人形の供養について

遺品整理で出てきたお人形、あなたならどうしますか?
日本では、昔から「目と口がついているものは捨ててはいけない」と言われます。
そんなことから、人形を捨てるのははばかられますよね。

でも、場所も取るし、自分の家には置きたくない……そんなときは、お人形を供養してあげましょう。

供養とは?

「供養」とは、仏教用語のひとつです。
サンスクリット語の『プージャー』または『プージャナー』の訳で、もともとは「尊敬」という意味。
そこから転じて、仏さまや菩薩などに、お香やお花、燈明、飲食などの供物を真心込めて捧げることを表します。

「供養」は、最初、僧侶に対して衣服や飲食、臥具、湯薬を捧げること(四事供養)を言いました。のちには、土地、精舎、塔廟なども捧げたようです。
大乗仏教では、読経や書写などの精神的供養が重視されて、恭敬、礼拝、合掌など、現在にも伝わる様々な供養法が生まれました。

一般的に「供養」といえば、亡くなった人や祖先の追善供養を思い浮べる人が多いのではないでしょうか?
ここから派生して、仏教とは関係なく、単に“亡くなった人への対応”という意味で使われることもあります。

また、人以外の動物に対する供養、さらには、生き物でない器物・道具などに対する供養もあり、現在では非常に広い意味で使われる言葉になっています。

人形供養とは?

「供養」という概念は、日本独特のものといわれています。
なかでも物に対する供養は、他の国ではあまり見られません。
外国では、「物は物」という考え方が強く、使えなくなったものは、たとえ宗教物であっても捨ててしまうようです。

それに対し、日本人には、全ての生きとし生けるものはもちろん、「道具やものにも八百万の神々が宿る」という考え方があります。
ここから、役目を終えた器物に対しても供養をする習慣が生まれました。
物に対する供養は、一生懸命、働いてくれた物に対して感謝の気持ちを込めて弔い、神さまや仏さまにお返しする儀式です。

物の中でも身近なのは人形ですね。
人形供養は、もともとは、「ひと形」を、人間の身代わりに厄災を引き受けてくれるものとして供養した祭礼をいいました。
現代では、日頃かわいがってきた人形やヌイグルミなどの魂を鎮め、感謝して寺社に納める行事となっています。

長く一緒に過ごした人形や、かわいがっていたヌイグルミなどには、心が宿るといわれます。
ごみと一緒に捨ててしまうのは、ためらわれますよね。
人形供養では、「御霊抜き」の法要を行ってからお焚き上げをし、人形を空に返します。

人形供養の方法

  • 自分で供養する
  • 業者に依頼する
  • 寄付する
  • 寺社に依頼する

自分で供養する

自分で供養して処分する方法です。
人形をゴミ袋に入れて捨てるのは、躊躇してしまう方もいるでしょう。
ただ単にゴミとして捨てるのではなく、供養してから処分します。

人形をきれいに拭き、塩を振ります。そのままゴミ袋に入れるのではなくて、白いきれいな紙に包んでから処分しましょう。
その際に、「今までありがとう」と声をかけます

それから自治体のごみとして出します。人形の場合、基本的には可燃ゴミとして捨てることができます。
金属製のパーツが混在している場合は、不燃ゴミに出します。

業者に依頼する不用品業者に回収してもらう方法です。
業者に依頼すれば、都合の良い日に回収に来てくれます。
引越しなどで時間がない時には、自治体のごみの日まで待つ必要がありません。また、自分で所定の場所まで運ぶ必要もありません。

遺品整理の場合は、遺品整理業者に依頼できます。
供養まで行ってくれる業者もあるので、問い合わせてみましょう。

寄付する

状態の良いものであれば、捨てずに寄付をする方法もあります。
NPOやNGOなどの団体、幼稚園や保育園に寄付できないか問い合わせてみましょう。

団体などに寄付した人形は、国内だけでなく、海外の子どもたちの手に渡り、可愛がってもらうことができます。

寺社に依頼する

寺社で供養し、処分してもらう方法です。
きちんとお経や祝詞をあげてもらい、お炊き上げなどで天に返すことができるので、気持ち的には最も安心できる処分方法かもしれません。

日本では昔から、「すべてのものには神が宿る、思いがこもる」と考えられてきました。
神様が宿っていたり、念がこもっている人形をそのまま処分するというのは、そう簡単にできないのが日本人の精神性です。

大人になった子供には必要なくなっても、子どもの頃からお世話になり思い腕もある人形をそのまま捨てるのは憚られるものです。
しかし、神社やお寺で「人形供養」という形で処分してもらえれば、人形に宿る念を取り払い、感謝の気持ちを伝えることができるのです。

様々なものを供養してくれる寺社がありますが、人形供養に特化している寺社はたくさんあります。
直接持ち込むことができる寺社もありますが、最近はインターネットを通じて申し込みをし、段ボールなどで送って供養してくれるところもあります。

近所に人形供養を謳っている寺社がない場合は、近くの寺社に問い合わせてみましょう。受け付けてもらえる場合があります。

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