生前整理のやり方やタイミングの基本。終活はお早めに

整理を始める前に知っておきたいポイント

数年前から『終活』という言葉をよく耳にするようになりました。人生の終焉に向けて事前に準備をすることを指しますが、『生前整理』は終活の一環として考えられています。「生前整理とは何か、いつ始めるのがよいのか」を詳しく見ていきましょう。

生前整理って何?

『生前整理』とは、生前に、自分が所有している財産や物品を整理しておくことを指します。

  • 不用品の整理
  • 遺産相続の分配
  • 情報やデータの整理・削除

単に物を片づけるだけではなく、土地や家をどうするか、銀行口座の名義を誰にするか、など『相続に関する整理』も含まれます。

また、自分が長年持っていた情報やデータ(手紙・写真・アカウントなど)を整理し、不要なものは削除するという『情報の整理』も必要になるでしょう。

生前整理を行う目的は、残された家族の負担を軽減することです。自分が他界した後の相続問題や家族間のトラブルを考えれば、おのずと何をすべきかが分かってきます。

生前整理を始めるタイミングは早い方が良い

生前整理を始めるタイミングは、早ければ早いほど良いといえます。定年を迎え仕事がひと段落したときに、少しずつ始めるというパターンが多いようです。

高齢になってからの片付けは、体力的にも精神的にも辛いものがあります。

家族との同居や子供の独立など、整理を始めるきっかけは人それぞれですが、自分が『元気に動けるうちに行う』のが理想といえるでしょう。高齢になり認知症を発症すると『相続対策』ができなくなってしまいます。

早めに整理を始めるメリットとして『第二の人生のスタートが切れる』ことが挙げられます。物がシンプルになると気持ちがすっきりして、老後を明るく過ごそうという意欲が湧くでしょう。

こうした理由から、生前整理は早めに行うのがベストといえます。

生前整理の必要性

生前整理はなぜ必要なのでしょうか?必要性を3つの視点から解説します。

財産を1番把握できているのは自分

死後に行う整理を『遺品整理』といいますが、残された家族は故人の財産の全てを把握できているわけではありません。

たとえば、金銭的に価値のある美術品が残されていた場合でも、価値を見出せずに処分してしまう可能性がありますし、内緒の借金があった場合、残された家族に迷惑をかけてしまうでしょう。

自分の財産を把握しているのは自分だけです。家族に迷惑をかけないため、そして自分の意向を汲んでもらうためにも、どこの金融機関にどれだけの預金があるか、財産はどう処理するか、などをノートに書き出しておく必要があります。

残された遺族への負担軽減

日本は超高齢化社会に突入し、元気で1人暮らしをする高齢者が多くなってきました。人生が長くなると、思い出も物もどんどん増えていきます。

こうした背景の中、残された家族の『遺品整理の大変さ』が問題になっています。大型の家具家電の処分から、こまごまとした思い出の品の整理まで、1人でやろうとすると膨大な時間と労力、お金がかかります。

また遺品が多すぎると、故人を偲ぶ心の余裕がなくなってしまうでしょう。生前整理は、家族の精神的・体力的・金銭的負担を軽減する最良な方法です。

相続がスムーズ

不動産や預金の分配、形見分けの方法、借金の金額や借入先などを整理しておくことで、家族間の相続トラブルが回避できます。

宝飾品、美術品、骨董品など、金銭的価値のある物品を多く所持していた場合、それらも相続遺産として扱われます。価値が分からず形見分けをし、トラブルに発展することがあるため、価値の分かる本人が示しておく必要があるでしょう。

「相続関係で身内を分裂させたくない」という思いから生前整理を始める人は少なくありません。病床にいて動けなくても、相続のメモだけはしっかりと記している人も多いようです。

生前整理のやり方やポイントは3つ

生前整理の具体的な方法とポイントを解説します。物品の整理はもちろんですが、『情報の整理』も忘れないように行いましょう。

マンションや土地等の資産の整理

現金や預金は額面が明確なので分配しやすいですが、不動産は物として簡単に分けることができません。お金に換算して分けるといっても、評価が難しく手続きが煩雑になります。

空き家の場合、維持管理費や改修費用、取り壊し費用などがかかるため、まずは家族で話し合うことが1番です。『住むか、売るか』の方向性を決めた後、残された家族が揉めないように分配を行いましょう。

エンディングノートや遺書に記しておく方法の他、生前贈与をする選択肢もあります。

デジタル端末等の情報の整理

生前整理で見落としがちなのが『情報の整理』です。パソコンやスマートフォンなどのデジタル端末内の情報は物以上に膨大です。

まず、思い出の写真や友人・知人の連絡先などは検索しやすいようにフォルダで整理しておきましょう。消えると困るデータはプリントアウトすることをおすすめします。

パスワードを設定している人は、「家族がデータを開けない」ということがないように、各パスワードの一覧表を作っておきましょう。

情報の整理でもう1つ気を付けたいのが、『アカウントの管理』です。ブログやSNSなどは、管理者がいなくなった時点で削除するのが基本です。いつまでも放置しておくと、アカウントの乗っ取りに合う危険性があるためです。

生前整理では、アカウントとパスワードの一覧を作り、どう対処するかを記載しておきましょう。

衣類やコレクション等の物の整理

物の整理のポイントは、『捨てる・売る・譲る』の3つです。

コレクションなどは、買取業者に依頼して引き取ってもらうか、趣味が同じ友人に譲るなどして少しずつ減らしておきましょう。オークションに出品する方法もあります。

また、金銭的価値のある貴金属は、相続遺産になるので、誰にどう分配するのかを決めておくとよいでしょう。「この人に使ってもらいたい」という品があるときは、『形見分けのリスト』に記載しておきます。

古くなった洋服は潔く処分し、クローゼットの中をすっきりさせておくのがベストです。買取業者に依頼しても、状態の良い高級着物以外は、ほとんど値がつきません。

不良品や要らないものはどうする?

生前整理で大量に不用品が出た場合は、自分1人でなんとかしようとせずに、業者に依頼することも考慮して下さい。

仕分けして業者に頼む

不用品が大量に出た場合は、まず『使えるもの』と『使えないもの』に仕分けし、リサイクル業者や不用品回収業者に処分を依頼するのが基本です。

リサイクル業者の場合、まだ使えるものには買取価格がつきます。精算時に、全体の費用から買取価格が相殺され、コストを抑えることができるでしょう。壊れていても再利用可能なら、無料で引き取ってくれるかもしれません。

業者に依頼するメリットは、運び出しから廃棄処理まで一貫して行ってくれることです。時間や体力を無駄にしたくない人は、多少お金がかかっても他者にサポートを仰ぎましょう。

買取をしてくれるリサイクル業者もあれば、不用品処分のみを行う業者、特殊清掃を行う業者もあります。遺品整理や生前整理に特化している専門業者は、他の家族に配慮した片づけ方のアドバイスをしてくれるでしょう。

このように、業者のサービス内容によって価格が異なるため「何を依頼するか」をはっきりさせておくのがポイントです。目的を決めずに依頼をすると、費用がどんどんかさんでいくでしょう。

近年は、悪徳業者との金銭トラブルや不法投棄問題が相次いでいます。多くの人は、インターネットや広告、人の紹介などで業者選びをするでしょう。その際、必ず相見積もりを取り、下記の点に注意しながら比較することをおすすめします。

  • 明確な料金体制であるか
  • 見積もり以外の追加料金の有無
  • 会社情報がきちんと公開されているか
  • 安すぎる、高すぎる料金は要注意
  • 一般廃棄物収集運搬業の許可の有無

まとめ

大事なことは『残された家族に負担をかけない』ということです。特に、資産の洗い出しや、分配については元気なうちに考えておくようにしましょう。

「生前整理はまだ早い」と思う人も、必要なものと不要なものを仕分ける『断捨離』をするつもりで気軽に始めてみましょう。生活がシンプルになると身軽になり、残りの人生をより楽しめるようになります。

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