故人の遺品整理中に出てきたクレジットカード、こんな時どうするのか

みなさんこんにちは!
最近の記事では大きな家具の事や趣味のものなどをどのように扱うまたは処分するのかをお話しいたしましたが、今回はクレジットカードや年金手帳、免許証などの取り扱いについてお話をいたします!

故人の遺品を整理していると、思いがけない物や、どう片付ければいいのか困るものが、たくさん出てくると思います。
全てをゴミとして処分するわけにもいかず、かつ全てを遺族で引き継ぐわけにもいかないので、それぞれ残す物・捨てる物の判別が重要になってきます。
一方で、法的に処分方法が決まっている物も多数あります。その多くは、個人情報に関するものです。
平成15年(2003年)5月に公布され、平成17年(2005年)に全面施行となった「個人情報の保護に関する法律(通称「個人情報保護法」)では、「個人情報」とは次のように定義されています。

遺品のなかから個人の運転免許証、保険証、パスポートなどが出てきた場合も同様です。
多くは、それぞれ担当の行政機関に返却する必要が出てきます。
ただし、対処の方法を知っておけば、それほど難しいものではないので、親御さんや身内の方が亡くなった際はぜひ注意しながら対応を進めてください。

クレジットカードについて

現在、日本におけるクレジットカードの普及率は80パーセントを超えています。
先進国の中ではそれほど高くない数字のようですし、また持っていても使わないという人も多いとのこと。
もちろんスマートフォンの機能による支払いが増えていることも影響を及ぼしているでしょう。それでもクレジットカードは便利なものです。
特に定年後、海外に行く機会が増える高齢者も、クレジットカードを持っている人が多いのではないでしょうか。
また、電気・水道・ガスなどの公共料金をはじめ、各種支払いをクレジットカードによる引き落としにしている人かと思います。
さらに年会費なども引き落とされるため、使用者が亡くなったあと、すぐに解約しなければ無用な請求が来ることになります。
遺品整理で故人のクレジットカードが見つかった時は、次のように対応してください。

<クレジットカードの解約>
解約期限: 亡くなった日から1カ月以内
届出先: クレジットカード会社
必要書類: 退会・解約の書類
※亡くなったことを証明する書類が必要な場合もあり

カードを解約しても、まだ残金があれば支払わなければなりません。
その際は相続人が支払うことになりますので、必ず残金もクレジットカード会社に確認してください。

健康保険証

個人情報に関するもので、最も遺品のなかから見つかる可能性が高いのは、健康保険証でしょう。
日本は「国民皆保険」といって、生活保護の受給者を除く全国民、1年以上の在留資格がある外国人は、公的医療保険に加入することが法律で定められています。
戦後に保険制度が整備され、昭和36年(1961年)にはこの「国民皆保険」が成立しました。
医療保険制度には、社会保険事務所や健康保険組合が発行する「健康保険」(社会保険/社保)と、市区町村が管轄する「国民健康保険」(国保)の2種類があります。
多くは勤務先を通じて社保に加入しており、健康保険に加入していなければ国保に加入することになります。
いずれの保険証も、亡くなった際に返却することになりますが、担当窓口が異なるので、それぞれ期日も違いますので注意してください。

<健康保険>
返却期限: 亡くなった日から14日以内
返却先: 勤務先

<国民健康保険>
返却期限: 資格喪失日の翌日から5日以内
返却先; 市区町村の窓口
※「資格喪失」とは勤務先の変更、退社、生活保護の受給開始などを指す。この場合、被保険者が亡くなった場合も含まれる。

どちらの保険も、保険証を返却するのみで、その他に提出が必要な書類はありません。
ただし保険料に未払いがある場合、被保険者が亡くなっても、相続人が支払うことになります。
相続についてはこちらをご参照ください。

ほかにも高齢者が亡くなった場合に多い、被保険者証についてもご紹介します。

<介護保険>
返却期限: 資格喪失の翌日から早めに
返却先: 市区町村の窓口
必要書類: 資格喪失届、介護保険被保険者証

<後期高齢者医療保険>
返却期限: 資格喪失の翌日から早めに
返却先: 市区町村の窓口
必要書類: 資格喪失届、後期高齢者医療被保険者証

年金受給を停止

年金には厚生年金(厚生年金保険)と国民年金の2種類があります。
厚生年金は会社(法人)に勤務している70歳の人が加入しているもので、国民年金は自営業や社員数5人以下の個人事業主などが入っている年金です。
つまり基本的には国民全員が加入しているものなので、遺品整理の際には必ず注意しておかなくてはならないものだと言えるでしょう。
加入者が亡くなった場合、年金受給の停止を届けなければいけません。それぞれ対応方法は次のとおりです。

<厚生年金>
届出期限: 亡くなった日から10日以内
届出先: 年金事務所
必要書類: 年金受給権者死亡届、故人の年金証書、亡くなったことを証明する書類(戸籍抄本、死亡診断書など)

<国民年金>
届出期限: 亡くなった日から14日以内
届出先: 年金事務所
必要書類: 年金受給権者死亡届、故人の年金証書、亡くなったことを証明する書類(戸籍抄本、死亡診断書など)

運転免許証

日本において運転免許証とパスポートは、保険証以上に個人の証明書として重要なものです。個人情報とともに写真が掲載されているからです。
どちらも原則的に返却期限はありません。どちらも更新手続きを行わないと失効になります。しかし放置していては悪用される恐れが大きい物です。
そこで故人の遺品を整理している時に、運転免許証とパスポートが出てきた場合、すぐに対処したほうがよいでしょう。印鑑証明書も同様です。
いずれも担当窓口へ返却することになります。

<運転免許証>
返却期限: 基本的にないが、できるだけ早く
返却場所: 警察署
必要書類: 運転免許証、亡くなったことを証明する書類(戸籍抄本、死亡診断書など)

<パスポート>
返却期限: 基本的に期限はないが、できるだけ早く
返却場所: 各都道府県庁の旅券課窓口(パスポートセンター)
必要書類: パスポート、亡くなったことを証明する書類(戸籍抄本、死亡診断書など)

<印鑑登録証明書>
廃止期限: 亡くなったあと早めに
提出先: 市区町村の窓口
必要書類: 印鑑登録証明書、登録している印鑑、印鑑登録廃止申請書

故人の家・部屋を片付ける場合には、シュレッダーがあると非常に便利です。
業務用シュレッダーがあれば、紙類だけでなくDVDや、クレジットカード、マイナンバーカードも細かくしてから廃棄することが可能になります。するとゴミ袋も少なくて済み、個人情報の漏えいも防ぐことができます。
とはいえ業務用シュレッダーは、高価なものです。
一般家庭用であれば数千円で購入できますが、業務用となれば価格は数万円です。
そこでシュレッダーの貸し出しを行っていたり、あるいはシュレッダー作業を請け負う業者を利用してみるのも、ひとつの方法でしょう。
清掃業者や遺品整理業者であれば、業務用シュレッダーを持っていることが多いです。

個人情報の保護は、行政だけでなく各個人も十分に注意しなければならないものです。
故人の情報はなおさらのこと、大切に扱わなければ供養もできません。
各市区町村や業者に協力を求めながら、故人の個人情報をしっかり守ってください。

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