遺品整理を行う際、遺族だけで行えば比較的費用を抑えることは可能ですが、遺品整理は故人との思い出をふり返りながらともいえる改めて故人と向き合うとても大切な作業なので時間や労力を必要とします。しかし、遺族にもそれぞれ仕事や子育て、介護などの生活事情があるため遺族だけで行うのが難しいというケースは少なくありません。
ですが、専門の業者などに依頼された場合は費用がかかってくるので、少しでも費用を抑えるために経費として扱うことはできないかと考えられる方もいらっしゃるかもしれません。
結論から申し上げますと、基本的には遺品整理の際にかかった費用は経費としてみなされる場合は少なく、中には経費としてみなされるものもありますが、限定的で判断基準がとても難しく税理士など専門家に判断してもらう必要があります。
一般的な例として、残置物(以前の入居者がもともとは設置されていなかった設備などを設置して使用し、退去時にそれを撤去せずにそのままの状態で放置していった私物や生活用品やゴミなどのこと。机やタンス、ソファーなどの家具や冷蔵庫・洗濯機・テレビなどの家電、食器や布団・衣類などの日用品、エアコン・照明器具などの付帯設備など)が残ったままの不動産物件を購入後に片付けや整理を行い、その建物を賃貸不動産として貸し出す場合は、その片付け整理費用は必要経費とみなされるのですが、遺品整理の際の必要経費性はどのような目的で特に直接要した経費であるかどうかが重要です。例えば、長年遺品整理を怠っていた物件を賃貸用として利用することを考え、故人を偲ぶことなく極めて事務的に遺品整理を行った場合の支出の目的は必要経費に該当するのかもしれません。しかし、この場合も専門家に一度確認する必要があります。
片付け整理費用の目的がどのような目的であったかが重要なのですが、現在遺品整理などの費用に関する必要経費性の解釈が明確でないため、個別の状況判断がされている状態といえます。この必要経費性を証明するためには、遺品整理士が発行する納品書、整理・廃棄状況報告書などが有効な書類が重要となりそれをもとに税理士など専門家が判断することになります。
しかし、相続の中には控除できる債務がある(債務控除)のでそれらを経費のように相続の財産から差し引き、相続税を抑えることが可能です。(債務控除とは、相続の際に故人が残しておいた借入金・預り金などの負債を相続財産から差し引いて相続税を軽減する納税者に有利な制度のことです)
固定資産税・住民税・保険料、相続開始時に故人がまだ支払っていなかった住宅や車のローン、公共料金やクレジットカードの未払い金、入院費用など医療費、事業主の場合の買掛金や未払金などの債務のほか、お通夜やお葬式の費用などでこれらは債務控除といって相続財産の価額から差し引くことが可能です。
基本的に差し引くことができる債務は、故人が亡くなったときにあった債務で確実なものに限ると定められているのですが、特に書面によるものでないといけないわけではありません。債務の存在が確実であれば、債務の金額が未確定であっても確実と認められる金額の範囲内で控除されます。
故人の入院費用に関しては、相続開始以前に故人が実際に支払った入院費用は、故人の準確定申告を行う際に医療費控除ができます。相続開始後に支払った入院費用は、相続税の計算上では債務として控除が可能で、所得税の計算上では、医療費を負担した人が故人と生計をともにしていたのであればその人の医療費控除の対象となりますが、故人と生計をともにしていなかった場合は、医療費控除の対象とならないので注意が必要です。
葬儀については、相続人は故人の葬式費用を負担するのが通例なので債務控除が認められ費用の範囲としては、仮葬式・本葬式および葬式の前後に発生した費用で通常必要と認められる費用が含まれます。葬儀に伴う会食代、火葬料・埋葬料・納骨の費用、お布施、葬儀に参列した弔問客の車代、葬儀手伝いの方へのお礼などは債務控除の対象ですが、墓地・墓石の購入費用、仏壇・仏具の購入費用、四十九日や一周忌などの法事に要した費用、香典返し、遠方の親族の宿泊費、喪服代は控除の対象外となります。
また中には条件によって経費として差し引ける葬儀費用があり、例として初七日に関する費用や、位牌代、会葬御礼費用、供花など挙げられます。
初七日に関する費用は、仕事の都合上休みがとれない、遠方から集まるのが難しいなどの理由から参加者の負担を減らすために、初七日を葬式と同じ日に行う繰り上げ初七日を行い、葬式と支払いが区別できない場合は経費として控除される対象となります。しかし、それは葬式と同じ日に行う繰り上げ初七日かつ支払いが区別できない場合のみで、葬式と別日に行う場合は控除の対象外となるので気をつけて注意してください。
位牌代に関しては、葬式の際に祭壇に置く白木位牌のみで家の仏壇に安置する本位牌の場合は経費としてみなされません。
会葬御礼費用に関しては、香典返しをしている場合の会葬御礼(のりやお茶、ハンカチなど)が経費に該当しますが、香典返しをせず会葬御礼のみを渡す場合は経費になりません。
供花の費用に関しては、喪主が支払った費用のみ経費となり、親族など喪主以外が支払った費用は対象外となるので気を付けてください。
葬儀費用を経費として相続税から差し引くためには注意するべきことがあり、控除を受けられなかったり、加算税や滞納税がかかり、料金の負担が増加するリスクを減らすことにつながるので、ここから少しお話させていただきます。
葬儀の前後はとても慌ただしくバタバタしていると思いますが、領収書などは葬儀当日の日付で受け取るようにして、領収書と合わせて明細書をもらうと良いでしょう。(領収書の金額の中に、経費にできない品目が含まれていることがあるため)
領収書がもらえないお布施などはお寺の名前・住所・電話番号・金額・日付・目的(内容)など正確に記録を残しておくようにしましょう。金額に差異があると加算税や延滞税を支払わなければいけない可能性があるので、きちんと確認をして正確な金額を記入しておきましょう。これらは相続税の申請時には提出することはありませんが、税務調査が入った際に葬儀費用を負担した証明として必要になるので確実に保管されることをおすすめします。領収書や明細書は紛失すると再発行できない可能性が高いので、管理する際はだれが管理するのか決めておいたり、領収書や明細書はまとめて保管されたほうが良いかもしれません。
最後に相続税の申告および納税を相続する人が故人の死亡を知った日から10か月以内に行う必要があります。期限内に申告および納税を行わなかった場合は、加算税や滞納税を支払わなければいけなくなるので、少し落ち着いたタイミングで忘れないように早めに済ませておくことをおすすめします。
まとめ
遺品整理の際の費用は経費としてみなされるのかについてお話させていただきました。
遺品整理を遺族だけで行えば比較的費用を抑えることは可能ですが、時間や労力がかかりますし遺族にもそれぞれの生活があるため遺族だけで行うのが難しい場合もあると思います。ですが、専門の業者などに依頼された場合は費用がかかってきますし、基本的には遺品整理の際にかかった費用は経費としてみなされる場合は少なく、限定的で判断基準がとても難しく税理士など専門家に判断してもらう必要があるのが現状です。
しかし、相続の中には債務控除ができるものがあるのでそれらを経費のように相続の財産から差し引き、相続税を抑えることで少しでも遺族の費用の負担面を減らせれたらなと思います。
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