされます。そのため、一般的には弁護士が選任されることが多いので、財産管理に関する法律手続きも一緒に依頼することができます。

ここからは、相続財産清算人が選任されてから最終的に故人の財産が国庫に納められるまでの流れをお話させていただきます。

まず相続財産清算人が選任されると管報で公告され、この時点で相続人がいる場合は名乗り出ることになるのですが、それがない場合は公告から2か月後に受贈者や債権者がいないか確認するために債権申立ての公告を行います。遺言書により財産を受け取る人や故人にお金を貸している人、未払いの家賃がある家主などはこのタイミングで支払いをしてもらうことになります。債権申立ての公告から2か月が経過しても相続が現れない場合、本当に相続人がいないのか最終確認のための公告を6か月以上行います。相続人捜索の公告を行っても期間内に相続人が発見されなければ正式に相続人不存在が確定し特別縁故者に財産が分与されます。相続人がいないことが確定して3か月以内に特別縁故者が申立てをして、家庭裁判所によって認められた場合に限り特別縁故者が財産を受け取ることが可能となるのですが、この申立てをできる特別縁故者は内縁のパートナーや事実上の養や養親、故人と同一生計にあった人(1つの家計で一緒に生活していた人)、身の回りの世話や介護・看病などに尽力した人など故人と生前特別な関係にあった人に限られています。その上で、まだ財産が残っているようであれば国庫に納められることになります。このように公告をして受遺者や債権者、特別縁故者権利にじた財産を渡して最終的に残った財産を国庫へ納めて手続きが終了となるのですが、国庫へ納められるまでには公告の期間などを考えると早くても1年以上かかることになります。

ちなみに相続財清算人の経費や報酬は故人の財産から支払われるのですが、故人の財産が少なかったりマイナスの可能性がある場合は、報酬をあらかじめ確保するため予納金という形で20~100万円ほど請求されることが多いです。

その予納金の金額は申立ての内容にもより異なりますが、申立てをした人が支払うことになります。申立てをすることでお金を回収できれば良いかもしれませんが、場合によってはマイナスになる可能性も考えられるため少額の債権者によってはあまりメリットがないかもしれません。

 

 

以上の流れから孤独死をした場合、必ずしも故人の遺志に従って財産が相続されるわけではないことはおわかりいただけたかと思います。

もし相続について希望がある場合は、遺言書を作成することで希望する相手に財産を分配することが可能となり、遺言の対象は相続だけに限られず、葬儀やお墓、遺品整理など遺言書に記載された内容は効力を持ちます。

しかし、ここで1つ注意していただきたいのは、法律に沿った形式で作成しなければ遺言書は無効になってしまうことです。法的効力のある遺言書としては、自筆証書遺言と公正証書遺言、秘密証書遺言があるのでそれぞれの特徴をお話していきます。

まず自筆証書遺言とは、パソコンや代筆を利用せず全文自筆で記入する遺言書のことです。紙とペンと印鑑があれば作成は可能ですが、文章の内容があいまいであったり、要件を満たしていない場合はその遺言書は無効となってしまいます。自筆証書遺言の要件は、全文自筆で日付を記入して署名、押印をすることで勝手に開封してはいけません。家庭裁判所の検認が必要となり、封筒の入っていないものでも家庭裁判所の検認が必要です。自宅または法務局で保管をします。

次に公正証書遺言とは、2人以上の証人の立ち会いのもとで公証役場の公証事務を行う法律の専門家である公証人が作成して公正証書という形で残す遺言書のことです。公証人が法律の規定に沿った書類を作成してくれるので、記載内容の不備などによる効力が無効となる可能性が低く、原本は公証役場で保管されます。相続手続きの際の家庭裁判所の検認は必要ありません。

最後に秘密証書遺言とは、公正証書遺言と同様、公正役場で作成手続きを行うのですが、内容は公正証書に知られず遺言書が存在することは記録されます。遺言書の保管は自分で行い、相続手続きの際には家庭裁判所で遺言書の検認が必要となります。

また確実に遺言が執行されるよう生前に死後事務委任契約書(あらかじめ死亡後のさまざまな手続きを行ってくれる代理人を契約により決めておく生前契約のことで幅広い内容を依頼することができる)作成したり、財産の分配をしたい相手に遺言書の存在を明らかにしておくと良いでしょう。

そうすることで少しでも周囲の負担を軽減することができるので、生前に自分ができることを行って残された人が手続きなどを済ませやすい環境を整えることも大切かもしれません。

また賃貸の場合、相続者や賃貸借契約の保証人も生存していない孤独死などの場合近隣住民や大家の不動産的価値の損失を裁判所に申し出るか相続放棄をされた遺族等の場合、また後々でてくる可能性が有る親族関係者との遺品をめぐるトラブルを防ぐ為にも所有権放棄を明記し代表される遺族と所有権放棄についての覚書も有効となります。(大家目線)

 

 

まとめ

 

今回は身寄りのない方が亡くなった際の遺品整理についてお話させていただきました。

身寄りのない方が孤独死する事例は年々増加し社会問題にも発展している現代、自分がどのように対応していけば良いのか一人ひとり自分事として考えていき、生前中に自分ができることを少しでも行うことで、自分の死後に周囲の人へかかる負担を少しでも減らすことにつながるのではないかと思います。

遺品整理や生前整理についてお悩みの方は、ぜひ一度弊社へあぐりご相談ください。

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