年末にやることといえば、大掃除がありますね。
一年で一番忙しいこの時期に、なぜ大掃除なんてするのでしょうか。
寒い時期ですし、正直言って面倒だなと思う人も少なくないでしょう。
とはいうものの、大掃除をしないで新年を迎えると良くない一年になってしまいそうな気がして、義務感でやっている人も多いかもしれませんね。
本格的に年末を迎える前に、ちょっと大掃除について考えてみませんか?
大掃除とは?
普段より念入りに行う大掃除。年末が近づくと、テレビでも掃除用具や住居用洗剤のCMが増えてきます。
学校も会社も休みに入る28日頃から、家族総出で家じゅうを掃除するお宅が多いのではないでしょうか。
- 掃除の歴史
- 大掃除のルーツは?
掃除の歴史
日本に「掃除」という文化が根づいたのは、飛鳥時代といわれています。
このころ、中国から仏教が入ってきました。
仏教では、人格を完成させるための手段の一つとして作務(掃除や片付けなどの労務)の大切さを説いています。
このことから、貴族階級で掃除が励行されるようになりました。
平安時代に入ると、庶民の生活にも掃除という習慣が根づいてきます。
平安時代の『年中行事絵巻』には、疫病神や死者の怨霊を払いのけるために、掃除用具を持ってお祭りに参加している姿が描かれています。
大掃除のルーツは?
江戸時代になると、「煤払い(すすはらい)」という行事が行われるようになりました。
今でも12月半ばになると、各地のお寺や神社で行われる煤払いがニュースになりますよね。実は、この行事が大掃除のルーツなんです。
昔は家の中に囲炉裏やかまどがあったので、煮炊きをすると家の中が煤だらけになりました。
そのため、この煤を払う(取り除く)ことが掃除というものの象徴だったのです。
煤払いをする日は、一般的に12月13日です。
旧暦の12月13日は、婚礼以外は万事に大吉とされる「鬼宿日」だったため江戸城で煤払いが行われるようになったという説や、神事などのために飲食や言行を慎み、心身の汚れを除く「物忌み」という期間が始まるのが12月13日で、そのための準備として江戸城で煤払いが始まったなど諸説あります。
どちらにしても、江戸城で行われた煤払いが町民にも伝わり、年末の大掃除という習慣が定着したといわれています。
「煤」とは、モノとしての埃やゴミだけではなく、見えない穢れや厄が形になったものと考えられています。
そのため、埃が溜まっている状態は、空気が滞っている、すなわち運気が滞っている状態ということになります。
大掃除には、一年の間に溜まった穢れや厄を払い、けじめをつけるという意味があるのです。
また「払う」という言葉には、「清める」という意味があります。
煤払いは単なる掃除ではなく、その場を清め、新年を司る年神様をお迎えするための神聖な行事なのです。
年神様は、農耕の神であり祖霊神で、新年を生きる力や福徳を授けてくださる存在です。
そこで、年神様をお迎えする前に家じゅうを清めるというわけです。
大掃除で家の隅々、心の隅々まできれいにすると、年神様がたくさんの福徳を授けてくださるといわれています。
大掃除の上手な進め方
「大掃除」だからこそ、普段はなかなかできないところを重点的に掃除したいもの。
ある洗剤会社の調査によると、念入りに行いたい大掃除の場所ランキングは次のような結果になっています(2011年調べ)。
各家庭によってポイントは違うと思いますが、大掃除を効率よく進めるには、事前に計画表を作っておくのがお勧めです。
- 点検表を作る
- 大掃除計画表を作る
点検表を作る
まず、家の中のどこを大掃除する必要があるのか、家の汚れをチェックしましょう。
たとえば網戸なら、
- 外側に泥や埃がついていないか
- ぬれた手で触ると、手が黒く汚れないか
- 表面に埃が引っかかっていないか
など、各所の気になるポイントを一覧表にします。
点検表を作ると、家の中で頑固な汚れがつきやすい場所や、汚れの程度が確認できます。
こうして今年力を入れて大掃除する場所を頭に入れておくと、限られた時間のなか、無駄なく大掃除を行うことができるというわけです。
大掃除計画表を作る
次は、今年の大掃除の計画表を作りましょう。
ここで重要なポイントとなるのが、スケジュール調整と家族の受け持ち場所分担です。
家族みんなのスケジュールを調整
家族で大掃除を行う場合は、自分の予定だけでなく、家族みんなのスケジュールを確認します。
その上で「この日は誰の手を借りられるか」「全員いる日にここを行う」など、協力体制づくりの準備から始めましょう。
多くの手が必要な掃除、逆に家に人が少ない時に行うほうがやりやすい掃除など、掃除の内容を見極め、スケジュールを立てます。
年末とはいっても、急に外出しなければならなくなったり、天気によってやむを得ず日程を変更しなくてはならなくなったりするもあります。そのため、余裕をもって予備日も設定しておくと、やり残しの心配が少なくなりますね。
家族の受け持ち場所を割り振る
たとえば、毎日キッチンに立つ妻はシンクやコンロ、冷蔵庫の中を、夫が照明のカサ、浴室の天井など女性の手が届かない高い場所や力のいる場所を、子供は安全なところや目線の届きやすいところを行うなど、各自がやりやすく、得意なところを活かせるよう受け持ち場所を分担しましょう。
タイムマネージメントを考える
大掃除を効率よく行う上で大切なのが、タイムマネージメントです。
大掃除では、普段はそれほど頻繫に掃除しないところも掃除するため、いつもよりも時間がかかります。
また、換気扇や照明器具の掃除や、浴室のカビ取りなど、いったん始めると途中でやめることができない作業もあります。
そのため、大掃除は、1箇所1箇所の掃除にどれくらいの時間がかかるかを計算しながら行うことが大切です。
また、そこだけに集中しなくてはならない掃除と、他のことと並行しながらできる掃除があります。
たとえば、お風呂でカビ取り剤をつけたら、その待ち時間の間に小物類についた石鹸カスを落としたり、網戸を先に洗い、乾かす間に窓ガラスを拭くなど、並行してできる作業を組み合わせれば、効率的に作業を進めることができます。
大掃除で出たごみの処分方法
- 自治体の回収に出す
- 不用品回収業者に依頼する
- 遺品整理業者に依頼する
自治体の回収に出す
大掃除では、普段なかなか掃除できない物置や押入れなどから、大量にごみが出ることがあります。
大掃除で出たごみも、捨て方はもちろん普段通りなのですが、量が多い場合は気をつけなくてはならないことがあります。
自治体でごみを回収してもらう場合、一般的に、一度に一世帯から出せるごみは45リットル以下の袋で3~5袋までとされています(地域によって違います)。
これ以上になる場合は、粗大ごみとして収集を申し込むか、ごみ処理センター、清掃事務所などへ直接持ち込まなくてはなりません。
また、地域によっては、引っ越しや大掃除、庭木の剪定などで一時的に大量に出るごみは、自治体の回収場所に出せないことがあります。
その場合は、事前にごみ処理センターや清掃事務所などに相談する必要があります。
年末年始は、ごみの収集もお休みになります。
大量のごみが出そうな場合は、収集日程を前もって確認しておき、できる限り間に合うような大掃除スケジュールを立てておきましょう。
収集日程は、収集場所に掲示されるほか、自治体のホームページなどで確認することができます。
不用品回収業者に依頼する
ごみの置き場所がない場合や、どうしても家にごみを置いておきたくない場合は、不用品回収業者に依頼する方法があります。
不用品回収業者は、ごみの種類(可燃、不燃など)を問わず回収してもらえます。
ごみがたくさんあっても、業者のスケジュールが空いていればすぐに来てもらえ、自分で運び出す必要もありません。
ただし、生ごみは回収できないので注意しましょう。
遺品整理業者に依頼する
実は、遺品整理業者でもごみの回収を行っています。
通常、遺品整理業者は故人の遺品や家の整理を専門に請け負っており、遺品整理の際に出る大型家具や家電など、さまざまな不用品やごみをまとめて回収してもらえます。
ただし、こちらも生ごみは回収できません。
遺品整理業者の場合は、必要なものと不要なものの仕分けから行ってもらえるメリットがあります。
また、不用品の中にまだ使えるものがあれば、買い取ってもらえることもあります。
この場合は、買い取りに必要な古物商の資格をその業者が持っているかどうかを事前に確認しておきましょう。
まとめ
今年、良い年だった人も、そうでなかった人も、気持ちよく新年を迎えたいですよね。
昔から、掃除をすると良いことがあるといわれています。
平成最後となる今年の大掃除は、いつもと少し違う気持ちで取り組んでみませんか?