遺品整理・生前整理と一般廃棄物収集業者の違い

分別

1 遺品整理・空家整理を行う専門業者と一般廃棄物収集業者では、分別をクライアントから依頼いただいた家屋内で行うのか?自社工場で行うか?の違いです。

簡単に申し上げれば遺品整理・空家整理専門業者は、箪笥の引き出し一つずつを「遺品か?否か?」を確認しながら分別を行ってゆきます。そもそも、ご依頼いただく家屋内の物全てが「遺品」です。その考え方が遺品整理を生業とする専門業者には必要です。その結果、多くの貴重品(登記簿や権利書)・現金・貴金属・想い出の品をクライアントの元にお戻しする事ができます。貴重品・現金・貴金属は勿論そうですが、想い出や拘りの有る品など依頼者によっては千差万別です。また故人様の残された御遺族に対しての「想い」をお伝えする事も大切な仕事です。逆に故人様が家族に見られたく無い様な物をクライアントには分からない様に処分するのもプロの仕事です。例えば亡くなられた故人様が父親や歳が離れた兄と仮定しクライアントが若い女性(娘もしくは妹)の場合、男性誌やアダルトビデオ等はクライアントの目に触れない様に処分する様にしています。これは、やはり故人様も「娘さんや妹さん」には見られたく無い物だと感じていますし、娘さんも目にしたく無い物と考えているからです。逆にクライアントすら記憶の無いクライントが「幼い頃に描いた絵」「作文」父の日、母の日に書いたと思われる「手紙」など「大切に、大切に」保管されている事も数多くございます。その品々は故人様が家族に対する想いの詰まった品々で有り弊社は要、不要を問わずクライアントへは目を通して頂く様にしています。故人様の想いを伝える事も遺品整理専門業者の務めとも考えているからです。ただ、全ての遺品整理業者がそれを実施しているかは不明です。

2 一般廃棄物収集業者の場合

まず初めに今から記事にさせて頂く事は「一般廃棄物収集業者」を否定するものでは無く、あくまで施工方法として御案内させて頂きます。

一般廃棄物収集業者は遺品整理、空家整理を「片付け」と呼ぶ業者が多いようです。一般的に「片付け」は効率性を求め合理的に行います。搬出物によってはパッカー車(行政から委託を受け生ごみ等の収集する際に使われる破砕機能付きの運搬車)を使用します。また、彼らは家財を搬出し廃棄する行為が「主業」で有り、その為、効率性を重視して搬出施工を行います。また、持ち帰った処分品は、各社それぞれの工場で分別専門スタッフが待機している為、施工現場で分別する事は有りません。そこでは他の現場からの処分品も有る為、遺品を戻そうにも「どこで出た物か?」特定できませんし、一般廃棄物業者が貴金属や現金を「お返しした」と聞いた事も有りません。また効率性を追求し過ぎるが為に、2階や3階から箪笥を投げ落とす行為も何度か見かけた事が有ります。ただ、遺品整理業者よりも圧倒的なスピードで家財を収集処分してゆく事は間違い無い事実です。

また、一般廃棄物業者の多くは生前整理を行いません。正確にお伝えすれば廃棄物の収集は行う事をする様ですが家屋内で細かい分別を行わない事が最も大きな理由です。多くの一般廃物収集業者による生前整理では、家の前に「処分する物を出しておく」処分する箪笥は「空に」とのリクエストが有るとの事です。そこが生前整理専門業者との大きな違いの一つです。

3 施工費用はどうでしょう?

正直に申し上げますと効率性重視の一般廃棄物業者の方が安価に済みます。一般廃棄物業者が半日で搬出する物量を遺品整理業者は1日必要となります。それは前項に記載させて頂いた「遺品としての分別」と「搬出の効率性」を追及した搬出方法が異なる為です。

4 追加料金やトラブルは、どうでしょうか?

一般廃棄物収集業者による不当な追加請求や不法投棄等は耳にした事は有りません。一般廃物収集運搬業者の免許(認可)は行政から発行されています。現在において一般廃棄物の免許を取得する事は、ほぼ不可能と言われています。その原因は業者の「飽和」によるものと聞いています。一度、失えば取返しが付かないのが一般廃棄物収集運搬許可です。行政からの委託を受け多くの事業者が存在しています。彼らは常に行政の指導下に有り、コンプライアンスを順守する事、せざる得ない環境下に有ります。「追加請求等」のトラブルが消費者庁のみならず管轄行政の耳にでも入れば大変な事になると言うのは彼らも十分、承知され、教育もされています。

その一方、遺品整理業者に歯止めをかける行政や仕組みも有りません。それぞれの価値観に基付き事業を展開しています。遺品整理士認定協会も常に啓蒙を鳴らしていますが、追加請求や不法投棄等のトラブルが多いのも遺品整理業者です。ただ、後ほど御案内させて頂きますが遺品整理業者と遺品整理専門業者では取り組みや施工方法は、まったく異なっています。

5 他に違いは有りますか?

弊社で申し上げれば工程の違いです。長年住まれた家屋や共同住宅の箪笥等は、いくら掃除を丁寧にされていても箪笥裏まで手は行き届きません。多くの場合は埃が堆積しています。遺品整理は故人様の引っ越しです。共同住宅で有れば共用部の養生、エレベーターが有ればプラダンを使用した養生を、水回り(キッチン・トイレ等)や床面はポリッシャーを使用した清掃を行います。また、搬出で使用した共有部や搬出の為に使用した搬出場所もオプションでも無く通常施工の工程として清掃を行っています。ただ、これは弊社の場合による勝手な価値観で行っている物で遺品整理を行う同業他社の、それぞれによる工程やクオリティーは求めている水準が異なっているとも感じています。基本的に遺品整理での清掃は特殊清掃に近い状態の家屋も稀に有ります。少し乱暴な申し上げ方に受け取られるかも分かりませんが、一般的なハウスクリーニング業者の標準的なスキルでは対応が困難な家屋も存在しています。清掃においても多くのハウスクリーニング業者では、そう言った施工現場を経験した事の無い方が多いとも感じます。また、使用している洗剤の数や、それを希釈する濃度が異なる事が一番の要因とも考えています。

また、一般廃棄物収集業者との大きな違いは金庫です。処分方法が一般廃棄物処分業者と遺品整理専門業者では異なります。一般廃棄物処分業者は、金庫も合理的に処分します。実際、金庫の多くは多額な現金や貴金属が入っている事は稀です。殆どは重要書類で有る権利書等の不動産書類や手紙が多くございます。また、金庫を開ける為に必要な番号の控えをお持ちになられて無い方、お困りの御遺族も多く拝見させて頂いています。時には金庫の存在すら御存知無い遺族もいらっしゃいます。弊社では金庫の処分が前提有れば無償で開錠いたします。正確には破壊行為になると思いますが、開錠は必ずクライアントの立ち合いの元、行うようにしています。数年前、他業者が金庫から数百万円の遺失物横領を行い逮捕されたと言うニュースを耳にした事が有ります。金庫の開錠は専門業者へ依頼をすれば2~3万円の施工費用と出張料が必要となり結果的に高額になる事も有り、「何も無いだろう!?」と言い聞かせ不安ながら未開錠のまま処分するクライアントもいますが、処分が前提で有れば、そんなに困難な物では有りません。(詳しい事は防犯上の観点から控えさせて頂きます。)弊社においては無償で対応しています。

弊社見解まとめ

合理的に短時間で廃棄施工をこなすか?遺品として時間をかけ施工するか?この違いが大きなポイントだと思っています。

一般廃棄物収集業者を御利用される際は皆さんでまず、貴重品や想い出の品を確認する作業から進められる事をお勧めいたします。

また、大切な想い出を確認したい!貴重品等の捜索物が有る!と言われる方はプロの遺品整理業者への選択をお勧めさせて頂ければと思います。

長文となりましたが遺品整理や生前整理・特殊清掃の専門業者はそう多くは存在していません。殆どの業者に主業が有り兼業で遺品整理等を行っています。これを否定するつもりは有りませんが、それぞれの経営状態や経営方針に基付くものとも考えています。ただ、両立させるのは中々、困難でも有ると考えています。

2023年の振り返りと2024年に向けて

「明けましておめでとうございます」と年初に御挨拶させて頂くのが、一般的な社会の、ご挨拶では有りますが、2023年度に施工をさせて頂いたクライアントへは申し上げられないのが「遺品整理」「特殊清掃」を生業としている業者の性です。今年も多くの方々の遺品整理や特殊清掃を施工させて頂きました。まず、その方達(故人様)ならび御遺族の方々へ改めて心より御冥福をお祈りさせて頂きます。

2023年は「特殊清掃に始まり特殊清掃に終わる」と言う様な特殊清掃が年々増加しているのが大きな傾向でした。また、コロナも終息に向かいセルフネグレクトの方々の「ゴミ屋敷」の施工も多く有りました。コロナの影響で「巣ごもり」による物が一つの要因と考えています。また、コロナの緊急事態宣言から2023年度春先までは、「巣ごもり」により遺品整理や生前整理が業界全体として極端に需要が減少したようにも感じていました。その一方で、ある一定の過疎地をターゲットにした押し買い業者も横行していた様でも有り数多くの相談を寄せられる事も多々ありました。特殊清掃と称して、遺品整理のみを行う悪質業者の手直しも数多く実施しました。

また、若い方の遺品整理や、自殺現場の施工を行いました。総括させて頂くと、やはり今年も「悲しい」「腹立たしい」1年でした。正直、天寿を全うされたと思える故人様もそうですが、孤独死による「遺品整理」・「特殊清掃」や「若い方」「自ら命を絶たれる」方々へは、特に感情が複雑に絡み合います。感情移入しては成らないのが、この仕事では必要ですが、我々も同じ人間です。やはり悲しくなります。

2024年に向けては、「特殊清掃(特殊清掃を実施されていない)」と語る業者や「遺品整理」「不用品買取り」をフックに「押し買い」など行う業者への抑止に貢献できればと思っています。具体的には某行政「社会福祉協議会」へのボールを投げた所です。

また、弊社における施工に「感動した」「涙が出た」との声を頂く事が「稀」に有りました。

2024年はそう言った施工を1件でも多く追及しつ続けて行けたらと思っています。その為にも私自身の成長や社員の成長(教育)に多くの時間を使って行ければと考えています。

特殊清掃の消臭について

ある不動産管理会社の方から、「孤独死の臭いは本当に消せるのでしょうか?何社か管理物件において消臭を依頼しましたが、1年経っても臭いが消えていません。」との、問い合わせでした。

結論から申し上げますと「臭いは完全に除去できます。」

1 臭いの除去ができないケース(消臭剤とオゾン燻蒸のみの施工)

最悪なケースを最初に御紹介させて頂きます。家財撤去後に消臭剤を噴霧しオゾン燻蒸を行う場合です。分かりやすく御説明させて頂くと、腐敗した「体液(臭気源)」が除去されていない状況で「オゾン燻蒸」を行っても臭いの除去は行えません。必ず湿度や気温の上昇とともに「臭い」は戻ってきます。

2 臭気源の除去が行われていないケース

フローリングや畳、など腐敗した体液を洗浄し拭き取るだけで、「特殊清掃」と言う業者もいます。腐敗した体液はフローリングや畳に浸潤しています。いくら表面を洗浄したとしても臭気除去を行う上では、何の効果も期待できません。

浸潤した体液はフローリング等を貫通し床下まで落ちている事も有ります。現在、施工している特殊清掃現場は木続2階建ての構造で、臭気源は玄関の真上に有る和室です。この現場では、発見(孤独死)まで時間が経っていた事もあり体液が「畳」「床板」「大引き」「根太」「1階玄関天井」まで浸潤していました。この状態になると浸潤部、全ての撤去が必要となります。

3 単一の洗浄剤しか使われないケース

孤独死やゴミ屋敷における特殊清掃では多種多様な性質を持った臭気源が存在します。臭気源の基となる物は複数に、またがり存在します。また、そのような状態の場合は「カビ」が必ず発生しカビ臭もあります。カビの除去一つをとって薬剤(洗浄剤)は異なる性質の物を使用しなければなりません。薬剤の多くは薬剤毎に丁寧な拭き取りが求められます。これは異なる薬品が混ざり合う事により毒性が生じる場合があるからです。このように単一、もしくは数種類のみの薬剤での消臭は不完全な結果となる為です。

4 臭気源しか対応しない特殊清掃の場合、臭気は消臭源だけには留まりません。

②で申し上げた状況では2階床下から1階玄関の天井との間にも臭気は残っています。以前も申し上げましたが、臭気は腐敗したガスや体液が揮発した物質が付着する事による物です。当然、③の状況の場合、2階床下から1階天井に、たれ落ちた体液は床下と天井の隙間の狭所部に滞留しています。この部分の臭気除去作業を行わなければ特殊清掃の下処理(前作業)は成立しません。特殊清掃において下処理は最も重要な工程です。ここで90%~95%(私の感覚です)の臭気源の除去を行えていないと特殊清掃は失敗する事になります。90%~95%の臭気源除去の基準は冬場であれば(乾燥しており尚且つ湿度が低くなる環境)では臭いを感じ取りにくいレベルで暖房器具を使用し確認できる程度で有り夏場では僅かな臭いを感じる程度としています。

ただ、臭気源の周りに取り付けられている石膏ボードの臭いは残ります。ここの見極めがプロに求められる条件となります。石膏ボードは直接、体液を吸い上げて無い限りプロの業者であれば臭いの除去は行えます。

5 消臭剤の散布

消臭剤の使用方法について、他の業者が使用している消臭剤を弊社も使用する事が有りますが、多くの業者は消臭剤ラベルに明記されている希釈や使用方法を基準に使用しています。特殊清掃において特殊清掃自体を「作品」として例えるので有れば、現場は全てオーダーメイドです。湿度・温度・御遺体発見までの期間・性別・体重・臭気源場所・家屋の方角・家屋の構造など、どれを取っていても同じ工法で消臭できるものではありません。その現場の環境や状況に合わせて消臭剤の濃度や噴霧方法(これは社外秘です。)を用いなければ効果的な消臭は行えません。

弊社においてはクリエーション社の消臭剤も使用しています。この消臭剤の効果は群を抜いた物ですが扱い方や使用方法にある程度の水準とノウハウが有れば効果的な消臭は行えます。それを持ち合わせていない業者が使用しても効果はありません。

6 消臭塗料(コーティング剤)の使用

消臭塗料を使用する上において体液の洗浄による除去を行わない限り効果は有りません。あくまで体液の除去後について記載させて頂きます。消臭塗料も色々な材質に合わせた物があります。一般的に物で言えばモルタル用です。これは主にフローリング等の床板の下はモルタル(基礎部分)で作られている為です。

また、大引き等の木材部分用の物や天井等の部材に使用されているジプトーン用です。モルタル用、木材用、ジプトーン(天井用の石膏ボード)等は水により希釈を行いますが、それぞれ希釈の割合は異なります。また、ジプトーン用は中国地方では弊社しか取り扱っていません。臭気源の天井がジプトーンの場合、多くの業者は消臭剤で対応するようですが、これでは完全に臭いの除去を行う事はできません。ジプトーンは「虫食い」に似た様な凹凸が有ります。また、天井に有る為、消臭剤も重力の働きにより、うまく浸透しません。以上、臭気源の設備環境により消臭塗料の用途や、希釈も変わってくる為です。

以上の様に、きめ細かい作業が求められるのが特殊清掃です。下処理方法や薬剤の運用方法を多くの業者が習得できていないのが残念な特殊清掃業界の実態です。特殊清掃業界でもリーディングカンパニーでは一昨年より昨年、昨年より今年より来年に向けて新たな施工方法を構築しています。弊社も弊社なりに施工方法は毎年、変わって来ています。その多くは「まじめに取り組む」特殊清掃業者間での情報交換や情報共有で得ている物です。

これから、特殊清掃を検討されている方は、県内・県外問わず「特殊清掃は分からない」では無く、出来るだけ知識を高めて下さい。分からない事はお気軽に御連絡ください。弊社に関係の無いエリアの方でも構いません。正しい情報を得る事で正しい「業者選定」が行える物と私は思っています。

作業時の補償について

遺品整理等での施工中の事故は、弊社においては修繕費用の弁済などを行います。ただ、家屋の状態により「見積り時」に細かい説明はさせて頂いています。

1 家屋の経年劣化による破損

空家整理等で数多く見受けられるのが「床板」ならびに、それを支えている根太や大引きの腐食です。空家整理の場合、長期間、室内換気を行われていない場合や、空家になった事により家屋の手入れが滞り家屋周りの排水溝に落ち葉や土砂が堆積する事によって、排水溝の「あるべき機能」が失われ、雨や雪解け水によって床下に浸水する事が大きな原因となっています。浸水する事により密閉された屋内の湿度は上がり、雑菌(カビ)の繁殖やシロアリにとって住みやすい環境となってしまいます。このような環境になると比較的に早いスピードで床材の腐食が進んでまいります。腐食が進む事により床板の本来の機能はなくなり重度の場合は見積時に畳が床下に落下している事も多く見かけます。

また、その過程中の場合は歩行を行うだけで床が沈んでいきます。そう言った環境の見積りではクライアントに必ずアナウンスするのが「補償」は出来ない事を伝えさせて頂いています。このような床板状況の多くの場合、コンパネ(厚めの板)を準備し養生を行ってから作業を行いますが、それでも冷蔵庫や思い家具の搬出時に床板が抜け落ちる事も有ります。

また、床下の腐食箇所の撤去(畳や、大引き根太)安全の為に撤去の依頼を受ける事もございます。多くのクライアントの皆様(弊社においては全ての方々)には理解を頂き「ケガが無いように」と配慮まで頂いておりクライアントには恵まれていると、いつも感謝しています。

ただ、実際の施工では床が抜けおちる事もしばしばです。この様な状態の場合には補償は行っていません。

2 特殊清掃時においての臭気拡散

死亡現場やゴミ屋敷現場では気化したガスや臭気源が室内に充満しています。特殊清掃を行う上において臭気源の撤去や消臭の為、入室する際のドアの開閉は避けられない行動です。その臭気は一般の方々にとっては「経験した事の無い」強烈なものです。換気扇が稼働されていたケースなどは、見積り時に訪問した際、エレベーターをでた途端に30m先の臭気源の有る部屋からの臭いが漂っている事も有りました。孤独死をされた特殊清掃が必要な現場の場合、御本人(故人様)が一番、不幸である事は間違い有りませんが近隣住民にとっても同様です。「洗濯物に臭気が付着した」季節による「風向き」によって隣人宅内に臭気が入り込む等のトラブルも発生致します。そのような状況の場合、度合いの大小はございますが「心理的臭気」「記憶臭」等を感じられる方も、いらっしゃいます。多くの場合は「その臭い」に敏感に反応される事も多く、家財の搬出時や臭気源の撤去作業時の近隣住民からのクレームは誠意を持って対応や説明を行いますが補償も出来ない事は最初にお伝えさせて頂いています。

3 清掃におけるアクシデント

弊社において「清掃」は最も注力している施工の一つです。弊社は床面と水回りは遺品整理、生前整理、空家整理においてオプションでも何でも無く標準施工として行っています。清掃において使用する機材は「ポリッシャー(特殊清掃用と一般遺品整理用もそれぞれ使い分けしています。)や、ハンドポリッシャー、業務用高圧洗浄機、洗剤」においては家庭用から業務用まで数えると今では30種類以上の薬品やゴールドモアジャパンのう薬品まで使用しています。比較的に家庭用洗剤は扱いやすいのですが効果が薄い物が多いのも現実です。

逆に業務用洗剤の効果は大変に優れた物が多数ございます。ただ、非常に扱いにくいリスクの有る物も多くございます。アルカリ性の洗剤を一つ取ってみても使用方法や洗浄部分の状態によっては危険な物となります。例を申し上げるとキッチンに有る「換気扇フード」です。長年に渡り使用され続けると油分が凝固しています。換気扇はアルミで作られている事も多く換気扇フードは塗装されている物がほとんどです。油分にはアルカリ性洗剤が最も効果出す薬品と考えていますがアルカリ性洗剤はアルミに変色を起こします。また、劣化した塗装も一緒に剥いでしまう事も有ります。ただ、予測できる範囲ですのでクライアントへは、リスクと効果を明確にお伝えし使用する薬剤の効果とリスクを選択して頂いています。クライントの選択に沿って施工を行います。こう言った事前説明外のアクシデントが起きた場合は当然、弊社で損害賠償を行いますが、それに該当しない事案に付きましてはクライアントから損害賠償やクレームを頂いた事が無いのが弊社の誇りとなっています。

4 事故報告

例外として敢えてお伝えすれば損害保険にて事故対応する場合には必ず「事故報告」が必要となります。弊社も1億円までの賠償責任保険に加入しています。ただ、損害保険会社によって異なるかも分かりませんが事故に対しての報告期間と「通知義務」が発生します。これは、いつ?どこで?誰が?何をした?損害額は?等です。これは、交通事故でも一緒だと思います。以前、あるクライアントからの見積り時に「御社は半年後、1年後でも家屋内損傷が有った場合も補償してくれるのでしょうか?」との質問を頂いた事がございました。弊社の回答は「保険会社が対応してくれるまで」とだけお伝えし施工はお断りさせて頂きました。例えば半年前や1年前に起こしたクロスの傷やフローリングの傷は月日が経つと共に劣化して行き「いつのものか?」判断が付かなくなります。当然、損害保険会社も対応を取り合ってもらえない案件になる事も確信できるからです。

5 弊社での補償

弊社では過去の2度程、損害保険を利用した賠償を行っています。1度は大きなブラウン管をスタッフが誤ってフローリングに落とした事故です。2度目は養生テープを剥す際にフローリングの表面(劣化)部分が一緒の取れた事案です。両案件ともクライアントにお詫びを申し上げ現状復帰工事まで責任を持って対応させて頂いています。弊社の損害保険の限度額は1億円にしています。一般家庭での対応では十分な金額と考えていますが共同住宅(タワーマンション)のエレベーター補償には必要な金額とも考えています。

6 遺品整理、特殊清掃業者「補償」の見分け方

弊社においても今後は準備しなくてはならないと考えているのが賠償責任保険の保険証書です。ただ、これを持ち歩く業者はまず、いないと想像しています。ただ、自動車の任意保険にも加入していない業者もいるとも聞いた事がございます。以前、広島県東部地区で弊社が手配した一般廃棄物業者が家屋に車両をぶつけ損傷を起こした事故が有りました。仮に事故を起こした一般廃棄物業者が任意保険に加入していなければ弊社が「使用者責任」を問われ弁済補償義務が発生する事になりかねます。保険の加入は必須条件ですが、事故率が高い法人もしくは個人は損害保険会社から加入を断れるケースも有ると聞いています。これを見抜くのは、これだけ情報保護がされている現代社会において個人事業主の税務署への事業者登録や、法人の詳細情報を短時間で解決するのは困難とも思っています。

まずは、インターネットで住所検索を行ってみて下さい。同じ住所で屋号を変えた同一の事業主や姓や屋号を変えた事業主等のヒットが有った場合は慎重に考えた方が良いと思っています。個人事業主が「屋号」「姓」を変える事は大変に珍しい現象です。屋号や姓は商いにおいて、言わば「看板」です。慎重に考えて見てください。また、法人でも同様のものと考えていますが、法人で有れば、まず「法人NO」あるのが必須です。インターネットで社名、法人NOと入力し検索されなければ「架空会社」の可能性もあります。当然、実態の無い会社と損害保険契約を行う会社ありません。以前、弊社でも実態の無い休眠中の会社からの請求書が送付された事がありました。弊社の場合は各分野の「仕業」に就かれている方々の御支援にも恵まれ災いを防ぐ事ができました。これは、遺品整理・特殊清掃などに限ったお話では御座いません。皆さんの身近な生活空間でも起きうるリスクと考えています。どうか、今後の参考にして頂ければと思います。

空き家の固定資産税について

現在、過疎化により空家問題が、話題になっています。更に高齢化社会に突入した今、これからも空家が確実に増加していきます。これに「歯止め」をかける目的の一部が空家に対する固定資産税の改定に繋がっていると考えています。ですので全ての空家に適用される性質のもでは無いと私は受け取っています。

空家対策の法律は正式に「空家対策特別措置法」の一部改正が令和5年12月13日より施工されました。

特定空家指定条件は

ア)倒壊の危険性

イ)著しく衛生上有害となる恐れ

ウ)管理不足により著しく景観が損なわれる

エ)周辺の生活環境の保全を図るために放置する事が不適切な状態

との事です。

特定空家指定は協議会により、検討・協議がされる事になっています。協議会は市町村長・住民・地方議員・法務・不動産・建築・福祉・文化等の識者等を持って構成され、空家の所有者(不明の場合)を把握する為の立ち入り調査が行えるようになっています。

特定空家指定等に関する措置について

1) 助言・指導
2) 相当の猶予を持って必要な措置を取る事を勧告する事ができる
3) 措置を交付された物は交付の日より5日以内に市町村長に対し意見書を提出し公開による意見書の聴取の請求が行う事ができる
4) 改善命令
5) 罰則・命令に違反者は50万円以下の過料、虚偽の報告もしくは立ち入り調査を拒む・忌避した者へ20万円以下の過料に処すとなっています。

また、基本は行政指導の後、何らかの施策を行なかった場合は、特定空家指定とされ住宅用地例(1/6)が適用されなくなり固定資産税が6倍になる恐れが有ると言う物です。

まず、街中に有る空家と過疎地に有る空家について弊社の空家整理を行った経験上の私見を御説明させて頂きます。

1 過疎地にある空家

過疎地の空家の多くは高齢者が長年、住み続けられて事も有り相当な年月を経過しています。遺族・親族とも過疎地はアクセスの悪い場所に有る事も多く家屋の換気等も行われていない事も有り、室内は湿気やクラックも多く床板の腐食も多く見られます。また、敷地内は雑草や庭木が生え、その多くは「雨とい」に枯葉や枝が詰まり本来の機能が果たせていません。その為、軒から雨水が浸潤し更に家屋の損傷を加速させて行く結果と

なります。また、過疎地の家屋内は一般的なマンションでは比較にならない程、部屋数や部屋も広く、長年住まわれた方の「想い出(物品)」に溢れています。空家整理を行う上において物量は途方に暮れる家屋も多くございます。

2 市街地に有る、空家

市街地に有る空家は4DK~5LDKが多く数十年も空家になっている家屋を目にする事は稀です。市街地で空家となった家屋は比較的に早い段階で「空家」の運用方法が決まるからです。

主要都市の特に中心部に有ればある程、アクセスも良い事も有り需要は高く売却しやすい事やコイン駐車場への資産運用等、選択肢が多い事が大きな要因と考えています。

3 過疎地の空家の資産運用

過疎地で遺品整理や空家整理を行う際、クライアントが一番、苦慮されるのが運用方法です。過疎地では、空家も多く有ります。そのほとんどが空家バンクに登録されていますが、「借りて」や「買い手」も付かず放置された状態で需要と供給バランスが取れていません。

また、遺品整理・空家整理費用においても「遠隔地」にある事、絶対的な「物量」も多い事もあり一般的な作業よりも割高になります。主要都市中心地のマンションに納屋は有りませんが歴史の有る家屋の遺品整理や空家整理の場合は離れや納屋が存在し納屋だけで3LDK分の物品が収められている事も多くあります。部屋数も10部屋以上の家屋も多く高額な施工料金となります。勿論、弊社も企業内努力は行っていますが広島県東部の一般廃棄物業者は移動時間の人件費や運搬料も発生してしまいます。家屋や土地に資産価値が少ない物件では遺品整理や、空家整理費用、解体費用で資産を上回る事も多く見て参りました。また、リフォームを検討されている方もいらっしゃいますが

床板の腐食や家屋自体が傾斜している物件などの修繕は途方も無い予算も必要となります。

4 「相続放棄」と「管理義務」

強硬に執行されるものでは無いと予想していますが「悪意の有る空家」に対してはそうでも無いとも思っていますし「相続問題」が絡み合っているケースも散見されます。

また、解体し更地にした場合では、固定資産税の特別措置が受けられなくなります。空家問題は「空家放置」では無く、そうせざる得ない社会環境が一番の原因では無いかと考えています。相続放棄を行った場合はどうでしょうか?当事者や相続者に経済力が無い場合、どうでしょうか?現専有地に限り家屋や田畑などの「管理義務」が発生するとの事です。これは例え相続放棄を行ったとしても家屋倒壊等の危険性が発生する恐れが有る場合等は、この「管理義務」が付いてまわります。詳しい事はそれぞれ事案が異なる性質になるとも想像していますので仕業の先生方への相談をして頂ければと思います。

5 特定空家指定について弊社の思い

特定空家指定協議会は色々なエキスパートにより構成された方々ですので誤りは無いとは思っていますが、行政により災害危険地域に指定された地域に家屋を所有されている方等はどうなのでしょうか?指定された事により土地の売却は更にハードルが上がるものと考えます。

行政も資産価値の有る土地については「無償贈与」を引き受けてくれますが、そのでない場合は「拒否」されるようです。

本当に空家対策を実現する上において避けて通れない課題と感じています。このような課題に政治家の先生方にスポットを当てて頂ければと願うばかりです。

特殊清掃の工期について

先日、お客様からの入電で特殊清掃の工期が業者によって何故、違うのか?の問い合わせを頂きました。

最初にまとめて申し上げると「工程」の違いです。

1 消毒

孤独死の場合、死亡現場では汚染液体や揮発した気体やガスが存在するのと同時に血液性病原菌やウィルス感染のリスク排除をしなくてはなりません。皆さんが以前良く耳にされていた「コロナウィルス」・「肝炎ウィルス」・「HIV」等です。この多くのウィルスは寄生生物で有り、生きた宿主の体内のみで生きて行く事ができます。ただ、死亡後もウィルスの生存期間は2週間を目安にされています。

同時にリスクがあるのが雑菌(菌類)です。菌類は亡くなられた方の有機体など、水分を含む物を餌に生きています。菌類は植物の様な特徴を持った微生物グループで代表的に怖いのが「破傷風」です。植物がエネルギーを自給自足できる事に対し菌類は葉緑素を持ち合わせていないので自給自足が行えません。菌類とバクテリアは自然界で普通に存在しています。

余談ではございますが、全ての菌が人間に取って有害なものでは無く、お酒、チーズ等食品に活用されているものもございます。

菌の種類によっては、人の病気に起因する物も多く、特殊清掃前には消毒が必要となって参ります。弊社は、クラインアントやスタッフの健康を守る義務が生じる為、時間を費やし消毒を行っています。

2 臭いの除去(家財の搬出)

臭いは臭気源だけに留まらず気体となり室内のあらゆる物に付着しています。以前にも記載しておりますが、臭気源(汚染箇所)の周りから家財等の汚染物質を搬出してゆかなければなりません。臭気を広げない為です。ここが遺品整理と大きく異なる一因です。

遺品整理は有る程度、施工効率を優先して家財搬出を行う事ができますが、特殊清掃の場合は「臭気拡散」「汚染源の拡大予防」を優先して施工を行わなければならない為、遺品整理より時間的なロスが多いのが現実です。

3 臭いの除去(臭気源の除去)

特殊清掃における次の工程として「臭気源」の確定が必要となります。臭気を鼻で感じ取る手法を取っている同業他社もいますが、前項で記載させて頂いた通り、人間の嗅覚は「順応」してしまいます。つまり長時間、特殊清掃現場にいると嗅覚が鈍くなってしまいます。「臭い」を感じ取る事が鈍くなると言う事となります。

弊社は、「体液可視剤」や赤外線を利用した「水分検知器(体液)」を使用して浸潤範囲の特定を目視できる状態を作り施工に入ります。

臭いの除去(家屋内構造)

特殊清掃では、体液の浸潤度や、その状態(カビが繁殖)において、床板や壁(石膏ボード)の切除、解体が必須となる場合があります。そのケースとしては体液が大量に「付着」や「浸潤」が確認できる場合に限ります。

一般的に室内のクロスは「石膏ボード」に貼り付け使用しています。クロスや石膏ボードも通気性の良い素材となっている事から、揮発した体液やガスが石膏ボードに浸み込みます。弊社では安易に切り取り(解体)施工は行いません。現状復帰費用が増える為です。石膏ボードの消臭は1回の消臭施工で除去できる事が少ないのが現実です。施工方法も色々ございます。敢えてここで申し上げるとすれば「化学」の応用を活用しますが、多くの場合1日では除去できません。また、木材も同様です。

また、時間をかけ慎重に施工しなくてはならないのが床下です。床板下は予想や予測が付かない水道管や排水管、ガス管や電気配線などが複雑に、なっているケースが有ります。そこを不用意に「電動のこぎり」で切り取りを行い破損させると大変な事故や近隣迷惑に繋がります。床下の構造は基本的な形態がございます。例えば水道配管や排水管はキッチンや浴室、トイレ等に位置により、ある程度の各配管の位置予測はできますが、そうで無いケースも少なく無いのも現実の特殊清掃です。

「DIY」や変則的な配管がある物も多く、全ての現場で行うのが床板の「厚さ」からの12mm切り取りの作業です。12mm角の正方形の切り取りから床下の確認を行います。床板に貫通しない場合は2mmずつ深くしてゆきます。床板の厚さは異なりますが14mm前後が多く有りますが「万が一」のリスク回避の為、少しずつ深く切り取り行っています。また、余計な切り取りは現状回復工事(修復費用)において、クライアントに大きな経済的負担を掛けてしまいます。先ほど申し上げた様に弊社では、最小限の解体を目指した施工を行っているからです。

4 ・臭いの除去(施工方法・リフォーム型)

これも以前、お話をさせて頂いたと思うのですが特殊清掃には「解体型」「現象対応型」「原因対策型」と3タイプが存在します。特にリフォーム会社が行っている特殊清掃は、むやみやたらに解体する業者も散見されるように思います。これは、明らかに私の主観ですがリフォーム業者の特殊清掃の場合は、体液可視剤などを使用せず、「怪しい物(臭気)は全て撤去」という様に効率化を優先し現状回復費用も売上試算にいれ施工している様な業者も多い事を耳にします。。

5 ・臭いの除去(現象対応型)

現象対応型の施工方法は遺品等の搬出後に消臭剤を噴霧とオゾン燻蒸を行い引き渡す工法です。オゾン臭は強くオゾン燻蒸後は腐敗臭よりも強い臭気がある為、オゾン燻蒸後に施工完了引き渡しを行う業者を指しています。特殊清掃は「臭気源」の排除と「臭気感染と思われる」物質を事前作業として行わなくては臭気を絶つ事はできません。

前項で申し上げた通り、複数の工法を織り交えながら、初めて成立するのが特殊清掃です。「たんぱく質」の臭気除去に次亜塩素酸が一般的には有効とされていますが、人間の体は「たんぱく質」だけではなく「油脂成分」や「アンモニア」も有ります。同一の薬剤一つで消臭できないのが「特殊清掃」です。

ちなみに「オゾン燻蒸を利用して」の消臭方法はリスクベネフィット社が特許権を所有しています。ある程度の水準に満たない業者はライセンス契約を締結する事ができません。

弊社は、ライセンス契約を広島で唯一、取得できている業者です。ただ、科学も日進月歩しいる事からも弊社では「オゾン燻蒸」を利用しない「環境に優しい」植物性由来の消臭方法も習得していますがオゾン燻蒸施工と同様に時間を要します。よって工程1日での施工は現在における国内最高水準の特殊清掃業者が施工を行ったとしても不可能と考えられる工程であり。その工期自体があり得ない物と判断しています。

6 ・臭いの除去(原因対策型)

おこがましい傲慢な言い方を申し上げる事になると思いますが、特殊清掃業者の多くが「リフォーム型」「現象対策型」です。前項でも述べさせて頂いた通り特殊清掃は「繊細で複雑」な施工となります。原因を解決しない限り臭いは消えません。特殊清掃を他業者では兼業でされている会社も多く感じていますが、兼業で出来る程、甘い仕事ではありません。特殊清掃は文字通り「特殊」です。原因の対策さえ行えれば臭いは自然となくなる物と考えていますが、それには多数の工法や薬剤の化学的な応用を行いつつの施工と、繰り返しの臭気チェックが必要となります。

7 様々な特殊清掃業者の施工費用

特殊清掃を行う上で発生してくるのが「現状回復費」です。皆さん、どうでしょうか?例えば特殊清掃を同じ水準で施工を検討する上でA社よりB社の方が安価な場合、皆さんはB社を選択されると思います。私も「そうする」と思います。

ただ、現状回復費がA社が安価でB社が高額な場合はどうでしょうか?多くの方の場合は「特殊清掃費用」+「現状回復費」=選択結果となると思います。その様な考え方も含めた業者選定を検討して頂く事が出来ればリーズナブルな施工業者選定の結果となると考えています。

また、現象対応型業者の典型的な例として以前にもお話させて頂きましたが「オゾン燻蒸」1日当たり○○円等の価格設定している業者です。この手の業者の多くはファーストコンタクトで「臭いは薄くする事はできる」「臭いは完全に取り除く事は難しいかも?」ワンルーム等の「FRP」に浸み込んだユニット(浴槽等)に臭いは取れない等の発言も多いのが特徴です。{FRP}も臭いを取る事は可能です。ただ、特別な薬品を持ち合わせて無い限り、かなりの時間を要します。ほとんどの業者の多くは最初から「消臭できない」を告知し逃げ道を作っている事が明白と考えています。当然、リスクベネフィット社とのライセンス契約も締結しておらず、自社の消臭技術の未熟さによりオゾン燻蒸を繰り返す事により収益を上げる事を目的としクライアントが根負けする(費用がかさむ為)結果となります。皆さん、特殊清掃に「完全」「一部」消臭は無い事をお伝えしていますが、スキルが低い業者程、この価格設定を行っている事も多く短時間での施工を提案していますので、ご注意頂ければと思います。

8 特殊清掃における困難案件発生の場合

弊社は、どんな死亡現場でも必要最小限の解体で特殊清掃が行えると申し上げていますが、

例外も有ります。FRPの浴槽での「練炭自殺」です。そもそもFRPはグラスファイバーをコーティングして製造されています。グラスファイバーは文字通り、ガラス繊維を使用していますが、FRPのコーティングは一酸化炭素と熱により化学反応を起こし表面劣化が発生します。そこに入り込んだ臭気が付着してゆきます。除去する事は非常に困難です。先般も「新薬(企業秘密)」を使用し2週間施工を行いましたが、最終的にはユニット一式を撤去する残念な結果となりました。まだ、国内で練炭自殺(ユニット内)の特殊清掃で「現状有姿(ユニット解体を行わず)」をベースとした特殊清掃に成功した業者がいない事も現実です。以上の様に、残念な結果となりましたがレストレーション(現状復帰)を目的とした特殊清掃には時間が必要になる事も多く短時間で施工するのは困難と言う事を御理解頂ければと思います。

工期についてまとめ

どんな死亡現場で弊社が特殊清掃を行ったとしても最初のイメージ通りに工程が進むのは3件中1件です。これは日本で一番と言われる業者も「そうです、一緒です」申していました。

施工途中で様々な手法を変え対処しながら臭いと戦っています。

臭いは「僅かなエラー」で戻ってきます。特に冬時期は気温が低い関係もあり「臭い戻り」が確認しにくくファンヒーター等の暖房器具を使用し「臭気チェック」を行わなくてはなりません。よって「臭いが消える」までに時間を多く費やす時間も多く成る為、弊社では夏場で2週間、冬場で3週間(いずれも修正施工を含みます)を要する事となります。

以上の事から、業者により工法や工程が異なりますが、特殊清掃を行う上において時間(工期)は必要となります。

工期1日の業者

室内消毒、家財の搬出から臭気源の特定、ならび洗浄、オゾン燻蒸を行うので有れば燻蒸後5時間はスタッフの健康被害の為、入室が行えない事からも弊社のスペックでは対応が行えないものと考えています。

工期3日の業者

ワンルームで有り尚且つ弊社のシュミレーション通りに施工するのに最短で3日間はようします。ただ、責任を持って「臭気確認」を行うにはスケジュール上、困難なのが弊社の見解となります。

最後に特殊清掃業者と「特殊清掃を装った業者」の見分けの仕方をお伝えさせて頂きます。

9 特殊清掃業者の見極め方

まずホームページを閲覧してください。

使い捨てシューズカバーを装着しているか?

臭気拡散防止の為、必須です。

医療用、使い捨ての「ゴム手」もしくは「プラ手」を使用しているか?

特殊清掃を理解していない業者の多くは作業用グローブの使いまわしやキッチンゴム手袋等を使いまわしされています。臭気源に触れたグローブでクロスや柱など臭気源で無い物を体液の付着した手で触れてしまうと洗浄箇所が増えると共に臭気源の拡散に繋がります。ちなみに弊社ではゴム手は一現場では最低200以上が必要となります。

コンクリートを斫って無いか?

これも以前にもお話させて頂いていますが、10年以上前の施工方法です。確かにコンクリートを撤去する作業が必要な場合も有りますが、それはコンクリートスラブに体液が浸潤したケースに限定された物であり、通常のモルタルに浸み込んでいるケースで体液を斫って除去する事は現代の特殊清掃技術や工法では、あり得ない手法です。また、斫った後にモルタルを流し込み消臭塗料でコーティングをする?そんな業者もいます。

物理的には考えにくい施工方法です。特殊清掃を行う上において体液を「斫り」によって除去できたので有れば消臭塗料によるコーティングは科学的にも物理的にも、あり得ません。

以上の事を考慮しながら、特殊清掃業者の選定を行って頂ければ「不当業者」の撲滅と皆様の利益確保(財産)ならび特殊清掃業界の健全化による発展に繋がるものと願っています。。

特殊清掃における「臭度」「臭度測定器」について

お客様から、「あぐり」では臭気測定器を使用しないのですか?の質問を頂く事も数多くございます。

そもそも「臭い」とは何か?からクライアントに御説明させて頂いています。

人は各大脳半球前面下に突き出ている嗅葉により臭いを感じ取っています。

以前にもブログに一部、掲載しており重複する内容もあるかとは思いますが改めて明記させて頂きます。

1・「臭い」は「気体」であり「臭期源(主に水分)」から人が感じ取る物で、心地良い臭いも有れば不快な臭いもあります。

臭いは少量でも水溶性分子であれば臭気を強く感じ取る事ができますが、水性膜等に物質で覆われている場合、感じ方は少なくなります。

また、鉄製品などは臭いの付着は安易に除去できますが、凹凸の物質、「木」「ゴム」「布」「コンクリート」等は性質上、臭いが付着しやすく取りにくい材質と考えています。

2・人の嗅覚は微量の化合物の臭いでも約1000万分の1gまで臭いを感じ取る事ができると言われています。

本来、女性の方が男性より臭気感覚が強く、加齢とともに男女とも臭気感覚が低下すると言われています。

3・孤独死現場等を目視された方などはトラウマ現象として、「その経験のシーン」を思い出し「臭気過敏症」「心理的臭気」

これは業界用語では「記憶臭」とも呼ばれる物がフラッシュバックしてくる方もいらっしゃいます。

4・「特殊清掃」は「孤独死」「ペット臭」「生ごみ臭」「カビ臭」「たばこ臭」など様々なリクエストがございます。

臭気は複雑です。孤独死の場合であれば、「たんぱく質」ペット臭であればアンモニア等、使用する薬剤はシーン毎に異なって参ります。また、それぞれのシーンで雑菌や微生物の繁殖により空気中に悪臭を放ちます。この雑菌や微生物は気温20℃~30℃が最も繁殖しやすい環境となります。また、湿度によっても大きく異なって参ります。

5・臭気測定器は弊社も持ち合わせています。

ただ、現在は使用する事は有りません。まず臭いには「基準」が有りません。例えば距離で例えれば「㎞」「m」「㎝」重さで言えば「t」「㎏」「g」等、音では「デシベル」と細かくございます。ただ、臭いの強度を測る物差し自体が存在していません。

また、弊社でも何度も何度も臭気測定実験を繰り返して参りましたが、同じ室内環境において測定しても日々、測定数値に大きな「ブレ」が生じます。これは、毎日が同じ「室温・湿度」では無い事や、「全ての臭い」を拾う事が大きな要因と考えています。例えば新しい「カーペット」や「クロス」等も独特の臭いも有ります。香水や食品の臭いもそうです。臭いの強さをしる上において「人が感じる心地良い臭い」「不快に感じる臭い」その両方を感知する為です。機械メーカーも日進月歩で技術は進んでいるとは思いますが、「不快に感じる」臭いだけを数値化するのは今、現在では困難では無いかと考えています。

6・孤独死現場等で散見される環境が「湿気」による「カビ」です。

腐敗臭とは明らかに異なります。カビの臭いを除去するのにも臭気測定器は使用しません。ブラックライトや赤外線を使用した機器を利用し水分量を目視確認してゆく事が、カビの除去作業において最も効率的だからです。

7・ペットの消臭の場合は、ペットの種類や飼育頭数によっても臭いは大きく異なります。

犬でも「オスか?メスか?」によっても消臭箇所が違います。オスの場合は足を上げオシッコをします。従って壁面も施工対象になります。メスは両足を着いたままオシッコをします。彼らにとって「オシッコ」は不快な物では無いようですが、人からみるとそうでは有りません。

また、皆さんに知っておいて頂きたいのが猫のオシッコです。猫のオシッコは基本酸性ですが乾燥するとアルカリ性に変化します。また、湿気や水分を吸収すると酸性にもどります。これはアルカリ塩と言う物質であり、尿塩とも呼ばれています。よって同じ環境下においても湿度の高い時期(梅雨時期)と乾燥の強い時期(冬場)では人間が感じる臭いの強さも大きく異なってまいります。

8・俗に言われるゴミ屋敷や猫屋敷で生活されている方々がいらっしゃいます。

また、以前にも記載させて頂いたかも分かりませんが、痴呆に罹られている御夫婦の相方が亡くなり腐乱状態で2~3カ月一緒に生活されていた方もいらっしゃいました。

周りの方々は「よく生活できる?」と首を傾げられる方も多く、お見かけします。これは徐々に臭いが上がって長時間、過ごす内に順応しているからだろうと想像しています。

9・火災現場の消臭においてもそうです。火災現場で臭気測定器を使用する業者を聞いた事が有りません。

火災現場では火災により「食物などのたんぱく質」「木材のすす」「プラスチック」「繊維」「浴槽に使用されているFRP」等の煙や灰が混ざり合い化学反応を起こしています。この様なケースで使用されるのが「成分分析機」です。成分を分析し、その部屋毎に異なる物質に対して、訓練を受けたスタッフにより適切な薬剤、ツール、機材を使用し対応しなければ、ならないからです。

10・以上の事から弊社では「臭気測定器」の使用は現在、行っていません。

人の感じる不快な臭いは現在の科学では人間以上判断が出来る物では無いと言う事をお伝え出来ればと思っています。

11・注意する点(業者選定)

全てのシーンに当てはまる事では有りませんが「臭気測定器」の数値は急激に700や900を表す場合も多くございます。特殊清掃依頼の多くは「緊急性」を求められ、平静を保たれている様でも心理状態は半ばパニックに陥っている方が多いと感じています。そこに急激な数値上昇を見せられると冷静な判断が出来なくなるものと考えます。

臭気測定器には基準が有りません。参考になるとすれば臭気源が発生する前の数値が同じ機械、時期、温度、湿度が把握できていればの仮定です。現実的には不可能とも考えています。

12・対応

孤独死について限定すれば原因は簡単です。たんぱく質や脂質の腐敗による分解(液状化)による雑菌、微生物の繁殖が起因するのが臭いです。これは汚染区画の撤去を行いクリーニングを行う事により「臭い」の90%~95%(基準は有りませんが私の感覚です)は除去できます。これは断言できますがオゾン燻蒸機の使用だけでは決して臭いの除去は行えません。

(施工方法については、企業秘密とさせて頂きます)

一つの施工方法だけでは解決できないのが消臭です。複数の施工方法を交えながら行う事により消臭は成立します。

13・臭気確認

御説明させて頂いたように臭いは「温度」「湿度」によって感じ取りやすくなります。夏場は、夏場の温度・湿度により確認できますが冬はそうはいきません。冬場(低温時20℃以下の気温)に特殊清掃業者へ依頼を行われた場合は、家屋内を温める機材を持ち合わせているか?は確実に行ってください。

また、皆様で行える臭気確認はファンヒーターをそこで使用して室温を25℃以上にして下さい。また、その状態で市販されている洗剤や消臭剤の空容器に水を入れ室内を噴霧してください。

臭い残りが有れば、そのひと手間で臭気確認が行えます。

遺品整理、特殊清掃の仕事について

今、求人を行っていますが求職者やクライアントから「辛くないですか?」の質問を多く頂く事が有りますので、今回は遺品整理・特殊清掃の「辛さ」について御案内させて頂きます。

遺品整理や特殊清掃の基本は「思いやり」と「気配り」それと「体力」が必要となります。ただ、女性に男性と同じ体力を持ち合わせえている方は皆無に近いと思っています。女性には女性の優位性が有ります。女性の視点での行動や判断は多くのクライアントから指示を受けています。

例えば「キッチン」です。キッチン棚の下の汚れの場合、男性は上から見下ろす事になり、棚の下の汚れに気が付かない事が多くございます。女性の視線で捉えると、はっきり汚れを目視する事ができます。ただ、弊社のキッチン担当は食品や調味料等の細かい分別を要求されます。男性スタッフも正直な所「辛い」と感じる事は多々ございます。「辛さ」は「肉体的」「精神的」の双方ございますし、捉え方によっても大きく異なるものと考えています。

1 肉体的

遺品整理や特殊清掃において1年間を通じ春は大変に施工しやすい気候ではございますが、弊社は少し手の込んだ施工を行う事も有り、季節毎に苦労が多くございます。

夏の遺品整理や空家整理の場合は「草刈り」や「伐採」も行う事も多く「ムカデ」「蜂」「マムシ」などを散見する事も少なくありません。ここ4~5年は猛暑のせいか「蚊」が少なくなっているのが唯一の救いです。草苅等の作業は日陰も無く毎回、熱中症による脱水の連続です。

特殊清掃においては、近隣対策の為、家財搬出以外は扉も窓も締め切った状態で施工する様にしています。当然、夏場は1時間毎に給水を行いますが、それでも私自身も「目まい」「痙攣」などに襲われる事も度々あります。また、搬出にネコ(一輪車)も使えないような急な坂道に階段のある現場などは上り下りだけでクタクタになってしまいます。

ただ、特殊清掃において消臭には「温度」が必要となってきますのでメリットもございます。秋の室内作業は比較的に快適に行えますが家屋の室外(庭周り)は落ち葉に覆われて非常に時間を要する事がしばしばです。冬は冬で室温や水道の温度が下がる事も有り、夏場では普通に除去できる「油汚れ」も手ごわい敵となってきます。弊社では水タンクを持参し「パイプヒーター」で水温を上げ、湯で洗剤を希釈するなどの対策を取っていますが、ある程度の湯音になるまで時間を要する事が課題です。

また、「塀・駐車場」の清掃の際に高圧洗浄機を使用いたしますが、あまりにも冷え込んだ時などは、高圧洗浄機内部が凍結し洗浄できない場合もあります。そんな時はエンジンだけオンにして、ひたすら氷が解ける迄、待つと言う事も有ります。特殊清掃においても、ある程度(25℃)以上の室温が必要となりますので、ファンヒーターを持参しながら「じっと待つ」事も多々ございます。

ただ、述べさせて頂いた事は職業としては「苦」と感じた事は有りません。

2 精神的

色々な遺品整理や特殊清掃がございます。どの職業も同じように「辛さ」がございます。私が個人的に「辛い」と感じる施工は「若い方」の施工です。「若い方」と申し上げてもクライアント・遺族の両方の場合がございます。双方とも私にとっては非常に「悲しく感じる」施工です。

若い方(20代~30代)がクライアントの場合は、どうしても私自身の子供の世代で有り我が子と被らせて見てしまう事も、多々あります。母子家庭で育ったクライアントの場合は「親子の絆」も強く感じる事も有ります。以前、広島県内の遺品整理で故人様の娘さんに当たる方から依頼を受け施工させて頂いたのですが、施工時にその方の幼稚園、年少・年中・年長組に始まり高校生になるまでの作文や絵等がその年代毎にダンボール箱に保管されていました。その想いでの品(ダンボール箱)をクライアントに確認して頂くと「一箱、一箱」を無言で確認されていましたが、その横顔から「涙が流れ落ちている」様子が今も忘れられない「辛い」時間でした。言葉や文章では伝えられない・・・と感じています。

また、若い子供さんを亡くされた御両親の場合も年齢が私とも同世代と言う事も有り、遺品整理士としては不適格かも分かりませんが感情移入してしまいます。先ほどまで、明るく会話をされていた方が突然、涙を流され下を向かれる姿を何度も何度も見て参りました。私には掛ける言葉も無く、黙々と施工を続けるしか有りませんが恐らく「自らの寿命と引き換えにしたかった」「なんで、もう少し前に気が付かなった?」などと自問自答されている様子を伺う事しか出来ない時が、とても私には「辛い」時間です。施工後も施工費用の支払い等に連絡を頂く事が多くございますが、やはり「未だに心の整理がつきません。」「どうしたら良いのでしょうか?」等の相談を頂く事も数多くございます。その方の人生や歴史、家族関係など、まったく知らない他人の私に軽々しく口にされるのはどうでしょうか?私だったら聞くのは聞いたものの軽々しく語られると決して良い感じがするものでは無いのではと想像しています。ただ、「聞く」事により少しでも親族の方の気持ちが落ち着くのであればと思い、お話を伺っていますが「無力さ」を痛感する事も多いのが正直な気持ちです。

ただ一つ、私が遺族の方にお伝えする事は「明日」「明後日」「これから」どんな「御供養を故人様にされますか?」です。もし、私が亡くなられた故人様の場合、「ご両親の下を向く姿は見たくない」できれば「健康で健やかに過ごしてもらいたい」と願うと思うのです。そんな事をお伝えする自分自身に「やり切れない」日々も多く、「辛い」と感じる時です。

皆さん、人それぞれ寿命も時間も限られています。1日を大切して下さい。そして一人一人が「誰かの為に出来る事」を考えて頂き、行動に移さなくても構いません。頭の片隅にでも入れて頂けたなら、今よりもっと幸せになれるのではと思います。

遺品整理と特殊清掃の違い

先日、電話問い合わせで「遺品整理と特殊清掃の違いって何ですか?」との質問を頂きました。色々な業者が定義を持っている為、それぞれ回答は有ると思いますが、弊社の定義を「遺品整理」「生前整理」「空家整理」も含め御案内させて頂ければと思います。

1 遺品整理

まず、遺品整理は文字通り「遺族・縁者等、相続者」からの施工依頼で有り、家財所有者が亡くなっている事を前提にしています。ただ、天涯孤独の方の場合には、不動産管理会社や大家さんからの依頼の場合には空家兼遺品整理の扱いとさせて頂いています。遺品整理を行う際の施工の仕上げ清掃は「故人様の最期の清掃」として取り組んでいます。長年住まれている家屋では室内をどんなに綺麗にされていても、箪笥の裏の「綿埃」やキッチンの「油汚れ」、トイレの「尿石」等は一般のハウスクリーニング業者での対応では困難な状態が散見されます。「故人様の最期の清掃」は弊社も「供養」の念を持って対応させて頂いています。

2 生前整理

生前整理は所有権を持たれている方、自らの家財等を整理する事を指しています。ただ、最近は老人ホーム等の費用も結構、高額に成る事から、入院された方の「回復見込み」が無い場合にも同様の依頼が有りますが「生前整理」と定義としています。私の個人的な思いでは「戻ってこられない」準備のようで、気が進まない事も有りますが、各ご家庭の経済事情や「老々介護」と言われる、この時代には依頼して頂く皆様の心情を察すると、止むを得ない「選択」とも考えるように成りました。また、最近の生前整理では傾向が少し変わりつつ有り、「ゴミ屋敷」「物屋敷」の要素が強い「生前整理」も増えて参りました。生前整理は以前、テレビ取材の時にも、申し上げましたが、依頼者の「想いで整理」です。「ゴミ」や「物」に埋もれていた物を発見されると「手放したく無い」と口にされるクライアントと、それを説得する御家族のジレンマの中での施工となり、弊社にとっては困難案件となるケースが多くございます。また、「物屋敷」は「引きこもり」の方にも多く見受けられ昔と違い現代はネット通販で全てが整う様な事も背景にあるとも想像しています。高齢者の、その場合は「同じ物を何個も何個も」購入され「物屋敷化」している光景も普通に見かける様になりました。

3 空家整理

「空家整理」はどうでしょうか?両方(遺品整理・生前整理)に当てはまらないケースや両方に該当する要素が多いのも実情です。

所有者が存命で遠方に住まれ家自体を処分(売却)したいとか、「祖父が亡くなって空家」になっているとか色々です。弊社の定義は「亡くなられた方の2周忌法要」までは「遺品整理」としており、それ以上は単純に文字通り空家整理と定義しています。空家整理の場合の多くは雑草や雨漏りによる腐食や「シロアリ」による床下の腐食も多くございます。害虫等も多く発生し畳も根太や大引きと一緒に抜けている場合もあります。この様な状態の場合は家屋解体を選択されるクライアントも多くございますが、売却を検討されているクライアントには敢えて提案を行わせて頂き、「求められている」施工を行っています。

4 特殊清掃

特殊清掃は、「遺品整理」で有れば「孤独死による「死臭の除去」、「ペット臭の除去」生前整理や、空家整理でもよく有るケースは「ゴミ屋敷」による「生ごみ臭」の除去や、「カビ臭の除去」「たばこ臭の除去」等、千差万別です。

特殊清掃と遺品整理を混同されている方も多くいらしゃいますし、遺品整理と同様の工程で施工されている業者がいる事も耳にする事が有ります。特殊清掃は遺品整理・生前整理・空家整理と、「どう違うか?」を御案内させて頂きます。

1 特殊清掃は遺品整理と異なり「緊急性」が求められます。「臭い」により近隣からの苦情なども多く、場合によっては警察に通報されたケースも有りました。特殊清掃では、まず「消毒」を行い「臭気拡散」しないように「応急処置」が必要になります。特に近隣からの苦情が有る場合は「臭いに敏感」になられている方々も多い事から養生テープ等でドア枠や窓枠を覆い臭いが漏れないような対応が必要となり、初期対応の一部として体液の簡易除去作業(体液の付着した布団や衣類の梱包や特殊洗剤を使用した簡易清掃を行い臭いの拡散防止から始まります。
2 遺品整理等は、クロックス等の上履きを準備し入室致しますが、特殊清掃は靴カバー(使い捨て)を使用します。これは汚染箇所(体液)を上履きや靴等で踏み歩く事により、臭気を拡散させない為です。
3 遺品整理等の場合はグローブのみ使用しますが、特殊清掃の場合はグローブの上から医療用のゴム手袋を2重に装着します。これは、汚染物(体液等)を掴んだ手で他の作業をする事により家屋の柱・壁等への汚染範囲の拡大を防ぐ為です。施工時は、その都度、ゴム手袋を交換(廃棄)する必要がある為です。
4 特殊清掃は遺品整理と大きく異なる点は物の搬出の仕方が異なります。遺品整理や空家整理の場合で有れば、貴重品の確認を行い「より効率的」な搬出方法を選択しますが、特殊清掃の場合は、汚染部(孤独死で有れば体液浸潤箇所・生ごみ臭で有れば腐敗した床板)などの周りから、整理を行います。
これを皆様に分かりやすくする為に「家屋まわりと、庭掃除を行う場合」を例に御説明させて頂きます。
家屋まわりと庭を掃除をする際「庭の真ん中に汚れた水溜り」が有るとします。この家屋周りと庭を掃き掃除する事になった場合は、どうでしょうか?皆さんは水溜りから、箒を使って掃除を行うでしょうか?水溜りを体液と例えるとどでしょうか?
水溜りで使用した箒で玄関を掃くと水溜りの泥水が玄関や家屋周りにまで広がり、掃除するどころか、逆に汚れを広げる結果を招きます。特殊清掃にいては「臭い」を広げない事を前提に施工しなくてはなりません。
5 特殊清掃には消臭の為、工具が必要となります。遺品整理では、使う事の無い丸鋸・セイバソー・グラインダー等、数えればきりがないくらいの道具が必要です。また、工具は「コードレス」を使用します。なぜならコードが汚染部に接触する可能性があるからです。
例えば「電動のこぎり」を使用し体液の付着した床板解体を行わなくてはならない場合等、コードが有れば床に着きます。床は体液を吸収した「埃」や「体液」が」有ります。これを防ぐ為にもコードレスの電動工具が必要となります。
6 最後に特殊清掃では、やはり「特殊な洗剤」「薬剤」化学の知識も必要とします。社内秘密の為、オフィシャルには申し上げられませんが「最新」の特殊清掃ではレストレーションを活用した物も多くなってきました。以前はオゾン燻蒸機を活用した消臭方法を行っていましたが今はオゾン燻蒸を行わない施工方法も採用しています。これもSDGs「環境に優しい」薬剤で消臭に取り組んでいます。
ちなみに、この施工で使用する薬剤は全て「植物性」で生成された物を使用しています。中国地方で、この施工方法での消臭を行え、確立出来ているのは、今の所、弊社だけの状況です。

遺品整理の分別について

遺品整理などの見積り時に不要な物を袋に詰めて、搬出し安くするから「安く施工してもらえる?」と言う質問や要望を伺う事があります。

結論は「?」です。少し傲慢な言い方になるかも分かりませんが、これから申し上げる事を適格に行って頂けるのであれば勿論、検討させて頂きます。

ただ、実際クライアントの善意でパッキング(袋詰め)をされた場合、手間取る事の方が多いのも事実です。分別は各、市町村によって異なっている事は以前、お伝えしていたと思いますが、一般廃棄物処分業者によっても分別が大きく異なる事と弊社の分別方法も有るからです。弊社ではSDGsに基付いて再資源になる物、ならない物まで分けています。

1 「あぐり」の分別 衣類

皆さん衣類を沢山、お持ちです。特に高齢女性の遺品整理など多くの場合、大量の衣類がございます。皆さんにとって、着物・ジャンバー・コート・スーツ・セーター・Tシャツ・カッターシャツ・作業着・カッパ等の様々な素材で出来た衣類がございます。例えばコートはどうでしょう?コートも様々な素材の物がございます。一般的に言う「トレンチコート」と「毛皮のコート」を比較してみましょう。トレンチコートは再生できますが毛皮のコートは再生できません。ジャンバーもそうです。ジーンズ生地のジャンバーは再生できますが革製やナイロン製のジャンバーは再生できません。もう皆さんお分かりになられたと思いますが基本、布製品は再生できますが、それ以外の生地の物はリサイクルには適していません。カーテンは再生ができますが、レースのカーテンはリサクルする上においてナイロン、ポリエステル、アクリル等を含めた合成繊維が使われている事も有りリサイクルには、そぐわない素材です。

2 「あぐり」の分別 不燃ゴミ

遺品整理や空家整理、特殊清掃のクライアントは、広島市や広島県だけではなく、関東、

東海、関西、四国、九州地域にお住みの方からの依頼も多く承っています。当然、分別の基準も大きく異なって参ります。私も日本全国の分別を理解できている訳では有りませんが広島市の場合は、革製カバン・陶器・化粧品の瓶・ガラス・電球・ライター・カメラ・ポット・小型家電・ビニールシート・傘・ヘルメット・ハンガーと定められています。これを不燃ゴミとして一つの袋に入れて頂いた場合、弊社では再度、分別が必要となります。これは広島市における収集ゴミのケースです。行政によるゴミの収集は税金で賄われていますが、遺品整理業者の場合は一般廃棄物業者へ収集運搬から処分までを依頼していますので有料となります。また、例えば、陶器・ガラス・電球を同じ袋に入れられた場合ですが、電球がLED電球では無く古い物で有れば水銀があります。水銀を含有している蛍光灯などが割れた場合は一般廃棄物業者の分別も非常に困難になります。また、陶器やガラス等と一緒に小型家電を入れられた場合も同様です。陶器やガラスが割れ小型家電のプラスチック部分が破損し、プラスチックが混じった場合も同様の為です。

3「あぐり」の分別 可燃ゴミ

1 主に食品や再生できない紙、草や小さな棒、ペットの糞や薬や食用油などがそうです。全てのクライアントが決してそうでは無いのですが、ペットの糞と鯖缶やシーチキン等を一緒にされている方も現実、いらっしゃいます。弊社は一般廃棄物業者との約束で「分別」する約束事を履行しています。クライアントともそうですが、取引業者とも「約束」は守る事を「信条」にしています。これがagreeの由来です。よって遺品整理でも特殊清掃でも缶詰めの中身は「可燃ゴミ」空き缶は「資源ゴミ」として排出しています。余談ではございますが、古い缶詰めには「プルトップ」が付いていません。多くの若い方が缶切りの使い方を御存じ無いようでジェネレーションギャップを感じる事も多々あります。また、紙等も細かい精査が必要となります。例えばアルバムです。写真を保管しているアルバムや写真は再資源になりにくい物です。アルバムは簡単に申し上げればビニールや布が多くあります。また写真は再生する際に溶解しにくい為、紙を再生する工程において廃棄物が多くでる事も有り、再資源になりにくい物となります。以上の事からも封筒一つ一つを中身を確認しながら施工を行っている為、現金発見率が高い物と感じています。

以上の事から結論から申し上げますと弊社に遺品整理・空家整理・特殊清掃への御依頼の際は是非、家屋内は、そのままの状態でお任せ頂ければと思っています。