デジタル遺品整理について

近年、「デジタル遺品」という言葉を頻繁に耳にするようになってきました。しかし、デジタル遺品という言葉を聞いてもいまいちピンときていない方もたくさんいらっしゃることでしょう。今回はそんなデジタル遺品について詳しく紹介していこうと思います。

デジタル遺品とは

高齢者の方の中にも、スマートフォンやパソコン等のデジタル機器を毎日のように使用している人はかなりいらっしゃいます。平成27年度の総務省の調べでは、50歳以上の方のスマートフォンでのインターネット利用率が50%を超えるという事が分かっています。恐らくこれからもインターネット利用率は増えていくと考えられます。
そういったお年寄りの方が亡くなられた後、残った機器等がデジタル遺品となります。SNSやブログ、写真、ネットバンク、ゲームのアカウント等がデジタル遺品の1つです。それらをそのままにしておくと、個人情報の流出やアカウントの乗っ取り等様々なトラブルが起こる可能性があります。デジタル遺品のトラブルと生前での対応についても説明していきます。

デジタル遺品のトラブルと生前での対応

1.ソーシャルネットワークサービス(SNS)

Twitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)、Instagram(インスタグラム)、LINE(ライン)、ブログ等たくさんのソーシャルネットワークサービス(SNS)があります。お年寄りの方でもそういったSNSを利用している方はたくさんいらっしゃいます。FacebookやInstagram等では、追悼アカウントに変更したりアカウントを凍結したりすることができます。しかし、いずれにしても遺族の方に操作を委ねなければなりません。生前に家族に自分が亡くなった後のSNSの扱いについて希望を伝え、パスワード等をエンディングノート等に記載することをおすすめします。

2.スマートフォンやパソコンのデータ

スマートフォンやパソコンには、写真や趣味で集めたものなどの様々なデータが収められています。中には、見られたくないものや知られたくないものもあるでしょう。そんな状況を防ぐ為にも、一定期間更新等が無い場合に自動的にファイルを削除する「死亡時自動削除ソフト」等を生前に設定しておきましょう。また、デスクトップ上に遺言が現れ、それを開くとデータが削除されるソフトもあります。そういったソフトやアプリをしっかりと調べておく事が大切です。しかし、スマートフォンに対応しているアプリはまだまだ少ないので、必要の無くなったデータはこまめに削除して対策しておきましょう。

3.ネットバンク等

デジタル遺品でのトラブルで多いのが、故人が開設したネット銀行やネット証券の口座が分からなくなるというものです。IDやパスワードが分からないという状況だけでなく、どの金融機関の口座かも分からないこともあります。こちらも生前にIDやパスワードをエンディングノートに記載する等して遺族に伝えるようにしましょう。

4.株式

現物保有の株式は、株式を家族に移管して相続することができますが、信用取引の株式は未決済になっている契約総数の移管はできず、決済して残った現金が移管されることになります。株券があれば遺族の方も分かるので、通帳等と一緒に保管しましょう。

5.FX

FXの仕組みは信用取引と同じで証拠金取引なので、FXも名義人が亡くなられた場合その口座のポジションは全て決済され残った現金が相続人の口座に移管されます。株式やFXは資産価値がマイナスの場合もありますので、遺産放棄することも検討してください

6.クレジットカードや電子マネーの情報

インターネットで買い物をした場合には、パソコン内にクレジットカードの情報等が保存されている場合があります。パソコン内のデータを完全に消去せずに遺族の方が処分してしまった場合、クレジットカードの情報が流出したり悪用される可能性があります。パソコンを処分する際には、専用のソフトでデータを消したり、ハードディスクを完全に破壊する等して流出しないようにしましょう

7.銀行、証券

預金は相続人の権利が侵害されるのを防ぐ為、亡くなった時点から遺産となり凍結されます。凍結は死亡届が提出された時点で開始されますが、行政機関から銀行に連絡がいくことは無いので家族からの連絡により行われます。家族が連絡をせず凍結されていない口座もありますが、パスワードや暗証番号が分からなければ銀行に言うしかなく、結果的に死亡したことを伝えなくてはなりません。相続がはっきりすれば凍結が解除されますが、少し時間がかかってしまいます。すぐに必要な時に引き出せないということになります。その対策として、金融機関のパスワードや暗証番号をエンディングノート等にしっかりと記載しておきましょう。

様々な生前の対策を紹介してきましたが、どれにも共通して言えるのが、パスワードやID、暗証番号をエンディングノート等に記載して、遺族の方に伝えるようにするということです。生前にしっかりと対策しておきましょう。

デジタル遺品整理を業者に依頼するメリット

これまで、デジタル遺品に関するトラブルやそれらの対処法について説明してきました。対処法のほとんどが、生前にご自身でやっていただくようになっています。しかし、死というものは突然訪れるものです。全て生前にやっておくことが難しい場合もあります。そこで、デジタル遺品整理をやってくれる業者についてや、デジタル遺品整理を業者に依頼するメリットについて説明していこうと思います。
まず、専門業者が行なってくれる主なサービスの内容は以下のようになっています。

・パスワードの解除
・有料課金サービスの停止
・SNSアカウント等の削除
・画像や動画、連絡先等の移行
・ネットバンクやオンライン取引等の確認
・パソコンの初期化、廃棄

他にも、業者によって様々なサービスをやってくれますが、主な内容はこれらになっています。
デジタル遺品整理業者への依頼で多いのが、パスワード設定されているもののロックを解除してほしいという要望です。近年ではお年寄りがお年寄りを介護するという状況が急増しています。遺族の方がパソコンの操作に詳しくないというケースに繋がっています。そんな時にはデジタル遺品整理業者へ依頼することをおすすめします。デジタル遺品を専門に取り扱っている業者なら、パスワードを簡単に解析することもできます。分からずに操作をすると、初期化されてしまうリスクもありますので早めに業者に相談しましょう。
最近ではSNSアカウントやホームページの削除依頼が増えてきています。LINEやTwitter、Facebook等のSNSの普及もあり、お年寄りの方でも手軽にスマートフォンを操作できるようになりました。しかし、TwitterやFacebookは削除するのに少し手間がかかってしまいます。なので操作が分からず、デジタル遺品整理業者へと依頼するケースが増えているようです。退会や削除は簡単にやってくれますので、分からない場合は業者に相談することをおすすめします。
最後に、デジタル遺品整理業者へ依頼することを最もおすすめするのが、ネットバンクの口座やオンライン取引等の確認です。複雑なパターンが多く、自分では何からやっていいのか分からず迷ってしまう方も多いので、全てやってくれる専門業者に気軽に相談するといいでしょう。

今回もたくさん紹介してきましたが、デジタル遺品でのトラブルはこれからさらに増えていくと想定されています。生前にしっかりと調べ、遺族に伝えるということをやっていきましょう。
そして、少しでも分からないことがある場合は気軽に専門業者に相談するのとをおすすめします。

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